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クローズアップ茨城

屋根の修理 転落防げ

2011年06月30日

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グシ瓦からこぼれ出た土は瓦の表面のガラス質との相性が悪く滑りやすくなる。職人は掃き掃除を欠かさない=笠間市友部駅前

 東日本大震災から3カ月余。県内の街並みは以前の姿を取り戻しつつあるが、一方でいまだに青いシートに覆われた屋根が目立つ。修理を業者に頼めば3〜5年待ちはざらといわれるなか、自ら屋根に上がって転落する事故が後を絶たない。折しも足元が滑りやすい梅雨のさなか。事故の傾向と防止策を探ってみた。

 県内の住宅被害は、全壊から一部損壊まで計14万9973件(28日現在)。屋根の修理が必要な数となると県も県警も把握しきれない。「修理まで5、6年待ちも」という話を県瓦工事業組合連合会に尋ねると、「事実です。私も400件の予約が入っている」と鬼澤一美副会長(53)。

 多くの人は壊れた部分をシートで覆い、土嚢(ど・のう)やロープで固定して雨漏りを防ぎ、修理を待つ。シートがめくれれば、屋根に上がって直さざるを得ない。石岡市の男性(69)宅で1日に起きた事故もそうだった。

 男性の家は、背の高い昔ながらの瓦ぶきの平屋。1人でシートを覆い直していた。傾斜のきつい上部から若干緩やかな下部に移って作業をしていたところ、過って3・5メートル下の地面に転落し、頭を強く打って亡くなった。

 石岡署は、山でいえば尾根や峰の部分にあたる「グシ瓦」が破損し、その下を塗り固めていた土が粒状になって滑りやすくなっていたとみている。

 プロの事故も相次いでいる。震災後の復旧工事災害を調査している茨城労働局によると、28日までに44件の事故が発生。うち11件が屋根などからの転落で、1人が死亡している。(猪瀬明博)

 ■屋根の上ミシミシ緊張

 24日午前、グシ瓦などが壊れた笠間市の住宅の2階の屋根に上がらせてもらった。
 取材に協力してもらったのは、市内で新築屋根の施工や点検、修理を手がける谷津成昭さん(36)。屋根に上がる前、谷津さんに「滑るものだという前提で上がるように」と言われた。「下りるまで常に危険が伴うことを意識しろ」という意味だと理解した。

 使わせてもらったハシゴは、様々な器具で屋根や地面に固定された業務用のもので、安定していた。ハシゴから屋根に移るときが一番危ないと言われて緊張したが、無事屋根に。

 屋根の高さは地上8メートル。足元を見ると、瓦の表面にはグシから崩れ出た黄土色で細かな土のホコリが積もっている。「ミシミシ」と自分の体重で瓦がきしんだ。明らかに日常とは違う状況に、自然と体がこわばった。

 最も高いところで、中腰の状態から背筋を伸ばして立つと、地上ではそれほどではなかった風を感じた。この日は時折強く吹いたため、何度かバランスを崩しかけた。

 屋根から下りようとハシゴに移ろうとしたときは、かなりの恐怖感を覚えた。地に足が着いてからも、落ち着かない感覚が足裏にしばらく残った。(伊藤進之介)

 ■ここに注意

 屋根に上がる場合、どういうことに気をつけたらいいのか。労働局や瓦職人らの話を基にまとめた。

 十分な装備を

 ヘルメットの着用は必須。靴は底が硬くなく、足を動かしやすいモノ。生ゴム底の地下足袋が打ってつけだ。滑り止めのついた手袋は薦めるが、普通の軍手は厳禁。

 作業は複数で 2人以上で作業すること。転落事故はハシゴからの上り下りの際に起きることが多い。支える人、万一の場合に対応する人が必要だ。ハシゴは屋根の軒に掛け、雨どいの固定金具などに縛りつける。

 命綱も不可欠。固定する箇所がない場合でも、作業する屋根の反対側に車を駐車できれば、牽引(けん・いん)用フックに引っかけて、屋根をまたいで延ばす方法を専門家はとっている。

 屋根の上では注意深く 

屋根の下部には泥、砂などが特にたまりやすい。ほうきで掃くなどして上がる。上でも必要に応じて掃く。瓦が重なる部分が最も安定しているので、足はつま先に重心をかけて置く。見えない部分が破損していることもあるので慎重に。

 悪天候や朝夕は避けて 

 雨天や強風の日はもちろんのこと、朝露が残る朝方、視界が悪くなる夕方は作業をしない。

 無理は禁物 

屋根には傾斜、凹凸がある。足は十分に上げ下げできるかなど、作業の前に自ら確かめてみることも重要だ。

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