金融委が家計債務対策、庶民の融資獲得困難(上)
金融委員会は29日、総額800兆ウォン(約60兆円)を超える家計債務の不良債権化を防ぐための「家計債務総合対策」を発表した。今回の対策は、金利が大幅に上昇し、返済能力が低い庶民が債務不履行に陥り、金融機関の経営が連鎖的に悪化することを防ぐための措置だ。しかし、今回の措置で、金融機関がローン審査を複雑化させる可能性が高く、庶民の融資獲得が困難になりかねない。信用限度が低い庶民が金利の高い貸金業者に押し寄せる可能性もある。
金融委員会が同日発表した対策の柱は、銀行をはじめとする金融機関が行き過ぎた融資を行わないようにすることだ。李錫駿(イ・ソクチュン)金融委常任委員は「家計債務は現時点では管理が可能だが、今後の金融市場で不安要因とならないよう、ソフトランディングを図ることが狙いだ」と説明した。
■固定金利・元金返済猶予なしのローン拡大
今後は銀行で変動金利型の融資を受けるのが現在より難しくなる見通しだ。一方で、固定金利型の融資を受ければ、利払い時の所得控除がこれまでより充実される。政府はこれにより、担保付き住宅ローン全体の5%にすぎない固定金利・元金返済猶予なし(非据え置き型)のローンの割合を30%まで増やす方針だ。変動金利型ローンは、利上げ実施時に債務者の負担が大きい上、元金返済猶予があるローンの場合、猶予期間が終了すると、返済額が急に大きくなるデメリットがある。
こうした問題を防ぐため、政府はローンの規模を縮小するのが望ましいと判断している。基準価額3億ウォン(約2260万円)以下、面積85平方メートル以下の住宅を購入し、担保付き住宅ローンを利用した債務者の場合、現在は一律1000万ウォン(約75万円)まで所得控除が受けられる。しかし、今後は固定金利・元金返済猶予なしのローンで所得控除上限を1500万ウォン(約113万円)に拡大する一方で、それ以外のローンに関しては同上限が500万ウォン(約38万円)に引き下げられる。このほか、現在変動金利型ローンを利用している債務者が固定金利型に借り換えを行う場合、中途返済手数料を免除する案も検討される。