国際【主張】中国共産党90年 覇権主義拡大に歯止めを2011.7.1 03:13

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【主張】
中国共産党90年 覇権主義拡大に歯止めを

2011.7.1 03:13

 中国共産党が1日、党創立90周年を迎える。発足時60人弱だった党員は昨年末までに8千万人を超え、同党率いる新中国は建国62年で米国に次ぐ世界第2の経済・軍事大国となった。近現代史を画する出来事であることは否定できない。

 しかし、現在の中国は一党独裁下で特権層と庶民の所得格差が急拡大し、社会紛争が頻発している。対外面では軍拡を背景に海洋覇権拡大の動きを強めて、周囲の国々を脅かしている。富国強兵は成ったかもしれないが、国際社会の平和と安定に貢献する「責任ある大国」とはとてもいえない。

 今年は党創立90周年と辛亥革命100周年が重なる。来年秋の第18回全国党大会では、胡錦濤総書記らの現体制から習近平国家副主席ら次世代へ指導部交代が予定され、時代の節目を迎えている。

 共産党政権はさらに富国強兵路線を邁進(まいしん)し、台湾統一(併合)や海洋進出の加速などを通じて「中華民族の偉大な復興」を果たそうとしているようだ。

 だが同政権を見守る内外の目はとみに厳しさを増している。国内では、党幹部一族らの特権層が富を占有し、「1%の家庭が国富の4割強を独占している」(夏業良・北京大学教授)という極端な所得格差に歯止めがかからない。

 貧困と差別にあえぐ出稼ぎ農民や、強制収用で家や耕地を奪われた民衆の大規模暴動が日常化している。当局は数年前から公表をやめたが、既に年間10万件を超えたという。今年の国家予算で治安維持などの公共安全費が約6244億元(7兆7400億円)と国防予算を超えたのもこのためだ。

 対外面では東シナ海から南シナ海、さらには太平洋、インド洋へと中国海軍の進出が活発化している。1992年領海法で日本固有の領土である尖閣諸島も自国領土と明記するなど、「中国の海」とするための布石を着々と打ち、行動範囲を広げている。周辺諸国は脅威と認識せざるを得ない。

 胡錦濤政権は、内に格差縮小による「調和社会の構築」、外には善隣友好の「平和発展」を掲げたが、全くの期待外れだった。

 日本は強固な日米同盟を土台に、東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドなどと連携して中国の膨張に歯止めをかける必要がある。その上で民主化を粘り強く働きかけるべきだ。

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