国内生産を大事にしてほしい

June
29
2011

 今期、日本の自動車各社(大手10社)の世界販売台数は、前年実績を44万台上回る2141万台を目標としているそうだ。しかし、そのうち国内生産となるのは、乗用車で800万台、トラックで120万台だから、すでに半数には届かない。トヨタを例にとれば世界販売台数の予定は724万台で、そのうち国内生産分は300万台なので41%、ホンダは28%、日産は24%とほとんどが海外での生産と言っても過言ではない状況。ちなみにマツダは70%、地元富士重が72%、三菱が64%と国内生産比率が比較的高いまま。

 こういう数字を見ていると、大手はすでに海外生産に軸足を置いていて、中堅メーカー3社は国内で、という考え方なのかも。もっとも三菱の場合は、海外志向は強いのだろうけれど、財務状況が許さないという側面もあるのかなと思いますけど。

 

 一時、シャープが大画面液晶の生産拠点として亀山工場を凄くフィーチャーしてました。あれは、要するに国産の液晶技術や品質をアピールするためなのかなと思いましたけど今は・・・。ことさらに、マーケットを世界に求めたり、安価な海外製品の輸入によって国内でも価格競争が激化したりすると、日本で製造していると勝ち目がない!?こういうのは日本の自動車ばかりじゃないのでしょうが・・・それにしても、価格競争がし烈で、そこで勝てない限りは非常に厳しいのだということみたいです。こうなったら数を売った方が勝ちだということで、日産は大幅なラインナップ増と販売増を狙うらしいですけどね・・・。

 

 けれども、世界中の自動車メーカーが同じような方向を向いてビジネスをしていこうとすれば、相当に苦しいでしょうね、これからは。アメリカも無理やりBIG3を再建しちゃって・・・。フルラインナップで対決しようとしているのは、トヨタ、日産-ルノー連合、ホンダ、フォルクスワーゲン、フォード、GM、クライスラーフィアット連合。最近キナ臭い商売を意識し始めた、メルセデスとBMW・・・。ここに新興国メーカーが価格で勝負を挑むんでしょう?どう考えても将来、血の雨が降る!?

 

 それはそれでやらせておいてですね、日本のマツダと富士重には、何とか個性的な車づくりへと転換してもらって、生き残ってほしいと思いますけどね。最近、地元富士重の車がよれてきた!トヨタが資本参加してから、どうも頼っちゃうのかしらないけれど、可もなく不可もなく路線へと切り替え始めたのが気にかかります。業績は非常に良いんです。もうすぐ有利子負債がなくなるらしいし・・・。けれど、最近の車ははっきり言ってボツですね。個性がまるっきり失われた感じです。この規模の自動車メーカーから個性をとったら何が残る?って感じなんですけど。マツダは低燃費でも非常にいいレシプロを作ってますし、期待しているんですけど、いかんせん、デザイン路線を転換した方がいいような・・・。もともと弱い会社ですから。でも、だからこそ、もっと個性的な車を作るべきだと。

 

 自動車の市場が全世界的に拡大しているからこそ、隙間というか個性が生き残る土壌が広がると思うんです。こういう中堅メーカーは堂々と輸出すればいいし、むやみな価格競争の必要もない。大いに個性を造って、販売して欲しいと思います。

 

 蛇足ですが・・・そろそろドイツ車神話もいいのでは、と思いますね。乗り味がいいのは共感しますが、壊れるしね。耐久性も日本製と比較にならないし・・・。ジャーナリズムでは、ハンドリングが・・・なんて言いますが、実際車はハンドリングだけじゃないしね。耐久性、品質部門では、日本製の車は完全に断トツだと思いますよ。輸入車は本当にやばい!?(個人的な経験ですけど)。

 

 

Posted by hoshino | この記事のURL | コメント (1) |

コメント

Re: 国内生産を大事にしてほしい

マツダは、ビアンテや2代目アクセラがアクの強いフロントマスクしてますね。そのせいで、skyエンジンの次期ロードスターが、どうなることやらと心配されてます。
以前の倒産危機は、個性に走りすぎたのが原因ですから(苦笑)。

富士重に関しては、トヨタの影響が大きすぎて、冒険ができなくなってますね。現行インプレッサのデザインが、トヨタの横槍でひどいことになってます。

それと三菱ですが、ここは財務問題で海外へ行かないのではありません。お隣の韓国に鵜がいますので、その人たちが頑張れば頑張った分三菱にインセンティブが入ります。
それに親会社の三菱重工が、国防関係の仕事をしている関係もあり、無闇に技術を海外へ持ち出すわけには行かないのです。

今回の大震災で、電池不足とラジオ、懐中電灯不足が問題になりましたね。全ては海外へ製造移転した結果です。
食品に関しても一極集中で工場を統廃合した結果の品不足。
某仕分け大臣は、海外製を積極的に使うよう防衛省を仕分けしてました。その結果、国防に色々と問題が出るのが今回の件で理解できた人は多いと思います。

今の日本は、何とかの一つ覚えみたいな経営者が多い。
「ライバルがリストラしたからうちもやる!」では、他社のものまねであって、そこに経営戦略なんてありません。
それで億単位の収入なんて馬鹿げてるでしょう。
資源もない地震大国の日本で、リスクマネジメントを欠如したらダメなんです。

技術移転は構いませんが、地産地消でなければいけません。
今の日本企業経営者が、考えているほど海外は甘くありません。実際に中東では騒乱が起きていて、EUから撤退すれば雇用してた人に賠償請求され、中国にいたっては設備の国外移転を禁止されています。東南アジアにおいても、南シナ海における領有権で戦争になりかねない。
海外移転の地政学リスクなどを、経営者はもっと学ぶべきでしょう。

Posted by: きむちん at June 30,2011 00:46

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