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【社会】

臓器売買事件 「長生きできぬ」と移植

2011年6月26日 朝刊

 医師が暴力団組員側に報酬を支払ったとされる臓器売買事件で、臓器移植法違反などの容疑で逮捕された堀内クリニック院長堀内利信容疑者(55)が、警視庁組織犯罪対策四課の調べに「人工透析をしても体調が思わしくなかった。このままでは医師として十分な仕事ができず、長生きもできないと思った」と供述していることが、捜査関係者への取材で分かった。

 腎臓提供者(ドナー)になる約束をしたとされる元暴力団組員坂上文彦容疑者(48)と養子縁組した直後の昨年一月、東京都板橋区の病院に手術を申し込んでいたことも判明した。同課は堀内容疑者が健康への不安を強め、臓器売買での移植を進めたとみている。

 捜査関係者や同病院によると、堀内容疑者は昨年一月十五日、暴力団組員滝野和久容疑者(50)から紹介された坂上容疑者と、移植目的で養子縁組をした。同月二十七日、以前に受診したことがある同病院を訪ね、生体腎移植を申し込んだ。

 養子縁組を届け出た直後だったため、病院側は倫理委員会を二回開いて審議した。面談で坂上容疑者は、臓器提供の意思があり「金銭授受はない」と説明。病院は手術日を六月二十五日と決めた。

 同病院の担当者は取材に「患者に移植への強い希望があった。委員会では、疑わしいという指摘もあったが、法律違反がなく、手術を拒否する理由がなかった」としている。

 手術日の二週間前になって堀内容疑者から「ドナーの関係者から金銭要求があり、迷惑をかけるので手術はしない」と連絡があり、中止になったという。

 

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