戦時中に花岡鉱山に強制連行された中国人労働者らが、一斉蜂起した花岡事件の犠牲者を悼む「中国人殉難者慰霊式」が30日、大館市花岡町の十瀬野公園墓地であった。
同市が毎年、蜂起の日に合わせて開催。中国人労働者は419人が亡くなったとされ、中国人遺族4人と中国大使館職員らを含む計約150人が参列。慰霊碑に花や千羽鶴をささげ、手を合わせた。
小畑元・大館市長は式辞で「皆さまと平和を希求していくことが今を生きる私たちの務めと確信している」と述べた。遺族を代表して慰霊の言葉を述べた周長明さん(54)は、東日本大震災の犠牲者にも哀悼の意を表し「例年と同様の慰霊活動に心から感謝を述べたい。これは中日両国民の友好と平和を求める真心を体現するものだ」と話した。
また、同市の信正寺でも同日、「花岡の地日中不再戦友好碑をまもる会」による慰霊祭があり、約70人が参列した。
同寺は終戦後に掘り起こされた労働者の遺骨が一時安置された。かつて鉱山で働き、毎年慰霊祭に参加しているという同市花岡町大森の吉田勝美さん(84)は「初めて慰霊祭に参加した時は、泣いている遺族を見て自分も泣いた。今年も世界が平和であるようにと願った」と話していた。【坂本太郎】
毎日新聞 2011年7月1日 地方版