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「ゲーム=表現の自由」米連邦最高裁の判決、今後「ゲーム」が歩む道とは?

2011.06.29 10:40 | コメント[0] | トラックバック[0] | by abcxyz

アメリカ連邦最高裁判所 ゲーム 表現の自由


カリフォルニア州の議員とアメリカ連邦最高裁判所で長きにわたって繰り広げられてきた「ゲームは表現の自由か?」という論争が終わりを迎えました。

これによりアメリカでゲームは「表現の自由」として保護され、未成年者への販売も有罪とできなくなります。しかしなんといってもゲームを文学、演劇、映画などと同様、思想や考えをやり取りする手段だと米最高裁判事が判決を下したというのは大きな出来事です。

判決の中でアントニン・スカリア判事はこのように記しています。

「表現の自由の基本理念は新たなコミュニケーションメディアが現れたからと言って変化するものではありません。」

スカリア判事はダンテの「神曲 地獄編」や、ホーマーの「オデュッセウス」、グリム童話などを例に出し、判決の中でゲームを古典文学などの他のコミュニケーションメディアと関連付けて見解をあらわしています。ダンテの著作と、過激な暴力で知られる格闘ゲーム『モータルコンバット』を引き合いに出し以下のように記しました。
 

 

「『モータルコンバット』をプレイすることと比較すれば、ダンテの作品を読むことは疑い無くより教養があり知的に啓発される体験である。しかしそのような教養や知的な差異については憲法には記されていない。」

そこでこのような疑問が浮かびます。先代たちの偉大な文学作品に並ぶゲームとはなんなのか? そのようなゲームがもっとあってもいいのではないか?

ゲーム作品の中にも思慮に富み、複雑なアイデアを探求するようなすばらしい作品があります。しかし、やはり主流なのは大衆向けの大作ゲームです。ゲームをプレイしない人たちにとってみれば、「ゲーム」といえば『モダン・ウォーフェア』の終わる事なき銃撃戦や、スポーツゲームの試合、カラフルな『マリオ』の世界なんですよね。『バイオショック』が客観論/オブジェクティビズムを探求している作品だなんて知りもしません。

ゲーマーにとって、ゲームが表現の自由で保護されて当然のことでしょう。しかしこの障壁が取り除かれた今こそ『ワンダと巨像』、『バイオショック』、『フラアリー』など、思考を刺激し、斬新なアイデアを取り入れ、既成概念を覆す作品が多く生まれてほしいと願います。

今回の判決でゲーム開発者たちは、「ゲーム」というメディアの持ちうる価値を証明する機会を手に入れたと言ってもいいでしょう。

もちろん、ゲームが強力な表現のかたちであるという考えをゲーム開発者は忘れていません。

『バイオショック』のクリエイターであるケン・レヴィン氏は、すべての自由は自己表現の自由から来ているものだとし、こう語りました。

「今日、連邦最高裁判所が我々の愛するメディアを「自由」の仲間に入れてくれた。私たちは社会的権利を得て前進できるが、「言葉には意味がある」という責任感と共に歩まなければならない。

クリエーターとして私たちは、言葉の持つ意味と力を慎重に考え選択する必要がある。しかしその選択を下すのは法ではなく、我々自身なのだ。」

 
[Kotaku]

(abcxyz)

 

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