4月29日(日)市立宇和島病院調査委員会の報告について
市立宇和島病院の調査委員会(委員長、深尾立・千葉労災病院長)は、最終報告書を市川幹郎院長に提出しましたが、移植患者1人の死因について「持ち込みB型肝炎ウイルスによるものだった可能性は否定できない」と病気腎移植との因果関係に踏み込む見解を初めて示しました。
これを各社報道していますが、各新聞により取り上げ方が異なりますので、できるだけ多くの情報を知ることが必要かと思います。
今回は、万波医師の反論部分のみ集めましたので、参考にしていただきたいと思います。
4/30愛媛新聞
「(前略)・・・これに対し、万波医師は「同じ摘出患者の腎臓を移植したもう一人の患者には肝障害などの症状が出ていない」と因果関係を否定。当時を振り返り「内科医に相談の上、移植でウイルス感染する恐れはないと判断した。感染の恐れがあるなら移植は絶対にしなかった」と反論した。
宇和島徳洲会病院泌尿器科の小島啓明医師は「摘出患者を検査した一九九七年当時は、HBs抗原ではなく、HBe抗原が陽性か陰性かで感染の危険度を判断していた」と説明。同患者はHBe抗原に対する抗体ができる「セロコンバージョン」状態にあったとし「肝障害を起こす可能性はほとんどなかったはずだ」と話している。」
4/30読売新聞
「(前略)・・・
4/29共同通信
4/30東京新聞
「(前略)・・・万波医師は取材に対し「感染しないと考えていた。患者の死因は重症膵炎で、肝障害は直接関係ない」と話した。」
4/30産経新聞
「(前略)・・・万波医師は取材に対し「感染しないと考えていた。患者の死因は重症膵炎で、肝障害は直接関係ない」と話した。」
「(中略)・・・万波誠医師の話 「提供者がB型肝炎ウイルスの検査で陽性だったことは知っていたが、市立宇和島病院の内科医が当時の基準で『感染力がない』と判断したから、移植に使った。患者の死因も重症膵炎で、肝障害は直接関係ない。膵炎の患者がほかの臓器に障害が出ることはよくあるケースで、B型肝炎ウイルスが原因で肝障害になったわけではないと思う。(報告書は)ポイントがずれているのではないか」
4/29付けネットの朝日新聞
4/29付けネットの毎日新聞
ネットで見る限り、万波医師の反論掲載なし
フロリダ大学藤田士朗助教授の意見
2月16日(金)に宇和島市立病院時代の万波Drの病腎移植で、
1)B型肝炎のドナーから移植した
2)膿瘍腎を摘出し移植に用いた
3)梅毒の患者からの尿管癌を癌部分切除した上で移植した
以上の3点において日本移植学会が読売新聞にリークし、マスコミから袋叩きになりましたが、1)については市立宇和島の肝臓専門の内科医にコンサルトしており、殆ど感染の可能性が否定された事を受けて万波Drが2人の患者に移植しています(ネフローゼ腎ですので2つ腎摘です)。現在、市川院長も血清学的にはHBE抗原(-)、HBE抗体(+)で、殆ど感染の可能性が少ない事を厚労省に最近報告する予定ですし、また
2)については、完全重複腎盂尿管で、上の腎盂・腎杯に腫瘍あるいはTBを含む炎症を術前検査で認めており、手術時に際し膿瘍を認めたため、上の腎を半分ネフレクトミーし、患者の同意を得た上で移植したケースであり、両側尿管の断端も癌悪性は認めず。
3)については、血清学的にはRPR法で2倍で全く治癒しており、過去に梅毒の感染の痕跡があったに過ぎないのですが、これが外部委員会から、あたかも新鮮な梅毒の如くリークされました。全く個人の性病に関するプライバシーに関わるもので、許せない気持ちです。
こういったマスコミへのリークからのマイナスイメージを煽り立てた上で、土曜日(2月17日)の大阪での第3回目の徳洲会病院の内外部委員会と、さらには日曜日に予定された宇和島市での難波Drの講演あるいは病気腎移植を推進する会へのダメージや、厚労省への署名と病気腎移植を推進する会の代表が、上京する勢いを削ぐ目的であったものと思います。
5/1
市立病院調査委員会の報告について
www.setouchi-ishoku.info/article.php/20070501164629986
4月30日各紙の朝刊は市立宇和島病院調査委員会(委員長深尾立元日本移植学会理事長)が、病気腎移植25件をすべて不適切であったと判断したと伝えた。
そのうち、2000年12月ネフローゼの患者がB型肝炎に感染していたにもかかわらず、万波先生がその腎臓を摘出、移植したために移植患者が肝炎を発症し、それが原因で死亡した可能性もあると報じられたケースについては、万波先生は本ブログの4月9日付「偏見を与えるフジテレビ報道」の記事においても、釈明をしてきたところである。
ここに再度、以前の別の記事を再録して、万波先生の医療が不適当ではなかったことをお伝えする。
専門委員会調査報告への反論(1) 万波 誠
B型肝炎ウイルスの検査二種類が陽性との報道についての詳細を連絡させていただきます。
ドナー(女性)の肝炎ビールス検査データ 実施1997
HBs抗原 34.50(+) Cut
HBe抗原 0.30(-)
HBe抗体 101.00(+) inhibition
上記の結果で当時の宇和島市立病院内科医師の判断で感染性はないとの評価を受けています(e抗原(-)、e抗体(+)をセロコンバージョンをしている状態といいます)。(注3)
また今日、肝臓専門医にコメントを求めたところ、当時の肝臓病の常識として感染性はないと判断されるとのことです。(注4)
尚、ここ数年ではHBウイルスのDNA定量を行って判定するようになっています。
HBs抗原(+)、e抗原(-)、e抗体(+)の場合20%の頻度で無症候性キャリアの可能性があるとのことです(肝機能正常で)。
従って現在ではDNA定量を行ってドナーの適否を決定することになりますが、当時の判断として、以上の理由でドナーとされても間違った判断ではないと考えます。
また、レシピは現在通院中で肝炎の検査で異常は認められていません。もう一人のレシピは他病死されています。
(林 コメント)
文中の(注)を以下に書きますが、私が万波誠先生に、素人にもわかるように説明をしてもらった部分です。正確さをかくかもしれませんが、ご容赦下さい。
(注1)
(注2)HBe抗体とは、B型肝炎ウイルス抗原に対して、これを攻撃する免疫の存在を意味します。値が30以上の101なので(+)の評価となります。
(注3)セロコンバージョンとは、病気の回復過程にあるという意味です。
(注4)当時のこれらのデータの評価を示す文献として、例えば、日本消化器病学会雑誌98巻P206からP213,2001年があります。
以上です。
次に新聞社によっては正確に報道されていない部分があります。
4/30朝日新聞
「(前略)同病院の調査委員会が29日の最終報告で発表。この中で、病気腎移植については、25件とも不適切だったと全面否定の結論を出した。」
と報じているが、愛媛新聞は次のとおり詳しく報道しています。
4/30愛媛新聞
「同病院での病気腎摘出・移植への医学的適否は、
摘出二十件については腎がんなど十四件を不適切▽尿管狭窄(きょうさく)など二件を容認または条件付きで容認▽尿管がん四件を妥当―と判断。
移植二十五件では、腎がんやネフローゼ二件など十四件を不適切▽腎血管腫(しゅ)など四件を容認▽ネフローゼ四件は「重大な問題がある」としつつ、経過観察が必要―とした。」
朝日新聞報道のように、「25件とも不適切だったと全面否定」はされていないようで、朝日新聞のこの問題に対するいい加減な報道姿勢が垣間見えます。
愛媛新聞は批判も徹底していますが、最近は正確な記事をよく書いておりこの点は感心しています。
また毎日新聞は
「(前略) 一方、腎動脈瘤については「(親族間での)生体間などで報告例もあり、手続きをきちんとすれば(移植手術ができる)可能性はある」、ネフローゼ症候群は「軽度ならば可能なこともある」などとして、将来的な病気腎移植の可能性は残した。【加藤小夜】毎日新聞 2007年4月29日 19時28分」
と腎動脈瘤やネフローゼ症候群は、手続きをきちんとすれば可能性があるとも見解発表があったことを正確に伝えています。他紙には見当たらない記事です。(ただし、万波医師の反論は掲載するつもりはないらしい。毎日らしい扱いです。)
by izaizaiza0705
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