「大相撲名古屋場所番付発表」(27日)
日本相撲協会が27日、大相撲名古屋場所(7月10日初日・愛知県体育館)の新番付を発表した。八百長問題による処分で角界を去った関取が17人も出た影響で、幕内では高見盛と木村山が44年ぶりに前場所で7勝8敗と負け越しながら番付を上げた。十両では5人が5勝10敗で番付を上げる珍事も。横綱白鵬が史上最多の8連覇を、関脇琴奨菊が大関を目指す一方で、異例ずくめの新番付となった。
◇ ◇
勝ち越せば上がる、負け越せば下がる。そんな番付の常識が八百長問題の影響で覆された。前の場所で負け越しながら番付を上げたのは幕内で2人、十両で9人。十両では史上初めて、6勝9敗や5勝10敗で番付を上げるケースも生まれた。処分者の分を補充するためとはいえ、力士には過保護とも言える編成だ。
5月技量審査場所後の番付編成会議では、新十両と再十両を合わせて戦後最多タイとなる13人の昇進が決まった。対照的に幕内から十両へ、十両から幕下への陥落は史上初のゼロ。目新しい顔ぶれが番付を彩った。
この珍事を素直に喜んだのが高見盛だ。「番付は変わらないかなって思っていたんですけど、負け越しても上がっていた。素直に喜ぶしかないっしょ。数字の上では上がったんですから」と“昇進”に胸を張った。左脇腹痛などで先場所、力を発揮できなかったことも「あれが結果」と潔く受け止めている。
1枚番付が上がり、来場所は2人力士が補充されることを考えても、今場所6勝以下なら十両への降下が濃厚となる。幕内一の人気者は「その時はその時。とことんやって、後はまた考える。今は自分のできることを精一杯やるだけ」と進退問題を封印して全力で場所に挑むことを誓った。
力士を見守る親方衆も前向きだ。名古屋場所担当部長の友綱親方(元関脇魁輝)は「負け越して上がるというのも全くなかったわけじゃない。相撲ファンの方には新顔が多い十両も面白いかもしれない」と、珍事そのものを楽しんでもらおうという考えだ。
入場券の売れ行きは「巻き返して来ている」(友綱親方)というが、まだまだ先行きは不透明だ。新顔続出、異例の番付を起爆剤にして、半年ぶりの本場所を盛り上げる。
ソーシャルブックマーク・RSS・twitter・Facebook