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'11/6/30

島根・鳥取で受信障害 夏の現象、日韓地デジ波が混信



 ▽1万8790世帯、BSで対応へ

 7月24日に迫った地上デジタル放送(地デジ)への完全移行を控え、島根、鳥取両県の約1万8790世帯で韓国のテレビ電波との混信による受信障害が発生していることが29日、分かった。通常は届かない韓国の電波が、夏場の気象条件により「異常伝搬」しているのが原因。総務省は暫定的に衛星放送(BS)などの利用で対応する方針だが、対象世帯ではローカル放送が視聴できず、天気など地域情報を入手しにくくなる恐れが出ている。

 中国総合通信局によると、受信障害は山陰2県の5市町で発生している。対象世帯は出雲市の約1万1630世帯が最多で、浜田市の約3千世帯▽益田市の約2530世帯▽大田市の約260世帯▽鳥取県大山町の約1370世帯―とみている。

 昨夏ごろから、画面の一部がモザイク状になったり、映像が映らず黒い画面(ブラックアウト)になったりする状態が各地で確認されている。最大で50分近く映像が乱れるケースもある。

 浜田市竹迫町の主婦三浦尚子さん(52)方では昨年6月、地デジ対応のテレビ受像機を購入。「映像が突然消えてしまい驚いた。最初は原因が分からず戸惑った」という。

 5市町の住民からの相次ぐ苦情を受け、通信局が調査した結果、2012年末を目指して地デジ化を進めている韓国のテレビ電波とのデジタル混信と判明した。

 通信局によると、通常は届くことのない韓国のテレビ電波が、夏場の気象条件で大気中で屈折するなどして異常伝搬。山陰地方で同一周波数の日本のテレビ電波と混信しているという。

 韓国と距離的に近い山口県では混信対策を実施していたが、山陰両県への異常伝搬は想定していなかった。両国間で協議し、最終的な周波数調整は12年度末となる見通し。

 通信局は当面、支援策を設け、BSの利用や地域のケーブルテレビへの加入を呼び掛けている。ただ、BSを利用した場合、首都圏の地上波放送しか視聴できない。既にBSで地デジを受信している浜田市竹迫町の看護師中川志靖(しのぶ)さん(44)は「BSだと、地域のニュースや気象情報が見られない。しばらくは我慢するしかないのでしょう」と嘆いていた。(浜岡学、川上裕)

【写真説明】韓国の電波との混信でブラックアウト状態となったテレビ画面(28日夕、浜田市竹迫町)




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