政府は28日、国民に番号を割り当て、所得や納税実績などの情報を一元管理する「社会保障と税の共通番号制度」の法制化に向けた大綱案をまとめた。東日本大震災を受け、災害時に救護が必要な高齢者のリスト作りや被災者支援に役立てるなどの災害対応策を盛り込んだ。また、病歴などの医療情報は流出した場合の影響が大きいため、特別法を作って厳格に保護することとした。
この日の実務検討会で大綱案を了承した。30日に政府・与党の「社会保障改革検討本部」で正式決定し、今秋にも関連法案を国会に提出する方針。番号は2014年6月に交付し、15年1月の利用開始を目指す。
大綱案では、利用対象を年金や医療、介護保険、税務など6分野とした。個人や法人に固有の番号を割り当て、医療や福祉などの社会保障サービスを簡便な手続きで受けられるようにする。個人には、健康保険証や年金手帳などの機能をまとめたICカードを市町村が配布する。
地震など災害時の活用も盛り込んだ。個人の障害や要介護などの情報を一括して把握できるため、災害時に救護が必要な人のリストを作成するのに利用。被災者が預金通帳をなくしても金融機関から預金を引き出せるよう本人確認に活用したり、被災者生活再建支援金の給付などを迅速にできるようにする。