日本には人身売買に関連した枠組みや、一部の行為を罰する法律はあるものの、現在の法律は、子どもを人身売買から守るためには不十分です。
日本は、「国際組織犯罪禁止条約人身取引議定書」に署名しましたが、批准には至っていません。今後批准に向けて、子ども(18歳未満)を性的商業的搾取を目的とした人身売買から守るための法的枠組みと対策を強化する必要がある。
また日本は2005年に、「子どもの権利条約選択議定書」に批准していますが、条約に示されている、子どもの買春、児童ポルノ、性目的の人身売買などを取り締まる法律の整備が遅れています。
「子どもの権利条約の4つの柱」 | |
1.生きる権利: | 防げる病気などで命を失わないこと。病気や怪我をしたら治療を受けられること。 |
2.育つ権利: | 教育を受け、休んだり遊んだりできること。考えや信じることの自由が守られ、自分らしく育つことができること。 |
3.守られる権利: | あらゆる種類の虐待や搾取などから守られること。障害のある子どもや少数民族の子どもなどは特別に守られること。 |
4.参加する権利: | 自由に意見を表したり、集まってグループを作ったり、自由な活動ができること。 |
2. 被害を受けた子どもへのケア
被害にあった子どもをケアする専門機関がなく、法的な措置も不十分です。現状では児童相談所などに保護されますが、身体もこころも傷ついた子どもは特別なケアの提供が必要です。
海外から連れてこられた子どもは、ケアも受けられずに本国へ送還されてしまいます。
3. 予防啓発活動の推進
啓発を進めることで、政府やNGO、企業や市民が連携を取って子どもを人身売買から守る社会を実現することができます。
被害にあいやすい、弱い立場の子どもへの予防教育や、子どもに接する機会の多い職業の人や児童福祉関係者へのトレーニング、子どものインターネット上の安全を守る対策などを通じて、多くの人に意識を高めてもらう必要があります。