2011年5月4日 20時28分
【ワシントン白戸圭一】カーニー米大統領報道官は3日の記者会見で、米特殊部隊が殺害した国際テロ組織アルカイダの最高指導者ウサマ・ビンラディン容疑者(54)について「武装していなかった」と述べた。米政府は前日、同容疑者が銃撃戦に参加したとしていた。報道官は「抵抗には火器を必要としない」と述べ、「実際に彼は抵抗した」と強調、殺害は不可避だったとの認識を示した。しかし、武器を持たない同容疑者を射殺したことで、作戦の正当性について論議を呼ぶ可能性がある。
報道官によると、ヘリコプター2機でビンラディン容疑者の邸宅の敷地内に到着した特殊部隊は、二手に分かれて捜索を開始。一つのチームが邸宅1階で同容疑者の側近2人を射殺、女性1人が銃撃戦に巻き込まれて死亡した。側近は銃を所持していたとみられる。その後、このチームは2、3階に進み、一室で同容疑者を発見。一緒にいた妻が隊員に向かって突進、足を撃たれ、その後、同容疑者は射殺された。同容疑者、妻ともに武装していなかったという。
報道官は「捕捉が可能ならば、その用意もあった」と述べ、殺害のみを想定していたことは否定。「建物内には他に武装した人物が多数おり、銃撃戦が発生した」と説明し、「現場の隊員は徹底したプロの判断に基づき対処した。隊員は抵抗に遭遇し、彼(ビンラディン容疑者)は殺害された」と語った。
作戦終了後、容疑者の遺体をヘリコプターで北アラビア海上の空母「カール・ビンソン」に搬送。洗浄して白いシーツに包み、重しのついた袋に入れた。一人の士官がアラビア語に翻訳された宗教的な言葉を述べた後、板に載せた遺体を海中に沈めた。報道官は「ビンラディン容疑者の水葬はイスラムの教えと慣習に基づいて行われた」と述べた。