高速増殖原型炉「もんじゅ」で原子炉容器内に落下した炉内中継装置(3・3トン)本体の撤去は、夜通しの作業で24日午前5時ごろ終わった。昨年8月の落下から10カ月近くたち、撤去の工事費や新たな装置の購入で約17億5000万円かかった。東京電力福島第1原発事故で、国の原子力政策の行方自体が不透明になるなか、今回の設計ミスによる同装置落下は、トラブルがあれば長期停止と多額の費用を要するもんじゅの弱点を改めて示した。【柳楽未来】
もんじゅは、既に実用化されている軽水炉の原発と異なり、原子炉容器内に高温の液体ナトリウムがあり、空気に触れると激しく反応するため上部をアルゴンガスで覆っている。落下した同装置の下半分は不透明なナトリウムにつかった状態で、原子炉容器の上にアルゴンガスで満たした別の容器を用意して、その中につり上げた。原子炉容器のふたの一部を外して一体で引き抜き、総重量は約11トンになった。
今回のトラブルでは当初、力をかけて引き抜こうとしたがうまくいかず、落下の衝撃で装置の継ぎ目が変形した事実をつかむのにも時間がかかった。また、設計時には想定していなかった複数の大型機械を新たに設計・製造して原子炉容器の上に据え付けたため、費用が膨らんだ。
撤去開始の予定は23日午後3時ごろだったが、準備作業で機器の一部で機密性が保たれていないことが分かり、パッキンが切れている原因を突き止めて取り換えるなどで約6時間遅れた。22日も予定通りに準備作業が進まず、23日未明まで作業していた。
もんじゅの構造に詳しい小林圭二・元京都大原子炉実験所講師は「もんじゅは軽水炉と比べ事故の調査、復旧に膨大な労力がかかる。これでは今後、商業炉として実現するはずがない」と指摘している。
毎日新聞 2011年6月25日 地方版