此処は、ポケモン達の世界にある、とある小さな病院。その病院の中にある1つの病室のベッドには、ミミロル(♀)がいた。名前はマーガレットというらしい。 マーガレットは、重い病気を持っていたので、もう何年もずっと、その小さな病院の中で過ごしていたのだった・・・。 あまりにも重い病気だったので、医者からはもう治らないと言われていた。それでもマーガレットは、希望を持って毎日を過ごしていたのだった・・・。 マーガレットの友達のピカチュウ(♂)の「ピカピカ」は、ほとんど毎日のようにその小さな病院にお見舞いに来ていた。 今日もピカピカは病院に来ていて、果物とか食べ物を沢山持って来てあげていた。マーガレットは、バスケットの中に入った沢山のフルーツを見て、顔を輝かせた。 「わぁ・・・美味しそう!これ、ほんとに貰ってもいいの?」「うんっ!マーガレットが元気になってくれたら、嬉しいし・・・」ピカピカは微笑んで言った。 マーガレットは、早速バスケットの中からりんごを取り出すと、食べ始めた。とても美味しいみたいで、途端に笑顔になる。ピカピカはとても嬉しそうだった。 「病気が治ったら、また一緒に前みたいに遊べるよねっ!」「うんっ!またピカピカと一緒に遊びたいな!」と、2匹は笑い合ったのだった。 「・・・病気、もうすぐ治るんだよね?」とピカピカが聞くと、「うんっ・・・きっと来週には退院できると思うから」マーガレットはぎこちなく笑った。 それを聞いて安心したのか、ピカピカは「じゃあね〜」と言うと、病室から去って行ったのだった・・・。 「・・・・・。」マーガレットは無言になった。自分の命がもう長くない事を、知っていたのだった。でも、心配させたくなくて嘘を言ってしまった。 小さな病室の窓から、マーガレットは外を見た。そして、木々を見つめていた。「あの木の葉っぱが全部落ちる頃には、もう・・・」と呟いたのだった。 そして・・・また一週間くらい経って、ピカピカは今度はバスケットの中に焼き立てのパンをいっぱい入れて、病院に向かっていた。 「僕が焼いたパン・・・マーガレット、きっと喜んでくれるといいな〜」と呟いて、「こんにちはっ・・・」ピカピカは、病室のドアを開けた。 「・・・・・?」すると、何かがおかしい事に気がついた。いつもマーガレットがいた筈の病室には誰もいなくて、マーガレットの姿もなかった。 「おかしいな・・・なんでだろう・・・いつもベッドの上にいた筈なのに」電気もついていなく薄暗く、ベッドの上には誰もいなかった。 「・・・・・。」ピカピカが立ち尽くしていると、病室にラッキーの看護婦さんがやって来た。「あの・・・この病室にいたミミロルの子、どうしちゃったんですか?」 とピカピカが尋ねると、「あぁ・・・あの子ね。随分と重い病気だったみたいで、この前発作が起きて意識不明になって、亡くなられましたよ。」とラッキーの看護婦さんは言った。 「・・・え・・・」ピカピカの目の前が、真っ暗になった。持っていたパンが入ったバスケットが、床に落ちた。「・・・そんな・・・」 「まぁ、物凄く重い病気で、もう一週間もたないって言われていたからねぇ。仕方なかったのよ。じゃあ、貴方も早く帰りなさいね」と言うと、ラッキーの看護婦さんは病室から去って 行った。 「・・・・・。」ピカピカは、ずっと誰もいなくなった病室に取り残されて立ち尽くしていた。『また、治ったら一緒に遊ぼうねっ』と言っていたマーガレットの笑顔が思い出される。 あれは、嘘だったのだろうか。重い病気を隠す為に、僕に嘘をついていたのか・・・?ピカピカの目から、涙がこぼれ落ちた・・・・・。 -------------------------------------------------------------------------------- これも随分前に絵本用のシナリオとして書いた覚えがあ りますが、あまり覚えていません。 また同じような内容 を小説用として書き直しました。 なんかかなり暗い話に なっちゃいました・・・。 |