3スクリーンを持つ中区新天地の映画館「広島宝塚」が8月末で閉館する。1971年にボウリング場、洋服店などが入るレジャービル「広島宝塚会館」としてオープンして40年、老舗の映画館が姿を消す。
同館の前身は51年に開館したオーケストラボックスを備えた「新天地劇場」。地元の商店会は開場を祝って「新天地まつり」を開催した。翌年には「広島宝塚劇場」と改称し、「風と共に去りぬ」「ローマの休日」などの名画に多くの入場者が訪れた。71年にオープンした広島宝塚は「ゴッドファーザー」「もののけ姫」などが大ヒットを記録した。
閉館は、入居ビルの老朽化による建て替えに伴うもので、一時は新しいビルに映画館を残す案もあった。しかし、1フロアに多数のスクリーンがあるシネコンに比べて効率化が図りづらく、街中で駐車場の確保が難しいことなどから存続は困難と判断した。
閉館に向けた特別上映やイベントは予定していない。同館の鳥山義博支配人は「ここだけでしか見られない映画を上映して支持されてきた。映画ファンにはお世話になった」と話している。【加藤小夜】
毎日新聞 2011年6月29日 地方版