生体腎移植をめぐる臓器売買事件で、警視庁に逮捕された医師堀内利信容疑者(55)が昨年7月に宇和島徳洲会病院(愛媛県)で移植手術を受ける際、臓器提供者(ドナー)の男性(21)について「近所で児童虐待を受けていたので、自分が保護者になって養子縁組した」と説明していたことが27日、執刀医(38)への取材で分かった。
暴力団幹部が紹介したとされるドナーの男性は、成人した直後に養子縁組し、移植の直前に住民票を埼玉県から堀内容疑者が住む江戸川区に移していたことが分かっている。警視庁組織犯罪対策4課は、堀内容疑者が養子縁組の経緯について虚偽の説明をした疑いがあるとみている。
執刀医によると、移植手術前に面会した際にドナーの男性は、養子縁組が直前だったことについて「(堀内容疑者とは)父と子のような関係。20歳になるのを待って養子縁組をした」などと話したという。
一方、堀内容疑者は病院に対して「約5年前に長女を通じて(ドナーの男性と)知り合い、生活を援助していた」とも説明。養子縁組を調査して病院の倫理委員会に「移植目的ではない」と報告した弁護士に対し、ドナーの男性は「地域医療に貢献する医師(堀内容疑者)に腎臓を提供したい」という趣旨の話をしていたとされる。