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　「オリックス２-６西武」（６月３０日、京セラ）

　祈るような目で見つめた。西武・菊池雄星は守護神・牧田が最後の打者・赤田を三振に打ち取ったのを見届けると、はじけるような笑みを浮かべた。待ちに待ったプロ初白星の瞬間。「リリーフや野手のおかげで勝つことができた。やっとチームに恩返しができた」と、感慨深そうに振り返った。

　プロ初先発した前回６月１２日の阪神戦は三回途中４失点でＫＯ降板。プロ初登板の試合後は苦しかった昨年を思い出して込み上げ、涙を流した。

　この日は別人のように冷静なマウンドさばき。一回に坂口以下を三者凡退に打ち取って波に乗った。課題のスライダーでストライクが取れ、新球のフォークも実戦配備。ストレートの最速は四回のＴ‐岡田の打席で１４５キロを記録した。

　五回、バルディリスにソロを許した。六回は２連続四球を与えて降板したが、５回０／３を２安打２失点で試合を作った。「前回は頭の中が真っ白だったけど、今日は抜けた球の原因も分かっていて修正ができた」と、成長の跡を感じ取った。

　プロ１年目の昨年はキャンプで左肩を故障するなど苦難続きだった。それだけに初白星の味は格別。ウイニングボールは苦しいときに支えてくれた母校の岩手・花巻東高、佐々木洋監督に贈るという。「これからが始まり。また２勝目を目指して下（２軍）で頑張っていきたい」。鳴り物入り入団のドラ１左腕がようやく輝かしい野球人生のスタートラインに立った。