東電追求の自称記者が車上荒らし…「ネイビー通信」名乗り会見で珍質問連発→出入り禁止

　福島第１原発事故などに関する東京電力と経済産業省原子力安全・保安院の合同会見に、「ネイビー通信」を名乗って取材者として出席していた“名物記者”が、路上の車からＩＣカード（Ｓｕｉｃａ）を盗んだ窃盗の現行犯で、警視庁築地署に逮捕されていたことが１日、分かった。逮捕されたのは住所不定の田代裕治容疑者（３６）。同容疑者は実際は無職だったが、合同会見では最前列に陣取って意味不明な質問を連発し、出入り禁止になっていた。

　築地署によると、逮捕容疑は６月２１日午前７時５０分ごろ。東京都中央区銀座の路上で、酒類配達のため停車していた配送車の助手席に置いてあった「Ｓｕｉｃａ」１枚を盗んだなどとしている。田代容疑者が車のドアを開けて物色しているところを、戻ってきた男性が目撃。その場で１１０番通報された。

　田代容疑者の逮捕当時の所持金は１０００円。築地署に連行された時には観念した様子で「交通費が欲しかった」と供述している。築地署では余罪を含めて捜査している。

　田代容疑者は自身のブログで「通信社を運営しているが、本業は実業家」などと自己紹介。東電本店で開かれる会見は、民主党の会見オープン化の流れを受け、ネットメディアやフリーの記者も含めて全面開放していたため、同容疑者は実体のない「ネイビー通信」を名乗って毎回、最前列に陣取り、細野豪志原発事故担当相（３９）や東電広報に積極的に質問していた。しかし、その多くが「なぜ、原発作業員に（栄養剤の）ハイチオールＣを飲ませないのか」「原子炉の図面を公開せよ。私の通信社に寄せられた情報では、米国には送られている。被災者より米国が大事なのか」など、理解しがたい内容だった。

　５月２日、原発事故と直接関係のない個人名を出して誹謗（ひぼう）中傷を始めたことをきっかけに、東電・保安院側が田代容疑者の合同会見への出入りを禁止した。田代容疑者はブログで「ついに都合の悪い事実を隠蔽する動きが始まった」と糾弾。合同会見からは姿を消したが、東電単独会見には逮捕前日の６月２０日まで出席し、珍質問を続けていた。

　会見中には激高して声を張り上げ、会見後は東電本店ロビーの長イスにだらしなく寝そべり、ネットカフェで寝泊まりしていた田代容疑者は“名物記者”となり、あるフリー記者は「彼と一緒にされては迷惑」と話していた。６月２１日から姿を消したため「タシロはどこへ行った」とネットユーザーの間でも話題になっていた。

　東京電力広報「会見にいらしていた方なので驚きましたが（逮捕については）社としてコメントすることではありません」

（2011年7月2日06時02分スポーツ報知）