ユネスコが岩手県の平泉を世界遺産に登録した。被災者を励ますための決定なのだろう。地元は喜びに沸いている。
平泉は源頼朝に追われた義経が弁慶らとともに絶命した観光名所。なかでも中尊寺は有名で、1124年に造立された金色堂が観光客を集めている。この夏は人出が増えそうだが、実は中尊寺は別名「がっかり寺」とも呼ばれている。「行ってみたら期待外れだった」という人がけっこういるのだ。旅行ライターが言う。
「金色堂は1968年に建てられた覆堂の中にあり、全体をガラスで覆われています。そばに近寄ることができないし、ガラスが反射するので細部が見えにくい。テレビで見たほうがキラキラ輝いてキレイだから“がっかり寺”と呼ばれるのです」
国内には同じような場所がけっこうある。俗に“3大がっかり”の筆頭に挙げられるのが札幌の時計台。次が高知のはりまや橋と、長崎のオランダ坂だ。
時計台とはりまや橋には観光客から「思ったより小さい」という声が上がることが多い。
「両方とも昔は周囲に何もないため存在感があったのでしょうが、いまは雑然とした街並みに埋没している。はりまや橋などは全長10メートルもなく、バスであっという間に通り過ぎてしまうため、お客さんから“もう一度渡って”と要求されるほど。オランダ坂は周囲に洋館が立ち並んでいると期待してしまいますが、異国情緒の乏しい単なる坂です。観光客は坂を上る。それだけです」(ツアーコンダクター)
このほか昨年、奈良で開催された“平城遷都1300年”の平城京跡もがっかり度が高い。
ちなみに世界の「3大がっかり」はシンガポールのマーライオンとコペンハーゲンの人魚姫の像、ブリュッセルの小便小僧が一般的だ。国内、国外を問わず、現地に行く人は覚悟したほうがいいかも。
(日刊ゲンダイ2011年6月28日掲載)