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[28476] 【ネタ】サーヴァントゲーム(ゼロの使い魔×複数ジャンル 転生者多数)
Name: 朱鳥の巫女◆660375cd ID:a5d53a14
Date: 2011/06/29 19:36
なぜか連載が思いついて書いてしまいました巫女です。
他にも完結していないのがたくさんあるのに何やってるんでしょう……
とりあえず、前に書いている奴が書けなくなったというかなんというか……文章に起こすのが非常に困難になりましたので、気晴らしに書いている次第です。
気まぐれ更新ですので、暇つぶしにもならないかと思いますがよろしくお願いします。


このお話の成分
主人公は2人
ご都合主義
転生オリ主複数
ねつ造多数
同性愛的なナニか
を含んでいます。
苦手な方はご注意ください。


にじふぁんにも投稿しています。



[28476] ゲーム開催のお知らせ
Name: 朱鳥の巫女◆660375cd ID:a5d53a14
Date: 2011/06/21 21:18
ここは天界。
あらゆる世界の神々が住まうここで、あるゲームが開催されることになった。

ゲームの名前は『サーヴァントゲーム』
神々が適当に選んだ魂に加護を与えて異世界に送り、それを競わせるというゲームなのだ。

今回のサーヴァントゲームの主催者は『ゼロの使い魔』の世界の神様。
その神様からの告知に他の神様も面白そうだと参加を決めていく。
天界の神殿の大きな石板に今回のサーヴァントゲームのルールが書かれていた。
サーヴァントゲームのルールは基本的に変わらないことが多いが、今回は一風変わっているようだ。
神々はそのルールに興味を持ったようで、たくさんの参加者が集まってくる。
そうして始まる神様たちの暇つぶし。
普通の人間には迷惑千万極まりないゲームの開始が決定された。






第○○○○○○○回サーヴァントゲーム開催のお知らせ

今回のゲームは選と本選に別れて行われます。
予選は参加者の担当世界で選んだ魂を一度転生させ、一定期間まで生活させてください。
その一定期間が過ぎるまで生き残ることが予選突破条件です。
予選突破したものが使い魔として本選会場に召喚されます。

ゲームの備考及び注意事項
・選んだ魂に直接力を付与したり、加工することは禁じる。
・魂の転生場所は自分の担当区域に限定されるが、転生場所・種族を任意に決めてはならない。
・転生した後に加護を与えることを許可する、だが不死などの加護は種族的なものでないかぎり禁じる。(人間に不死×、真祖の吸血鬼に不死○)
・与える力は自分の担当区域のものだけとする。他世界の能力を付与してはならない。
・転生者に直接接触することは許可する。
・魂に与える力は『世界』及び『惑星』を壊すものは禁じる。だが、『人類文明』『人類社会』を壊すものは許されている。
・予選中にサーヴァントゲームを説明することは許可。話すも話さないも自由とする。
・本選が開始された時点で、神々は転生者に接触及び手助けは禁じる。これを破った者は転生者ともどもペナルティを受けてもらう。
・ゼロの使い魔に送られる名目は使い魔召喚儀式。
特別ルールとして、主催者が選んだ10人が先にゼロの使い魔の世界に転生され、ご主人候補となる。

勝利条件
ゼロの使い魔の最終巻まで生き残ること及び召喚されてからの生活から判断される。

敗北条件
主の死及び自らの死。
神々が直接手助けをした場合。


ルールを破った場合のペナルティ
神は神格剥奪で知的生命体以外への転生
転生者はその魂は地獄行きになる。



[28476] 表 うさぎ耳の男の子
Name: 朱鳥の巫女◆660375cd ID:a5d53a14
Date: 2011/06/29 19:33
俺は転生した。
なんのことだが解らないかもしれないが、本当のことだ。
俺は目覚めると水晶のような壁とその壁の中に並んで目をつぶった男がたくさんいるところにいた。
その下には出産予定数と書かれた数字が表記されている。
最初は人間が標本にされているのかと思っていたけど、それは違った。
なぜならその中にいる男たちの特徴と場所の特徴に俺は心当たりがあったからだ。
気づいたのは本当に偶然。
俺自身も本当になんで気づいたのか解らないぐらいだ。

そこはゲームの中の世界。
それでもそこの住人だろうとおいそれと来ることができない場所なのだ。
俺はそこで生まれた。
ウサギ耳を生やした男の子モンスターとして……












「そりゃあさ、俺だって幸福きゃんきゃんよりはマシだって思うよ。だからって男の子モンスター最弱になんてなりたかねーよ。」

俺は紅茶とお茶請けの準備をしながら天使に向かって愚痴を言う。
愚痴を言いながらでも手を止めない俺は結構慣れたもんだと自分でも思うぐらい自然な動作だ。

「しかたありませんよ。サーヴァントゲームにあたって、転生先を弄るのは禁止されていますからそこは完全に運しだいなんですから。」

俺の手のひらサイズの天使はそう言いながら苦笑した。
俺はそれにため息が出そうになった。
普通の男の子モンスターはここにはいられないが、俺は今代のエンブリオの一番最初の子として特別にここに住まわせてもらっている身だ。
それに感謝している。
もし、他の男の子モンスターと同じように世界に放られたらモンスターの本能が薄い俺なんてすぐに殺されるか、ハンターに飼殺されるのは目に見えている。

サーヴァントゲーム。
それは神々の暇つぶしのゲーム。
ランダムに選んだコマを自分の世界に引き込んで争わさせる迷惑なゲーム。
俺はそれに選ばれたコマなんだとさ。
そんで今日はその説明をくれた神様が詳しいことを話すために来たんだってさ。
このすべての男の子モンスターが生まれる聖女の子モンスター・エンブリオの住処に。










「やー久しぶりだね、きゃんきゃん君。」

「お久しぶりです、ルドラサウム様。」

俺は応接間にいる小さなクジラに礼を言いながらお茶を出す。
このクジラが俺をコマに選んだこの世界の創造神ルドラサウム。
なによりも混乱を好み、娯楽を求めている。
実際は2キロを超すクジラだけど、ここに来る時はいつも小さなクジラの姿。
だけど小さいからって油断できない。
俺がモンスターになった影響なのか、目の前の存在に絶対に逆らえない感覚がある。
ルドラサウムはそんな俺の態度につまらないとぼやく。
最初の頃はいろいろと混乱して喚いていて、この神様はそれを面白がっていたからな。
このくらいの意趣返しはさせやがれ。

「それで今日はサーヴァントゲームの詳しい説明と君に加護を与えるために来たんだ。」

そう言ってルドラサウムは紙束を渡してきた。
それはどうやらサーヴァントゲームの詳しい説明のようだ。
だいぶ分厚いな、あとで読むか。
ルドラサウムは俺がその紙束に視線を落としている間に、加護を与えたのかキラキラと輝く粒子を俺にかける。

「はい、加護は完了。詳しい内容もそれに書いてあるからあとで全部読んでよ。それじゃね。」

ルドラサウムはそれだけ言うとさっさと帰って行った。
せっかく淹れたんだからお茶ぐらい飲んでけよ。
こうやって俺はあっさりと加護を貰った。
なんつーか感動もなにもあったものじゃないな。









ルドラサウムに貰った俺の説明書。

召喚される世界:ゼロの使い魔
立場:使い魔
うわーマジかよ。
俺に拒否権ないとはいえ、せめて優しいご主人様に召喚されますように!

・従来のきゃんきゃんの身体能力の5倍。
しかし召喚予定地の伝説の使い魔ガンダールブには及ばない。士官学校を卒業したエリートレベル。
微妙なレベルだな。

・召喚能力
王レベシリーズの男の子モンスターを1日に2体まで召喚できる。
連続召喚時間は24時間。それ以上だと強制的に返還され次に召喚するのに半日かかる。
これはちょっと便利だな。うまくいけば神風やオーディンみたいな最強クラスの男の子モンスターが召喚できる。
使い魔で主人を護衛するならうってつけだ。

・アイテム召喚能力
王レベシリーズのアイテム、装備品を召喚できる。しかしダメージ系アイテムを除いて、回復・装備品は自分及び主人と召喚した男の子モンスターにしか効果を及ぼさない。
アイテム・装備品は持っている懐中時計を介して召喚される。懐中時計を失くさないように注意すること。
う~ん、これは使い方が微妙だな。
回復アイテムはいいけど、ダメージアイテムの効果範囲は検証しないとこっちまで巻き込まれるし、威力が低いと使いどころを間違える。

・衣服、持ち物の強化と自己修復
生まれ持った衣服と持ち物の強度を3倍にあげた。衣服などは斬れたり、破れたり、燃えたりなどした場合は一定時間で修復される。
しかし、布の切れ端すら残らず灰になった場合は自己修復能力は発揮しない。浄化能力もあるので、洗濯する必要もない。
あ、これはありがたいかも。
どんなご主人なのかわからないし、服を買ってくれるかもしれないしな。

追伸備考欄
他の神様はよっぽど物好きじゃないと転生者に接触しないよ。
加護だけ与えてそのまま放任なんて珍しくないからゲームの説明なんてしないでいいよ。
してもいいけど、その場合は君に遣り切れない感情が向けられるからね。
あと本選会場では最初から10人くらい転生者いるよ、お助け人としてね。
それじゃ頑張ってね、ぼくに恥をかかせないでよ?

なんだろう、ずいぶんと面倒なことを押しつけられた気分だ。







こうやって俺はチートかどうか微妙な能力を与えられ、神様のゲームに巻き込まれることになった。










あとがき
やってしまった感がばりばりですな。

しばらくは予選落ちになった人の話を書こうと思っていましたが、予選落ちの世界がなんか思いつかないので、誰かネタくださいな。

全部は書けませんが、いくつか採用させていこうと思っています。



[28476] 裏 狂った孤独な悪魔
Name: 朱鳥の巫女◆660375cd ID:a5d53a14
Date: 2011/06/29 19:34
俺のまわりは死が溢れている。
突然始まった二度目の人生はそんなものだった。
最初はそうでもなかったけど、俺の目に朱色の五芒星が浮かんだ時から地獄が始まった。










俺は小さな村で生まれて育った。
貧しいながら母さんと父さんに優しくしてもらえて、友達も普通にいた。
転生者だってことは言うことはできなかったけど、それなりに幸せだった。
生まれた国の名前はローランド。
そんでもって5歳くらいのときに目に浮かんだ朱色の五芒星。
これで俺は伝勇伝の世界に生まれたんだってことは理解できた。
最初はバカみたいに喜んだ。
伝勇伝は好きな作品だったし、複写眼なんてチートな目を持って生まれたんだ。
自分は主人公なんだって本当にはしゃいだ。
この世界で魔眼保持者の扱いがどんなものだったのかを忘れて……








地獄の始まりは本当に偶然だった。
村に一人の魔法使いが来た。
その魔法使いはローランドじゃなく他国の魔法使いだった。しかも忌破り。
それを追う『忌破り追撃隊』も村に来て、あっという間に戦闘になった。
村の広場を中心に展開される魔法による炎や風、雷の乱舞。
俺はそれをこっそり覗いて複写眼で魔法の構成を読み解く。
俺は危険だということを忘れて、魔法を読み解くのに夢中だった。
知らないことを知ることがこんなにも楽しいなんて知らなかった。
だから気づかなかった。
俺の背後から来る忌破り部隊の人間の存在に……









「邪魔だ、このくそガキ!」

俺を蹴り飛ばす忌破りの奴。
蹴られた衝撃でボールのように飛び跳ねる俺の体を追撃するように魔法が襲ってきた。
だから俺はとっさにさっき覚えた魔法を使った。
相殺されるそれの衝撃波にさらに飛ばされながらも、俺は必死に走った。
殺される!ただそれだけしか考えずに、両親のもとに走った。
優しい父さんと母さんに抱きしめてほしかった。
殺される恐怖を癒してほしかった。
だけど、それは俺の願望でしかなかった。
家に帰った俺を見て、二人は悲鳴を上げた。
そして言った。

バケモノ

その時に俺はようやく思い出したんだ。
この世界で魔眼保持者がどういう扱いを受けるのかを……
それでも父さんと母さんなら俺を愛してくれるんじゃないのかって思った。
今は複写眼に驚いただけで、すぐに謝って抱きしめてくれるんじゃないのかって……
だけど、いつも俺の頭を撫でてくれる優しい手に首を絞められて、俺は現実を知った。
同じ複写眼でもアルアの両親はアルアを最期まで愛して、ライナ・リュートの親は世界を生贄にしてまで愛してくれたのに……俺は愛されなかった。
俺は死にたくなかった。
別に生に執着していたわけでもなかったのに、本能で死にたくなんてなかった。
だからなのか、俺は無意識に魔法を使って殺した。
ここまで俺を育ててくれた両親を魔法の炎で焼いた。
首を絞められて意識が朦朧としている中でも肉の焦げる嫌な臭いで、無理やり現実に戻った俺は見てしまった。
これが完全な黒焦げならまだよかったかもしれない。
だけど中途半端に融けたケロイド状の両親を見て俺は絶叫した。
もう外の戦闘の様子も聞こえない。
天よ割れろとばかりの絶叫のあと、俺はぷつりと視界が暗転した。
ああ、暴走するのかな?
そのときはどこか冷静な自分がつぶやいたような気がした。










結果から言えば俺は暴走しなかった。
だが俺はローランド軍に保護という名目で捕まった。
そこからが本当の地獄の始まりだった。
最初は実験の繰り返し。
世話係の人たちと少し仲良くなるとその人たちを目の前で殺された。
犯されて殺された。
遅行性の毒で殺された。
切り刻まれて殺された。
殴り殺された。
溺れさせて殺された。
そうやって俺の仲良くなった人たちの苦しむ様をまざまざと見せつけられながら、軍の奴らは俺を暴走させようとした。
だけど俺は暴走しなかった。
ただ泣いて、絶叫して、狂いそうになると意識を失う。
いつしか意識を失うこともできなくなり、俺はただ黙って涙を流しながら見ているしかなかった。
奴らは俺が暴走しないと見ると次は訓練を施してきた。
暴走しない複写眼なんて格好の兵器だ。
奴らはそれに目をつけて、俺を更なる地獄に叩き落とした。
訓練なんて言ったみたけど、あれはそんな生易しいモノじゃなかった。
腕を折られた。
一瞬でも心臓を止められた。
内臓をやられて数日間なにも食べられなかった。頭が割れるほどの魔導技術を勉強させられた。
生死の境を彷徨うなんて日常茶飯事にも近かった。
そうやって一通りの訓練が終わると俺は実践に駆り出された。
主な仕事は暗殺。
そのときにすでに心が半分以上壊れていた俺は淡々と仕事をこなした。
殺しに喜びも悲しみも感じずに、大人も子供も男も女も関係なく殺した。
闇に紛れて殺した。
昼間にすれ違いざまに殺した。
毒を使って殺した。
他の人間も巻き込んで殺した。
ターゲットの身内も含めてすべて殺した。
殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して……殺し続けた。
陰成師として活動する俺は、『ライナ・リュート』のように反発する気力もなかった。
軍に対して思うこともなくなった。
ただ気になることといえば、『どうしてライナ・リュートはあんなに優しく、悲しく育つことができたんだろう。』これくらいだった。
この世界の主人公であるライナ・リュート。
ほとんど俺と同じ境遇なのに、負の感情をあれほど秘めておきながら、なんで人間を好きでいられるのか解らない。
本人に会って話を聞ければいいのだけど、あいにくと俺は軍の命令で奴との接触が禁じられている。
そうやって日々が過ぎるなか、俺は一つの変化があった。
このまま人を殺し続けるしかない人生だと思っていた俺に変化が……










「サーヴァントゲーム?」

俺の目の前にいきなり降臨してきた女神。
女神なんて名ばかりの醜悪の怪物が俺をこの世界に転生させた張本人らしい。
しかも俺はとあるゲームのコマだと言われた。

『そうだ。おまえには拒否権はないが、ゲームを有利に進めるためにいくつか加護を与えてある。』

その一つが俺の複写眼にある呪い『α』の消去。
これが俺の暴走しない理由。
ゲームが始まる前に死なれたら元も子もないからその不安要素を排除したそうだ。
他には魔法の知識。
ローランドだけじゃなく他国の魔法も使えるようにその知識が頭に植えつけられた。
これはちょっといいかな。
今までローランドの魔法しか使わなかったから、やっぱり新しい知識は嬉しい。
あ、この魔法は便利だな。

『最後にもう一つ。おまえに与える加護がある。』

俺が与えられた知識を整理していたら、女神が言ってきた。

『おまえに名前を与える。』

「なまえ?俺にはもう名前がある。」

誰も読んでくれない名前だけどな。

『これからおまえに与える力を使う条件の一つだからだ。この力はこの世界にいるならばなんとしてでも排除しなければならない力だ。だが、この世界から消える運命のおまえには関係のないもの。ならばゲームを進めるうえで与える。』

「いったい……俺になにを与えるつもりなんだ?」

『おまえに与える名前……ライナ・エリス・リード』

その名前に俺は目を見開いた。
なによりも孤独な悪魔の名前。
その名前を持つ奴はすでに世界に存在するのに、なんでその名前が俺に与えられるんだ。
それと同時に俺は理解した。
俺に与えられる力が……

「すべての式を……解くもの。それとも編むものの力か?」

『おまえに与えるのは解くものの力だ。だが解除する力には制限を掛けてある。』

当然かな?
ただでさえ女神たちが恐れている悪魔の力だ。
それに代償だって大きい。制限がかかるってことは、その代償も多少は緩和されているはずだ。

『おまえが解除できるのは魔法だけだ。代償はお前自身の前世と今世の名前とこの世界に存在する権利』

「存在する権利?」

『そうだ、この力はおまえがゲームの本選に進むと同時に目覚める。』

「この世界がゲームの会場じゃないのか。」

『おまえたちが言うゼロの使い魔の世界がその会場だ。おまえは使い魔としてそこに召喚される』

使い魔……こんなバケモノを必要としてくれるご主人様がいるのかな?
ああでも、俺のことを知っても必要としてくれるご主人様がいるならば、俺は命を掛けよう。
誰にも必要とされなかったバケモノが誰かに必要とされる。
ああ、考えただけで心が震える。
壊れているはずの心が喜びにあふれる。
今なら目の前の女神に心から感謝できるかもしれない。
チートな能力とかそんなものよりも俺はまだ見ぬ主人に恋い焦がれる。

そうやって俺の名前はライナ・エリス・リードとなり、力を与えられた。
主人に召喚されるその日を夢見て。



[28476] 番外 予選脱落 学園黙示録と俺の屍を越えて行け
Name: 朱鳥の巫女◆660375cd ID:a5d53a14
Date: 2011/06/29 19:35
「うわーん、なんなんだよこれはーーー!!!」

俺は転生者だ。
前世の記憶があるだけで、その他になにかチートがあるわけでもない俺は現代とほとんど変わらないこの世界で普通に生活していた。
このまま、また無為に歳を重ねるだけかと思っていたのに、それはあっさり崩れ落ちた。
ゾンビ……いや、この世界風にいうなら『奴ら』の存在によって。

突如として現れた『奴ら』に俺は目の前で両親を食われて、俺は命からがら逃げる。

「ここが学園黙示録の世界なんて嘘だろー……なんて世界に転生しちまったんだよ~」

この記憶があってよかったのか悪かったのかわからない。
あってもあんまり意味がない気もする。
ただスーパーから拝借したかんしゃく玉や爆竹なんかを使って逃げ回ることしかできないのだから。
つーか、現実にあんな都合よく銃が撃てたり、手に入れるわけがねぇんだよ!
本当に主人公補正ってのが羨ましすぎるーー!!

俺はどこか自棄になりながらも足を止めない。
止めたらそこで俺の2度目の人生が終了だってわかるから。
もう町のどこを走っているのかもわからない。
いざとなったら、どっかの屋根に上って休憩とるか?
そうして道路の角を曲がった俺は誰かにぶつかってしまい尻餅をついた。

「いてて、ご、ごめんな……へ?」

ずぶりっ

俺の肩に痛みが走った。
俺がぶつかった奴に食いつかれたのだ。

「う…そ…だろ……こ、こんな……」

頸動脈を食いちぎられたのか、急激になくなる血に体が冷たくなるのを感じる。
ああ、俺はここで死ぬんだ。
ただそれだけはわかった。そうして俺は死んだ。


学園黙示録の世界 予選脱落










私は自分の死期が近いことがわかる。
この世界に生まれて2年と3か月。
一族の中では長生きのほうなんだろうな。
神との間に生まれた子供。
鬼と戦い、神との間に子を設けて次を繋ぐ。
ただそれだけの人生なのに、前の人生よりも充実している。
私の枕元には私の産んだ子供やその子供たちがいる。
それを見ながら私は笑みを浮かべる。
本当に短いけれど、悪くない人生だったな。

「ああ、もうやることがなくなったな。」

私は一族のみんなに見守られながら、息を引き取った。


俺の屍を越えて行けの世界 予選脱落



[28476] 表 召喚の儀式
Name: 朱鳥の巫女◆660375cd ID:a5d53a14
Date: 2011/07/01 22:29
そろそろ俺が召喚される時期がきました。
なんせ目の前に召喚ゲートである銀色の鏡が現れたからね。

「そういうわけでエンブリオ、天使たち。今までお世話になりました。」

俺はちょうど揃っているみんなにぺこりと一礼する。

「そうかあなたはエンブリオが一番最初に生み出した子。こうなることはわかっていた。」

エンブリオが俺を抱きしめてくれる。
俺はそれを抵抗することなく受け入れいる。
俺はエンブリオが大好きだ。
それは男の子モンスターとしての本能かもしれないけど、俺はエンブリオを母親だと思っている。
俺以外にもたくさんの男の子モンスターを生み出した聖女の子モンスターとして義務と宿命かもしれない。
それでもエンブリオの優しさと温かさは確かに俺の中にある。
このぬくもりを二度と感じられないなんてすごくさびしいけど、俺に拒否権がない以上このゲートを通るしかない。
俺は名残惜しいけどエンブリオから離れると、もう一度エンブリオと向き合う。

「行ってきます、母さん。」

「行ってらっしゃい。」

そう言って俺はゲートを通りぬけて行った。











「えっと、君は誰だ?」

いや、あんたが誰だよ。
それが俺が召喚されて一番最初に思ったことである。
召喚したのはなにやらアニメでみたようなトリステイン魔法学院の制服を着た、俺よりガタイの良い茶髪の男。
特に美形ってわけじゃなさそうだけど、そこそこ整っている感じだ。
後ろの方に似たような格好の男女が複数いるが、杖を持って俺の目の前にいるということは、どうやら俺はこの男に召喚されたようだな。
ま、なにはともあれ当初の予定通りに行ってみるか。

「きゃんきゃんでーす!おにいさん、あそんであそんで♪」

きゃぴきゃぴっとぶりっ子ポーズ!
外見年齢13~15程度のショタっ子だからこそできる技です。
ちなみにこれをエンブリオや他の天使に感想きいたところ、違和感なし。他のきゃんきゃんと比べても浮いていないという評価もらいました。
まぁ、もともときゃんきゃんってこんな感じのモンスターだし違和感はないだろうな。

「え……えっと、あとで遊んであげるから僕の使い魔になってくれないかな?」

戸惑っているお兄さんに俺は首を傾げる。
この時に上目使いのほかに耳を片方ピクンっと動かすのがポイント。
俺を虐待できないように、俺の魅力でメロメロにしれくれるわ!

「つかいま~?それになったらあそんでくれますか?」

「うん、遊んであげるよ。だからちょっとじっとしてるんだよ。」

若干、赤い顔しながらお兄さんは俺の額に杖を当てる。
ふっ顔が赤いぞお兄さん。

「我が名はアリオス・ド・アリスブルー。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と成せ」

呪文が終わった後にお兄さんの顔が俺に近づいてくる。
そして重なる唇。
前世、現世併せてこれが俺のファーストキス。
だけど俺はモンスターとしての本能か、お兄さん……アリオスの口に中に舌を滑り込ませる。
アリオスはそれにすぐに気づいて離れようとするが、そうはさせない。
俺はアリオスの襟元に縋るように掴んで爪先立ちをして追いすがる。
そんな俺にアリオスは動けなくなってしまったようでおとなしく俺の口づけを受け入れる。
顔を真っ赤にさせて、目じりに涙を溜めているアリオス。
本当ならここで目をつぶるのがマナーなんだが、アリオスの反応が面白くてちょっともったいないや。
俺はアリオスを挑発するように舌を絡めてすぐに引っ込めるのを数回繰り返す。
アリオスも俺に挑発されてその気になったのか、舌を絡めてきた。
ちょろいな。
俺は少し舌をこすり合わせるとすぐにアリオスから離れる。
アリオスはそんな俺に驚いた顔をする。
なーんかアリオスの後ろのほうでキャーキャー女の子から黄色い悲鳴が聞こえてくるけどそれは無視しよう。
アリオスの残念そうな顔のほうがちょっと好みっぽいしな。
ちなみに言っとくけど、俺はホモじゃなくてバイだからな!男でも女でも好みの奴には好意的なんだよ。

「おにいさんのキス、きもちいー♪」

うん、ほんと良いなこのご主人様。
俺はのんきにさっきの感触の余韻を楽しんでいると、背中が痛くなってきた。
なんか焼き鏝を押しつけられるような……イテテテテ!!!

「いったーい、いたいよー!!」

俺は自分の体を抱きしめて泣き叫ぶ。
いやほんとハンパない痛みなんですけどーーー!?

「大丈夫だよ、使い魔のルーンを刻んでいるだけだからすぐに収まるよ。」

そう言って俺を気遣ってくれるアリオス。
なるほど、たかが使い魔にこうやって気を使ってくれるということは結構お人よしなのか。
これなら原作のサイトみたいな扱いはないかな?
とりあえず、よろしくなマスター?










こうした出会った二人。
主人をからかう使い魔とその使い魔にどぎまぎさせられている主人。
この二人がつむぐ物語は光の溢れる虹の色。


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