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　「日本ハム５-４ロッテ」（６月３０日、札幌ド）

　恐るべし、怪物ダルビッシュだ。日本ハム・ダルビッシュは「調子は今年の中で一番悪かった」と振り返りながらも最速１５４キロで８回を２失点でまとめた。１３奪三振の快投で、両リーグ２ケタ勝利一番乗り。それもチーム５６試合目での到達は今世紀最速だ。

　同時に０６年から６年連続２ケタ勝利となった絶対エースは「あまり意識していないです」と憎らしいばかりにスタンドに向かい、言ってのけた。

　今季初の中５日先発。１５日の阪神戦から状態がよくないというエースは立ち上がりから制球に苦しんだ。この日もスリークオーター気味に投げてしのいだ。それでも、リリースポイントが定まらず、力でねじ伏せにかかる。初回の伊志嶺から井口、大松、二回先頭の今江まで４者連続三振だ。

　だが、二順目の三回につかまる。２死二塁。井口に左越え適時二塁打を許すなど、３連打を浴びた。「（投球）スタイルを変えました」。四回以降は力で押す投球からカット、ツーシームを多投した。自身を見失わず、冷静に分析できるからこそ。六回には今江をカットで１０三振目を奪った。８日の中日戦から４試合連続２ケタ奪三振で自身３度目の記録だ。

　この日の登板前、球宴ファン投票、選手間投票でともに１位選出の吉報が届き、御礼の快投で応えた。選手間投票では史上最多の４９０票。２位の楽天・田中をぶっちぎっての票を得た。「投票してくれたファンの皆さんに感謝。球宴は毎年よくないのでケガなく帰ってこれれば」。周囲を笑わせた球界のエースは、今年こそ球宴でも最高のパフォーマンスをみせてくれるはずだ。