こんにちは。かのーです。
当ブログ初の2部構成、後編です。
まずは「ビネガーシンドローム」についての補足です。
前回、症状としてフィルムの「劣化」と書きましたが、ワカメ状に波打つもの、
あるいは縦にカールして平面に戻せなくなるものなど、さまざまな段階があります。
また、フィルムが単体で劣化するだけでなく、
信じられないことに空気感染するらしいのです。
伝染病のようにフィルムからフィルムへダメージが及ぶため、
救出したフィルムがもしビネガーシンドロームだったりすると
安全なところに置いたとたん他のフィルムにも被害が出る可能性があります。
さて、当社はどうでしょう。
救出したフィルムの中身はこの缶の中にあります。
おそるおそる私が、ではなくボスがゆっくり開けてみると
強烈な酢酸臭が!!
あぁ・・・こりゃだめかな・・・
と麻痺した嗅覚であきらめかけたのですが、
においはともかくフィルムは無事のようでした。
ぴっちりロールされており、見た目で確認できる症状は出ていません。
昭和40年代の中盤から昭和60年にかけての新しいものだったからか、
あるいは単に運が良かっただけなのかは分かりませんが、においがする時点で
ビネガーシンドロームの初期症状が疑われるため、他のフィルムと同じところには置けません。
いっぽう、缶以外のケースに
収納してあったフィルムは
すでに外周の一部がワカメ状に劣化していました。
さいわい、記録が始まる前の部分がやられただけなので割と簡単に復旧できそうです。
このフィルムは昭和40年代初めに撮影されたもので、
やはり古いものからやられてしまうのかも知れませんね。
ひととおり要救助のフィルムを
抱えて天満橋ビルをあとにしましたが、
恐るべきはビネガーシンドロームです。
これは企業に限った話ではなく、
フィルムを記録媒体として保存している
全国のあらゆる方々にとって大ピンチかも知れません。