広島市の高井巌・道路交通局長は28日の市議会建設委員会で、新交通システム「アストラムライン」の延伸計画について、見直しを含めて検討に入る方針を明らかにした。1994年に市の第三セクター・広島高速交通の路線として開業したアストラムラインは、秋葉忠利・前市長時代の99年に延伸計画を発表したが、財政難などを理由に事実上、計画は凍結されていた。市側が計画見直しを公に言及したのは初めて。【寺岡俊】
高井局長は「(広島高速交通の)経営状況や資金計画が市の財政に与える影響は大きい。延伸計画のあり方も含め、市の交通施策の視点から検討をしたい」と答弁した。
アストラムラインは現在、本通(中区)-広域公園前(安佐南区)の全長18・4キロ。99年に発表された延伸計画では、総事業費約3000億円をかけて30年ごろまでに、西風新都線(広域公園前-JR西広島、約6・2キロ)▽東西線(西広島-JR広島駅、約5・4キロ)▽南北線(本通-広大跡地付近、約1・4キロ)の計約13キロを環状線として段階的に整備する計画だった。
しかし、開業初年度の利用者数が4万3575人で、想定の6万9116人を下回った。01年度に西風新都と都心部を結ぶ広島高速4号が開通し、バス路線との競合などで利用者数は伸び悩んだ。
同社は03年3月、10年間の経営健全化計画を策定したが、利用者数は現在でも5万人程度。さらに昨年度末で、借入金は347億円に上り、今後は車両や施設の更新などに約200億円を見込む。こうした状況を受け、13~22年度の経営健全化計画を策定する予定で、それに合わせて延伸計画を再検討することになった。
毎日新聞 2011年6月29日 地方版