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「コピーこそ芸術のすべて」 ジミー桜井、ステージ「蘇生」

2011年2月19日12時44分

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写真:ジミー・ペイジをコピーするジミー桜井拡大ジミー・ペイジをコピーするジミー桜井

 中、高校生のロックバンドはプロの「コピー」から練習を始める。プロになる一握りのエリートは、カバー(再演)はすれどもコピー(複製)はせず。だが中には、コピーに生涯をかけたミュージシャンもいる。レッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジに取り憑(つ)かれたジミー桜井は、その分野の世界的な第一人者だ。

 桜井は、外見やアクションをまねるだけの「そっくりさん」ではない。「○年○月○日、××でのステージ」をそのまま再現する。

 桜井を筆頭に、米国のコピーバンド、レッド・ツェッパゲンからスワン・モンゴメリー(ボーカル)、ジム・ウートゥン(ベース)、そしてペイジと同じバンドにいたこともあるクリス・スレイド(ドラムズ)が集まり、スーパー・コピーバンド「ヴォンゼップ」を結成。3月、東京で初のステージに臨む。

 世界にツェッペリンのコピーバンドは多いが、桜井率いる日本のバンド、ミスター・ジミーは類例を見ない。衣装や楽曲の精密再現は言うに及ばず。楽器やアンプ、エフェクターなど当時の使用機材を写真などから正確に追いかけ、「本物の蘇生」を図る。

 「音程を拾うのはだれでもできるし、皆がそこで終わる。でも僕はそこがスタート。ピックアップのポジションは? アンプのボリュームは?――と追究していく」と桜井は話す。

 「追えば追うほど遠くなる。一つ謎が解けると、じゃあコイルは何回転巻いてんの? アンプは何ボルト? 真空管には何アンペア流す? ケーブルの長さは何メートル?――二つ三つ分からないことが出てくる」

 自身を「音楽的ストーカー」と冗談めかすが、その姿勢は求道者により近い。

 文学も映画も絵画も、偉大な芸術は例外なく、偉大な先行作品のコピーから始まる。しかし小説や絵画をそのまま複写すればそれは「剽窃(ひょうせつ)」と呼ばれる。コピーという行為自体がアートにまでなり得るのは、音楽や演芸のライブなど一回性表現分野ならではの特性だ。

 「コピーは下位のもの、稚拙なものと思われている。僕の考えは全然違う。コピーこそが、芸術のすべてなのだとさえ思う」

 ヴォンゼップのライブは3月6日、東京・渋谷のクラブクアトロで。問い合わせはザック(03・5474・9999)。(近藤康太郎)

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