ブログトップ 記事一覧 ログイン 無料ブログ開設

Mac OS Xの文字コード問題に関するメモ このページをアンテナに追加 RSSフィード

2010-10-06

異体字属性あるいは痛い持続性


  • このようにして伝染したaalt属性は、潜伏していることがいる。たとえば「圧」という文字に「aalt 1」という属性が付けばグリフは「壓」に置換されるのですぐに気付くだろうが、「aalt 5」という属性が付いた場合、(「圧」にはaalt 1の「壓」以外には異体字は存在しないので、親字である「圧」が表示されたままとなり)その異体字属性は顕在化しない。
  • ところがInDesign CS5には、「異体字を1つだけ持つ文字に“2”以上のaalt番号が付いていた場合、番号1(aalt 1)のグリフを表示してしまうというバグ(だと思う)があるようだ。つまりInDesign CS5は、「圧」の「aalt 5」を「壓」と表示する。
  • その結果、「古いドキュメントをInDesign CS5で開いたら文字がいくつも異体字に化けた」ということが起こりうる。というか、起こっている。*1

2010-09-16

iPhoneヒラギノで表示できない文字


f:id:NAOI:20100617154645p:image

  • 今回はそれをiPhoneiOS 4.1)に送ってみた。結果は下図のとおり。iPhone Mailのメッセージビューでは一部の文字が読めるが、おそらくこれらを表示しているのはHelveticaだろう。別の画面(メッセージリスト)ではffffi、fflリガチャが表示されており、こちらはLucida Glandeだろうか。

f:id:NAOI:20100916170737p:image

  • そんなわけで、「iPhoneiPadではヒラギノの文字の一部が表示できない」ということのようなのだが、なぜだろう?

*1:テキストデータはこちら。 ︑︒⁝︙⁚⎫⎬⎭⎧⎨⎩⬅⬆⬇︐ffffifflȷ⓿⓫⓬⓭⓮⓯⓰⓱⓲⓳⓴⎛⎝⎞⎠⎡⎣⎤⎦⎜⎟⎢⎥⎪⤴⤵⦿⧺⧻⓵⓶⓷⓸⓹⓺⓻⓼⓽⓾☖☗⎾⎿⏀⏁⏂⏃⏄⏅⏆⏇⏈⏉⏊⏋⏌⏎⁇⁈⁑⎰⎱

2010-09-14

モリサワProNで追加されている文字


  • モリサワパスポートの2010年版には、モリサワのProN書体というのが入っている。同じ「ProN」でも、ヒラギノProNのレパートリはAJ15(プラス8文字)だが、モリサワProNはAJ14(プラス81文字)。今回は、この追加分の「81文字」の中身を見てみよう*1
  • まず、漢字の追加は下図に掲げた72文字*2。その多くは「モリサワProのcmapとJIS04基準のcmapを比較して、マッピングが(単純な追加ではなく)変更されている文字」である。

f:id:NAOI:20100914173730p:image

  • たとえば、U+6677(図の最初の文字)は、モリサワProではAJ14の範囲内のCID+14609だが、JIS04基準のcmapではAJ15のCID+16889に変更されている。このため、CID+16889を追加せずにJIS04基準のcmapを採用した場合、モリサワProでは出せたU+6677が(グリフ置換をサポートしたアプリケーション以外では)出せなくなってしまう。このようなことにならないよう、「マッピング変更」に関しては文字の追加で対処しているものと思われる。上図の72文字のうち、赤字の註が付されていないものが、「マッピング変更」による追加。
  • それ以外に、モリサワのProNでは、人名用漢字(上図「人」)、表外漢字字体表(nlck)、K-JIS漢字をカバーするための追加を行っている*3。また、最新のテーブルによるグリフ置換をサポートするために、jp78用とhojo用のグリフを追加している。
  • 非漢字の追加は、下図に掲げた9文字で、すべてルビ用グリフ。AJ14に含まれないルビ用グリフの一部サポートしているのだが、よくわからないのは、小書きの「こ」と「コ」のヨコ用とタテ用のルビ用字形。まず、用途が謎。JIS X 0213に入っている小書きカタカナ(のルビ用字形)を差し置いて、わざわざ追加している以上、何かしら具体的な使い方を想定しているのだろうと思うのだけれど、想像がつかない。また、InDesignでは、Unicodeマッピングを持たないグリフに対するルビ用字形は使えないと思うのだが、使えるアプリもあるのだろうか。

f:id:NAOI:20100914173751p:image

*1:このエントリの内容については、Ken Lundeさんからいろいろご教示いただきました。ありがとうございます。

*2:図に用いたフォントは、2010年改定の常用漢字表に対応した学参フォントである常改リュウミンProN。CID+20289の「斧」などにはヒゲがあるのにCID+20290の「釜」にヒゲがないのは、この字が常用漢字表に追加されたため。

*3:図における赤字の註は「マッピング変更」以外の文字に付したものである。たとえばCID+20222の「豹」は人名用漢字だが、「マッピング変更」にも該当するため、「人」という註は付けていない。

2010-09-10

InDesignIllustratorのようにオブジェクトを回転させる


  • Illustratorと違って、InDesignオブジェクトは、回転後も回転角度を保持している。このため、たとえば90°回転させた長方形の見た目の高さを変形パネルから変更するには、HではなくWの数値を入力することとなり、この操作を煩わしく感じることがある。
  • そこで、InDesignで角度を入力してオブジェクトを回転させるときの裏技。グループ選択ツール(ダイレクト選択ツールの状態でoptionキーを押しっぱなし。プラス付きの白矢印)でオブジェクトを選択した上で回転させると、回転後も角度が0°のままになる*1。というのを発見したのだが、Adobeのサポートに質問したところ、これは「不具合」だそうで、この手法を使った場合何が起こるかわからないし、まったくおすすめできないのだけれど、とりあえずメモ。

*1Mac版のInDesign CS3/CS4/CS5で確認。

2010-09-07

InDesign CS4/CS5で回転させた線の長さを変える冴えたやりかた


  • ねえねえ、さっきはついうっかり言いくるめられちゃったけどさ……。
  • はい?
  • InDesignで線を回転させたときの挙動ってやっぱりおかしくない?
  • そうですか?
  • たとえばこう、ヨコ線を引いてさ、反時計回りに90°回転させるとタテになるじゃん。

f:id:NAOI:20100907184021p:image

  • なります。
  • で、下端を基準点にして長さを半分にすると、ほら、上下に縮まっちゃうよね。

f:id:NAOI:20100907184053p:image

  • だから、それはですね、「回転前の位置」を基準に考えないとダメなんです。
  • でもさ、この場合、回転後の「下」は、回転前は「左」だよね。
  • そうです。
  • で、「左」を基準にして長さを半分にすると、ほら、今度は上に縮むんだぜ。

f:id:NAOI:20100907184119p:image

  • あれ、逆? 左なら上で右なら下?
  • いや、その覚え方は回転方向が時計回りの場合に通用しないな。「線の長さを変えるときの基準点は回転させる前のその点の逆の位置」って覚えておくと、わかりやすくて作業がぐんぐんはかどるぞ!*1

*1InDesign CS4/CS5で確認。Adobeに問い合わせたところ「InDesignの不具合と思われます」とのこと。CS3は問題なさそう。CS5の場合、別のパグInDesign CS5で線の長さを変えると位置がズレる)も介在してくるので、さらに話がややこしくなる。