東京電力は22日、福島第1原発事故で避難を余儀なくされた住民の精神的苦痛への賠償規模について、約15万人が対象で合計880億円との見積もりを発表した。東電は支払いに向けた準備を進めている。
今回公表したのは、事故発生の3月11日から、工程表で原子炉を冷温停止状態にすると説明している来年1月中旬ごろまでの賠償額。11年4~6月期連結決算で880億円を特別損失として計上する方針。東電は11年3月期は合理的に算定できないとして、原発事故の賠償関連の費用計上を見送っていた。
精神的な苦痛への賠償額をめぐり、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が20日に具体的な基準を示したのを受けて見積もりを実施した。
審査会の基準では、仮設住宅やアパートの避難住民の場合、事故発生から6カ月間は月額10万円で、避難所や体育館など生活環境がとりわけ過酷と認められる住民は2万円加算し12万円。事故発生後6カ月から1年の間は避難先を問わず一律月5万円となっている。1年以降の賠償については、引き続き検討することになった。
毎日新聞 2011年6月22日 19時07分