ファン投票と選手間投票が6月30日、発表され、阪神からはファン投票で藤川球児投手(30)が、選手間投票で平野恵一内野手(32)が選出された。両選手は甲子園で会見。球児は交流戦でパに負け越したセの代表として全力の火の玉ストレートでのリベンジを誓った。
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100%の球児、解禁‐。長いシーズンを見据えて自らに課した枷(かせ)を取り外し、猛虎の守護神が直球勝負する。
「(ストレートで)勝負しなきゃいけないと思っている」
ここまで21試合に出場し、負けなしの1勝16S。防御率0・47。それでも「制限をかけながらやっている」と話す。全球種を同じように見せるため、「150キロ投げようと思えば、すぐにも出せる」力がありながら、確実性を重視した投球でシーズンを戦ってきた。
だが、球宴では鎧(よろい)を脱ぎ捨てる。現時点でも150キロ前後を計測する火の玉ストレートの制限を解除。「常々、思いっきりホームランを打たれてみたいと思うときもある」と夢想する右腕が全力勝負を仕掛ける。
「(制限を設けない直球を)試したいと思っている。なかなか実戦の場で試せないので。三振3つでもいいし、ホームラン3本でもいい。力と力の勝負をしたい」
7年連続7度目の出場で、2年連続6度目のファン投票選出となった。昨季は第1戦(ヤフードーム)の九回に16球すべて直球でロッテの里崎、西武の片岡、中島を3者三振に斬った。狙うは1年前の再現。2年連続で交流戦を負け越したセ・リーグの一員として、パ・リーグを圧倒してみせる。
「交流戦で(戦ってみて、セがパに)負けている気持ちはなかった。やり返さないといけない」
第3戦の舞台は東日本大震災の被災地・仙台。「がんばろう、日本」の旗印で開幕した今季は東京ドームからKスタ宮城へ開催地を変更。例年以上に特別な舞台を用意してくれた。
「たくさんの命が奪われて、生活がまだ復興していない方もいる。その中で野球を開幕させていただいた感謝と恩返しの気持ちで、少しでも野球ファンに貢献できたらと思っています」
球宴開催直前の7月12〜20日まで9連戦が待っている。連戦連投の可能性もあるが「予定表を見て、調整していく。(球宴での登板日は)自分で決めることはできないけれど、(仙台に)行って、いいものを出したい」と、状況にかかわらず東北の地で勇姿を見せる覚悟だ。さまざまな思いを白球に込め、誰も見たことのない球児が球宴のマウンドに立つ。
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