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【プロ野球】

雄星 笑顔のプロ初勝利 「まだ実感がわかない」

2011年7月1日 紙面から

オリックス−西武 プロ初勝利を挙げ、ウイニングボールにキス。笑顔の菊池(岡本沙樹撮影)

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◆西武6−2オリックス

 もう涙はいらない。12日の阪神戦(西武ドーム)の初登板後、真っ赤な両目からボロボロとこぼれ落ちた一滴一滴が、西武・菊池を強くした。5イニング0/3を2安打2失点。最後まで泣かなかった。「まだ実感がわかないです。うれしいんでしょうけど」。プロ2試合目の初白星に舞い上がる姿がないほど大きくなった。

 球速は、140キロ台前半が大半、調子は良くなかった。それでも試合をつくれる技術を身に付けた。変化球の精度を意識し、スライダー、カットボールを低めに集めた。

 5回までをバルディリスのソロ被弾1失点でしのぎ、ガス欠となった6回に2連続四球を許して降板。94球で後をリリーフ陣に託した。

 中継ぎ要員で今季は開幕1軍入りを果たした。だが登板がないまま、先発に再転向するため2軍落ち。トレーニングは体力的に苦しかったが、精神的には楽に感じていた。左肩痛で投げたくても投げられなかった昨年の苦しさに比べれば比ではなかった。当時のコーチとの確執などで部屋にこもって涙することが少なくなかった。

 それでも野球への情熱は冷めなかった。母校の岩手・花巻東高の佐々木洋監督と「今年中にプロ初勝利」を約束した。3月11日の東日本大震災の直後には、母校に何らかの支援ができないか佐々木監督に相談したが、「今は自分の野球に集中しなさい」と諭された。

 この日のウイニングボールは「両親に渡しても喜ぶと思うけど、佐々木監督に渡したい」という「小学生のころから、おまえはプロになる人間だ、と言ってもらい、支えてもらった」。登板機会がないため、再度2軍落ちして次回のチャンスを狙う。これまでと違う景色が、菊池の前には広がっているはずだ。(谷光太郎)

 

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