1次補正成立:復旧事業、難題山積み

2011年5月2日 21時16分 更新:5月2日 23時21分

 2日成立した11年度第1次補正予算は、「がれきの撤去」や「仮設住宅の整備」など、被災地復旧にあたってまず取り組まなくてはならない事業を柱に据えた。国からの財政支援が決まったことを受け、各自治体は復旧作業の本格化を目指す。だが、がれきの仮置き場や仮設住宅の用地探しは難航。福島第1原発からの放射性物質漏れの影響も大きく、長期戦は避けられそうにない。

 ◇仮設住宅用地 確保難航

 政府は第1次補正予算で、仮設住宅確保の費用3626億円を計上したが、用地不足で整備が遅れている。

 「とにかく土地がない。提供できる方は、ぜひ申し出ていただきたい」。大畠章宏国土交通相は2日、仮設住宅の用地確保の難航ぶりを嘆いた。国交省によると、岩手、宮城、福島の3県で建設要請は7万2000戸に上るが、沿岸部の被災地は平地が少なく、用地確保のめどが立ったのは5万1500戸分だけ。菅直人首相は同日、仮設住宅入居をお盆までに完了させたいとの当初の方針について、「私なりの見通しで発言した」と述べ、表現を後退させた。

 宮城県は3万戸を8月までに着工したい考えだが、約1万9000戸分の用地を沿岸部で確保できるめどが立っていない。県住宅課は「内陸なら確保できる」と説明するが、仕事や行方不明者の家族の捜索を続けているなどの事情で被災地近くを離れたくない住民が多いのが実情だ。

 一方、福島県は7月末までに1万4000戸の完成を目指し、うち876戸が完成した。ただ、計画的避難区域などからの要請にも対応できるよう、最大1万戸の追加建設を計画している。県建築住宅課の山本洋一主幹は「原発事故の状況次第では、さらに調整が必要だ」と不安を漏らす。

 岩手県は1万8000戸の建設・入居を7月末までに完了させるのが目標。2日時点で7819戸を着工したが、まだ5000戸の用地確保にめどがついていない。同県幹部は「入居をキャンセルする人もおり、必要な数の見極めが難しいが、できるだけ早く進めたい」と話す。

 国交省は今月16日までに仮設住宅建設の工程表を示す方針だが、3県にも用地確保で一層の努力を促す構えだ。【三島健二、山中章子、宇多川はるか】

 ◇がれき仮置き場も

 1次補正予算は、がれきの処理費用に3519億円、廃棄物処理施設の復旧費用に164億円を計上。地方自治体によるがれき処理費用や、処理施設の復旧費用への補助率を最高9割まで引き上げる。

 一方、環境省によると、震災で発生したがれきは推定約2500万トンと、処分に約3年かかった阪神大震災時の約1450万トンの約1.7倍。処分にあたる自治体の負担は極めて重い。

 岩手県は、県内のがれき(推計約580万トン)を11年度中に仮置き場に移す予定。だが、必要な用地300ヘクタールのうち、確保しているのは130ヘクタールにとどまる。宮城県は、県内のがれき(同約1500万~1800万トン)を約1年間で仮置き場に移し、14年までの約3年間でリサイクル、埋め立て、焼却などで処分する。ただ「現時点で撤去がどこまで進んでいるか把握できていない」(県廃棄物対策課)としており、計画通り進むかは不透明だ。

 福島第1原発事故の影響を受ける福島県は、さらに難しい作業を強いられる。県によると、推計約290万トンのがれきは主に、津波の被害を受けた沿岸部で発生。第1原発にも近く、放射性物質に汚染されている可能性があるため、国は来週から仮置き場に運ばれたがれきの放射線量を調べる。【金寿英、江口一】

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