2011年6月27日13時19分
東京電力福島第一原子力発電所の事故による福島県民への放射線の健康影響を見守る調査が27日に始まった。当面は空間線量が比較的高い浪江町、川俣町、飯舘村の3町村の住民120人を対象に予備調査を実施。体内に取り込まれた放射性物質による内部被曝(ひばく)がどの程度あるのかを確認し、本格調査の手法を検討するという。
調査は30年以上にわたって追跡する見込みで、これほど長期で大規模な取り組みは例がないという。ただし、すべての放射性元素を調べるわけではなくヨウ素とセシウムだけで、骨に蓄積しやすく長い間、体に影響を与えるストロンチウムは調べない。推計の精度も原発の作業員管理の場合より低いと見られるなど、課題も多い。
内部被曝は放射線医学総合研究所(放医研、千葉県)で計測する。初日のこの日は浪江町の30〜67歳の男女10人が早朝、バスで放医研に向けて福島県を出発。正午前に放医研に着いた。
予備調査で行うのは全身の被曝線量を測る「ホールボディーカウンター(WBC)」による検査など3種類の実測検査と尿検査。このほか、行動調査もする。本格調査の内容を固めるための先行調査という位置づけだ。対象となる約120人のうち約50人が19歳以下の子どもや未成年。