2011年5月2日 20時48分
内閣府は2日、液状化による住宅被害の認定について、罹災(りさい)証明書発行の際の判定方法を示した「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」を見直し、都道府県を通じて全市区町村に通知した。東日本大震災で液状化の被害を受けた茨城、千葉県などで、一部損壊と判定され被災者生活再建支援法の対象外とされた多くの住宅が大規模半壊と判定され、支援金を受け取れるようになる見込みだ。
従来の指針では、20分の1(高さ20センチに対し水平方向に1センチ)以上の傾きが「全壊」。60分の1以上20分の1未満の場合は、一律に柱と基礎で計15%損壊していると計算したうえで、屋根や設備など他の損害割合を加えて20%以上40%未満なら半壊、40%以上50%未満は大規模半壊、50%以上は全壊と判定していた。だが、液状化被害では柱と基礎以外に損害が見られないことが多く、大半が半壊にも認定されなかった。
今後は、全壊の扱いは従来通りだが、60分の1以上20分の1未満の傾きを大規模半壊、100分の1以上60分の1未満を半壊と判定する。住宅の基礎などが地面に潜り込んでしまうようなケースについても、潜り込み量が床上1メートル以上は全壊、床までを大規模半壊、基礎の上部から25センチまでを半壊と判定する。
被災者生活再建支援法では、被害程度に応じた「基礎支援金」と住宅の再建方法に応じた「加算支援金」を合計で最高300万円まで支給。受け取れるのは全壊や大規模半壊の場合と、半壊で住宅を解体した場合だ。液状化被害を巡っては、一部損壊とされ支援基準を満たさないケースが相次いでいた。内閣府によると、今回の見直しで、液状化被害による被災者生活再建支援法の対象が、現在の数百軒から数千軒に増える見込みだという。【飯田和樹】