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新聞の情報量・網羅性を評価 新聞協会が震災避難者のメディア接触を調査 被災直後はラジオも 

 新聞協会事務局はこのほど、東日本大震災で避難所生活を送る岩手、宮城、福島3県の被災者のメディア接触状況調査結果をまとめた。震災から1か月半後の調査時点では、役立っているメディアに新聞を挙げた人が3県とも一番多く、全体の6割近くに上った。充実した情報量や生活情報の網羅性が評価された。震災直後に役立ったメディアは、岩手、宮城両県ではラジオ、福島県ではテレビを挙げた人が最も多かった。

 調査は4月30日から5月2日にかけ実施。震災直後と調査時点それぞれのメディア接触状況を聞き取りで尋ねた。岩手、宮城、福島3県の10~70歳代の男女117人から回答を得た。福島県については、埼玉や東京に避難している被災者にも話を聞いた。

 震災直後に役立ったメディア(複数回答、以下同)にラジオを挙げたのは、岩手13人(同県回答者の39.4%、以下同)、宮城では20人(41.7%)。津波の被害が大きかった両県では、停電や通信障害でテレビ、携帯電話が使えず、新聞も避難所によっては届くまでに時間がかかった。こうした中で、わずかな電源で動き、避難時に持ち出しやすいラジオの特性が評価された。宮城では「ラジオがなかったら津波にのまれていた」(30代女性)と話す人もいた。

 福島では、テレビが役立ったとの回答が11人(30.6%)で最多。原発事故で避難した内陸部の被災者は、当初から複数のメディアに接触できる環境にあり、回答が比較的分散した。

 新聞は、全ての県で2番目に多くの回答を集めた。岩手9人(27.3%)、宮城7人(14.6%)、福島6人(16.7%)だった。「安否情報や生活情報をじっくり読めた」(岩手・40代男性、40代女性、70代女性)「親戚や同級生の安否は新聞でしか確認できなかった」(宮城・40代男性)などの声があった。このほか、ワンセグ放送が役立ったと答えた人もいた。

 震災1か月半後の調査時点では、役立っているメディアに新聞を挙げた人が岩手22人(66.7%)、宮城23人(47.9%)、福島21人(58.3%)。3県全てで最も多くの回答を集めた。

 岩手、宮城では「支援情報など一通りの情報が載っている」(岩手・40代男性)「医療機関の状況を把握しやすかった」(岩手・20代女性)「避難所には電話帳がない。市役所などの問い合わせ先が載っており役立った」(宮城・70代男性)など、多様なニーズに応えられる情報量や、生活情報の網羅性が高く評価された。福島では、被災者の関心は原発事故の報道に集中。放射線量に関する記事もよく読まれていた。

 新聞はじめメディアに対する要望も尋ねた。津波による被害が大きかった岩手、宮城と、原発事故にも見舞われた福島では、メディアに求める報道も異なる。

 岩手・宮城では、特に被害が大きかった地域に報道が集中していたとして「地元の報道が少ない」(岩手・60代女性、宮城・10代女性、30代女性)との指摘があったほか、よりきめ細かい生活情報を求める意見が寄せられた。新聞については、検討段階の復興策などについては慎重な報道を求める声があった一方、今後の見通しや方向性を伝えてほしいとの要望もあった。

 一方、福島では、政府・東電への不信から、新聞に正確な情報提供や深い取材を求める声が多く寄せられた。また、自宅が現存する被災者も多いことから、地元の状況を伝えてほしいとの要望もあった。

 調査結果は『新聞研究』7月号にも掲載します。

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