【上海・隅俊之】政治の北京、経済の上海という2大都市を高速で結ぶ「中国版新幹線」の開業は、中国の高度経済成長を象徴するイベントと言える。当局者は「中国共産党創建90周年の贈り物」と胸を張り、沿線開発などの経済効果も見込まれる。ただ、中国側は海外技術をベースにしながら独自開発と主張、安全運行への懸念もあり、期待と疑念、不安が交錯する中での走り出しとなりそうだ。
新華社によると、高速鉄道の済南西駅(山東省済南市)では、開通前から周辺の不動産価格が上昇した。同駅から北京南駅までは約1時間半。通勤圏に入ってきたという目算だ。駅から約1・5キロのエリアでは、2年前は1平方メートルあたり4000元前後のマンション価格が6400元に達し、将来的な値上がりも期待できるという。
高速鉄道の整備で、航空業界は苦戦を強いられる。中国紙、国際金融報によると、北京-上海間のドル箱路線を抱える中国東方航空では、高速鉄道開業により同区間で最大20%の顧客を奪われると予測。業績の悪化は不可避との見方が強い。
主力の使用車両は日独の技術がそれぞれ生かされた「CRH380A」と「CRH380B」。前者について、中国側は独自技術により時速380キロ走行を可能にしたと主張、米国での技術特許申請を検討中と報じられた。中国鉄道省の技術責任者、何華武氏は試乗会で、前者を「『中国南車』が研究開発、製造した車両」と説明し「この型の車両を米ゼネラル・エレクトリック(GE)と合資生産する契約を締結した。具体的には次の協議で詰める」と明かした。
技術供与した川崎重工業を中心とする日本企業連合が米カリフォルニア州の計画参入に名乗りを上げる一方、中国側も米国での受注を目指しており、一連の動きには米国での鉄道競争で優位に立ちたいという中国側の思惑がにじむ。
高速鉄道は当初350キロでの運行が予定されていたが300キロでの営業となった。「減速」の背景にあるのが、劉志軍・前鉄道相の汚職疑惑だ。
劉氏は高速鉄道事業の入札で約20億元(約250億円)の賄賂を受け取った疑いで失脚。今月、元鉄道省幹部が中国紙に、前鉄道相が独自の技術的裏付けのないまま「世界一」にこだわり最高時速を設定したと証言した。
北京-上海間では、運転席の足元に異常確認のためのボタンが設置され、運転士が一定時間ごとに踏まない場合は異常があったと判断され、列車が自動停止する仕組みだ。
また地震を感知して列車を減速、停止させるシステムも導入された。
毎日新聞 2011年6月27日 22時24分(最終更新 6月28日 0時49分)
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