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LED照明:白熱灯・蛍光灯置き換え 節電は原発13基分

 日本中の白熱灯や蛍光灯を消費電力の少ないLED(発光ダイオード)照明に換えた場合、国内の年間電力消費量の約9%に相当する922億キロワット時の節電になることが、経済産業省所管の財団法人・日本エネルギー経済研究所の試算で分かった。節電分は原子力発電所13基分の発電量に相当し、同研究所は「導入促進は、即効性が高くて持続性もある省エネ対策となる」と指摘する。【江口一】

 東京電力福島第1原発事故を受け、エネルギー政策の見直しや省エネ対策に関心が集まる中、柴田善朗主任研究員らがLED導入による節電効果を試算した。LED照明は同タイプの白熱灯の約8分の1、蛍光灯の約6割の消費電力で、寿命は白熱灯の数十倍、蛍光灯の数倍以上と長い。

 国内の照明器具の総数は推定16億個で、内訳は家庭で8.7億個、オフィス・商業ビルなどで5.8億個、製造業などで1.6億個ある。使用時間を考慮して年間電力消費量を推定すると、家庭用が382億キロワット時、オフィスなどが891億キロワット時、製造業などが233億キロワット時で計1506億キロワット時だった。

 照明器具を全てLEDにすると、推定年間電力消費量は家庭で141億キロワット時、オフィスなどは346億キロワット時、製造業などは97億キロワット時で計584億キロワット時にとどまり、節電量はオフィスなどの業務部門が最も大きかった。

 課題はコストで、価格は電球型で白熱灯の約20倍以上、蛍光灯の2倍以上かかり、初期費用は高い。全てをLED化すると初期費用は15兆7000億円かかる。一方、白熱灯のみを全てLEDに置き換えた場合でも273億キロワット時、原発4基分の節電効果が見込まれ、費用は8500億円に抑えられるという。

 同研究所は「オフィスや家庭で、簡単に取り外せる白熱灯をLED照明に交換するだけでも節電効果がある。導入を段階的に進めていけばいいのではないか」と指摘している。

毎日新聞 2011年6月27日 15時00分

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