June 27, 2011

新国立劇場『ロメオとジュリエット』25日

ジュリエットの小野絢子は初役。バルコニーのパ・ド・ドゥでは膝下の美しさと柔らかな背中を生かし、幼さの残る娘の魅力を表した。年齢差を感じさせるロミオのデニス・マトヴィエンコが情熱的にリード。小野は芝居の掛け合いをする余裕はなく、切ない恋心は伝わるがロミオに向かう愛情表現が弱い。寝室のパ・ド・ドゥ中盤、ジュリエットが俯きロミオが体を反らす印象的なポーズが流れてしまったのは惜しかった。軸が甘く踊りが雑になる場があったが、本公演を全力で牽引したのはマトヴィエンコの熱演であった。バレエ団には大きな不満が残る。街に活気がなく舞踏会に迫力がない。二幕で多少立て直したが一幕は音楽に負けた。演技は有機的に結びつかず、生き急ぐ人々の疾走感がなく、勢いを失った群舞の流れが止まる瞬間があった。七年振りの上演でキャストの多くが初出演である事は考慮すべきだろう。バーミンガム・ロイヤルのプロダクションが、新国立劇場に合わないのではないかという疑問もある。理由は様々だが、現段階では上演の水準に達していないと言わざるを得ない。残り五公演でどこまで調子を上げられるのか。奇跡が起きることを願いたい。(森本ゆふ 2011/06/25 14:00 新国立劇場オペラパレス)



outofnice at 09:00短評 
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