低所得層で赤字家庭が増加、背景に物価高

1カ月の食費は昨年の2倍、貯蓄銀行への返済も負担

 夫婦共働きで1カ月200万ウォン(約15万円)ほどの収入を稼ぎ、息子と娘の2人の子供を育てるチェさん(42)は、今年に入ってから会社の食堂を利用せず、弁当を持って仕事に出掛けている。その弁当も、おかずはキムチだけだ。それでも1カ月の食費は50万ウォン(約3万7600円)から60万ウォン(約4万5200円)に達する。チェさんは「1年前は食費が月30万ウォン(現在のレートで約2万2600円、以下同じ)から40万ウォン(約3万100円)もあれば済んだ」と語る。

 今年の1-3月期、低所得層に占める赤字家庭の割合が、高所得層よりも早いペースで増加したことが分かった。低所得層は支出に占める生活必需品の割合が高いが、この生活必需品の物価が最近になって大幅に上昇しているからだ。

 生活必需品の物価が高騰している影響で、低所得層が肌で感じる体感物価も大きく上昇した。現代経済研究院によると、今年3月時点での消費者物価は年率換算で4.7%上昇したが、その際に所得下位20%の人たちが感じる体感物価上昇率は4.9%を記録した。一方で所得上位20%の体感物価上昇率は4.5%と平均以下だった。今年1月と2月を見ても、所得下位20%の階層の体感物価上昇率はそれぞれ4.5%と5.0%だったが、所得上位20%の層では4.0%と4.4%だった。

 実際の額でみると、1-3月期の所得下位20%階層の月平均支出は148万6600ウォン(約11万1890円)で、これは1年前の138万3000ウォン(約10万4090円)を7.4%も上回った。一方で所得上位20%の階層では月平均支出が538万3000ウォン(約40万5140円)で、これは1年前の529万5000ウォン(約39万8520円)に比べて1.7%の増加にとどまった。

 低所得層にとっては、体感物価だけでなく金利負担も重くなっている。韓国銀行によると、庶民が多く利用する相互貯蓄銀行の貸出金利の平均は、先月の時点で年16.7%に達していた。これは一般の銀行の家庭向け融資の平均金利である年5.5%の3倍にもなる。貸付業者から融資を受けると、年間40%近い金利を負担しなければならない。

 その影響もあり、今年1-3月期に所得下位20%の階層が1カ月に負担した支払利子は2万6100ウォン(約1970円)で、これは1年前の2万1200ウォン(約1600円)に比べると23.1%も上昇した。一方、全家庭を平均した1カ月の支払利子は1年前の7万2700ウォン(約5470円)から今年は8万1300ウォン(約6120円)となり、率にすると11.7%の増加にとどまっていた。つまり低所得層には平均で全体の2倍近い金利負担がのしかかっていることになる。このような状況でまとまった金が必要になった場合、低所得層が一気に赤字に転落してしまうのは当然のことだ。

 LG経済研究院のイ・グンテ研究員は「物価が急激に上昇していることに加え、家庭の借金も急速に膨らみ、元金の返済も滞るようになっている。これも低所得層で赤字家庭の割合が増えた原因の一つだ」と説明した。

方顕哲(パン・ヒョンチョル)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る