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■「“子どもへの虐待” ジュニアアイドル規制へ」 2011/06/24 放送

 今回の特集は、「ジュニアアイドル」と呼ぶ 少女たちをめぐる問題についてです。

 水着姿などの18歳未満の少女たちを、写真集やDVDで販売する大人たち。

 大阪府の橋下知事は「子どもへの虐待」という視点で規制に乗り出します。




 ある週末の朝、大阪市内の公園での光景です。

 <記者>
 「午前10時すぎ、続々と男性が集まってきました。その数およそ10人ぐらいいますね」

 みたところ、20歳から40歳くらい。

と、その時。

 <記者>
 「あっ、お金出している。1万円ですね」

 主催者と思しき男性に1万円札を渡しています。

 後を着いていくと・・・

 <記者>
 「レフ板が出てきた。本格的だ」

 誰かを取り囲み、盛んに シャッターを切り出しました。

 輪の中にいたのは、女の子。

 高校生くらいの子もいれば、小学生の姿も。

 「ジュニアアイドル」と呼ばれる少女たちです。

 <参加者>
 「膝曲げて、そうそうそう。あと、ちょっと笑ってよろしいかなぁー」

 「ジュニアアイドル」とは18歳未満でありながら、大人のグラビアアイドル顔負けの水着や下着姿をウリにしている少女たちのことをいいます。

 特に「U―15(アンダーフィフティーン)」と呼ばれる、15歳未満の少女たちが人気を集めています。

 その中身を見てみると・・・

 <記者>
 「水着を着て泡風呂の中で女の子が遊んでいる様子が映っています」

 バランスボールの上でとび跳ねたり、サッカーのドリブルをしたりとまるでホームビデオのようですが、どれも水着姿です。

 街の反応は・・・

 <街の女性>
 「え、ホンマにいるんですか?ホンマにやり過ぎ」
 <街の女性>
 「明らかに性的な感じに見えるので抵抗があります」
 <街の女性>
 「自分の孫がやっていたら絶対イヤやなあ、やめさす」

 一体、どんな人が購入しているのでしょうか。

 <「ジュニアイドル」を扱う書店の関係者・電話>
 「30〜40代男性が主流。一本太いユーザーの核。最近は若い人も増えてきた。(パッケージに書いてある)年齢だけで興奮する人もいる、『11歳』とか」

 主な購買層は、いわゆる少女趣味の男性のようです。

 当の女の子たちは、どんなきっかけで出演することになったのでしょうか。

 「ジュニアアイドル」ブームの火付け役とされる泉明日香さんは、女優だった母の影響でテレビの世界にあこがれ6年前、12歳のときに当時、この年齢では考えられなかったTバックを着用してDVDデビューしました。

 <泉明日香さん(18)>
 「新人として代打でいったDVDの撮影現場で、もともとの女の子は18歳だったので衣装で『Tバック』が用意されていた。『はいてみますか?』と言われたのが始まり」

 「Tバック中学生」として「ジュニアアイドル」のカリスマ的存在となった
明日香さん。

 マネージャーを務める母のコトミさんと一緒に、過激になり過ぎないように話し合いながら制作にあたったといいますが、世間からは激しい非難を浴びました。

 <母親 ことみさん>
 「大人からの方が(批判が)きつかった」
 (Q.どういった大人です?)
 「有識者と言われる方々です。『ばか親に金もうけのために脱がされてかわいそう』みたいな」

 明日香さんらの写真集が爆発的な売上げをみせると、出版社はこぞって少女たちに過激なポーズなどを求めるようになりました。

 撮影現場では、一体何が行なわれているのか、そして、こうした現状に楔を打ち込もうと大阪府が打ち出した対策とは?


 ブームの陰で、どんどん過激になる「ジュニアアイドル」。

 「ジュニアアイドル」を経験した少女たちが、撮影現場の実態を語ってくれました。

 芦田実沙寿さんは女優を目指し、12歳からタレント活動を始めました。

 「ジュニアアイドル」の活動も、そのステップとして水着の仕事も納得した上で取り組んでいましたが、撮影現場で違和感を感じることもあったといいます。

 <芦田実沙寿さん(17)>
 「たとえば“ライオンのポーズ”があって、四つんばいになってポーズした時は必ず後ろから撮影された。『顔じゃなくてなんで後ろ?』みたいな」

 一方、同じ事務所で10歳の頃から「ジュニアアイドル」として活動をはじめた佐々木舞さん。

 10本以上のDVDに出演する売れっ子でしたが、撮影現場で嫌な思いは1度もなかったといいます。

 <佐々木舞さん(16)>
 「海外に行ったりとか、すごくスタッフさんたちも優しくしてくれたので、すごく良かったと思う」

 しかし、事務所の代表で舞さんの父親でもある豊田さんは、出版社からは厳しいプレッシャーをかけられたといいます。

 <佐々木舞さんの父親 豊田博臣代表>
 「(出版社側から)『僕らはこういう風なものを作らないと売れないよ』と露骨に何回か言われたことがある、この子たちのいないところで」

 少女たちは芸能プロダクションに所属し、事務所が出版社と契約を結んだうえでDVDや写真集の撮影に臨みます。

 そして現場ではプロダクションより立場の強い出版社側が、売りたいがためにより過激なことを少女たちに求めるといいます。

 子どもたちを守るために作られた「児童ポルノ法」は、一般的な大人が性的に興奮するものを対象としているため、従来、性の対象として捉えられていなかった「ジュニアアイドル」の作品は取り締まれないのが現状です。


 ならば、と大阪府は、別の方法での規制に乗り出しました。

 その方法とは・・・

 <大阪府 橋下徹知事・去年12月>
 「子どもの『性的虐待の記録』と定義づけてもらった。こういう定義づけがあったのかと目からウロコ」

 判断能力がないほど幼かったり嫌がっている子どもに対して、水着姿でお尻など体の一部を強調して撮影することを、「性的虐待」にあたるとして規制しようというのです。

 条例の策定に携わった専門家は、明らかな性的虐待でも性器や性行為が写っていないだけで、「児童ポルノ法」の網をくぐり抜ける写真が数多く出回っていると言います。

 <甲南大学 園田寿教授>
 「6歳の女の子が強制わいせつの被害にあって、そういう写真が出回っているが、現行の『児童ポルノ法』にあたらない。しかし写真からは『性的虐待』が行われてそれが記録されたということは明らか」
 
 18歳になり「ジュニアアイドル」を卒業した泉明日香さんは、大阪府の取り組みをこう評価します。

 <泉明日香さん(18)>
 「『全てを虐待』という言葉で片付けられるのはどうかなとは思うが、ただ単に悲しい思いをする女の子たちを大人が守らないといけないと思うので、そういう条例が作られることで守られるのならいいと思う」

 一方で、アイドル業界の事情に詳しい評論家は、いくらルールを作ってもイタチごっこになるのでは、と疑問を呈します。

 <評論家 竹内義和さん>
 「エロ規制を業者が抜けようとする。エロのエリートみたいな人がいて、その人たちがあみ出す技は規制にはひっかからないけどそれ故に、よりエロいものになってるわけ。権力の意志でコントロールできるかというと現実をみてもなかなか難しい」

 「ジュニアアイドル」の規制を盛り込んだ、大阪府の青少年健全育成条例は、来月1日に施行されます。

 時に海外からも批判の的にされる日本の「児童ポルノ」の現状に、一石を投じることは出来るのでしょうか。




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