九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開問題について、海江田万里経済産業相が29日、佐賀県庁内で古川康知事と会談し、再開への理解を求めた。古川知事は国の原発安全対策に理解を示し、「安全性の問題はクリアされたと考える」と述べ、再起動を容認する意向を示した。県議会での議論を踏まえ最終判断する。運転再開すれば、東京電力福島第1原発事故後、定期検査で止まった原発では初めて。
7月1日に県議会原子力安全対策等特別委員会、同8日には県主催の住民説明会が控えており、古川知事はその後に正式表明する見通し。古川知事は運転再開の条件として▽安全性の確保▽玄海町の容認▽県議会の容認--の3点を提示し、対応を求めていた。
29日に佐賀県入りした海江田経産相はまず、玄海町を訪れ、岸本英雄・玄海町長と会談。この席で岸本町長は「安全は確認された」として運転再開を容認した。残る2条件のうち、安全性の確保については、海江田経産相が古川知事との会談で言及。福島第1原発事故について「原因は地震の揺れではなく津波。3号機のプルサーマル発電で使うMOX(ウランとプルトニウムの混合酸化物)燃料に由来する影響もない」と明言した。
また、政府の要請で中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)だけを停止させたことについては「大地震が起きる確率が非常に高いため」などと説明した。古川知事は会談終了後、「誠実なご説明があった」と、安全性の確保に理解を示した。
原発は、発電開始から2週間程度でフル出力に達するため、7月上旬に最終判断すれば、電力需要がピークを迎える8月下旬までに間に合うことになる。ただ、県議会や住民からの反発など曲折も予想される。【太田圭介】
==============
■ことば
佐賀県北西部の玄海町にあり、75年に1号機が発電を開始した。加圧水型原子炉4基からなり、出力は1、2号機が55・9万キロワット、3、4号機が118万キロワットの計347・8万キロワットという九州最大の発電所。3号機では09年、日本初のプルサーマル発電を開始。定期検査中の2、3号機は3月下旬に再稼働を予定していたが、福島第1原発事故を受けて延期されたままの状態にある。
毎日新聞 2011年6月30日 東京朝刊