3年前、神戸市内の大学に通っていた男子学生が、部活動の合宿中に上級生などに酒を飲むことを強要され、死亡したとして、両親が大学と上級生などに損害賠償を求めていた裁判で、男子学生が飲酒を強要されていたことを大学が認め、上級生などが和解金を支払う内容で和解が成立しました。
この裁判は、3年前、当時神戸学院大学の2年生で20歳の男子学生が、所属していたユースホステル部の合宿中に酒を飲んで死亡したことを巡り、学生の両親が、その場にいた上級生など20人と大学を訴えていたものです。両親は、上級生については、酒の回し飲みを強要し、意識を失ったあとも適切な救護をしなかったとして、また、大学については、学生らの安全管理を怠ったとして、合わせておよそ1億円の損害賠償を求めていました。原告と被告、双方の弁護士によりますと、神戸学院大学は、上級生が男子学生に対して心理的に飲まざるをえない状況に追い込んだことを認め、上級生などが一定の和解金を支払うことなどで、27日、和解が成立しました。これについて原告の父親は、「息子が勝手に酒を飲んで、勝手に死んだのではないということを証明したかった。息子の名誉を守ることがやっとできた」と話しています。酒の席での嫌がらせ、いわゆるアルコールハラスメントの問題に取り組んでいるNPO団体によりますと、大学生の飲酒を巡る裁判で、大学が飲酒の強要があったことを認めるのは極めて異例だということです。裁判が和解したことを受けて、神戸学院大学は「裁判所の勧告を尊重して和解しました。アルコールハラスメントの防止に向け、今後も学内で啓発に努めてまいります」とコメントしています。