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[28557] 影 ~藤林姉妹編~ (CLANNAD)
Name: ラルド◆41083393 ID:9d975686
Date: 2011/06/26 00:26
私立光坂学園に入学してから三年。
教育基本法の改正によって高等教育過程の年数が六年間になったことから、いままで受験一筋でやってきていた奴らは皆少しうれしそうに学校に来ていた。
かく言う俺、シャドウ・ホーネスもその中の一人。国内の最高学府の合格は確実といわれていた俺は、油断するなという担任や親の言うままに勉強一筋でこの高校生活を送ってきた。でも、もうその必要はない。

俺は今日、久しぶりに友人と遊ぶことになっていた。


商店街のアーケード。学校の奴らがよく待ち合わせ場所に使うというそこで、俺は友人を待っていた。
「ホーネス、待ったか?」
「シャドウ、待ってないわよね?」
「ホーネス君、おはようございます」
友人、というのはこの三人だ。岡崎朋也、藤林杏、藤林椋。俺はこの三人と何の因果かなんでも気軽に話せる友人になっていた。
「おう、みんな集まったな?」
「まぁぁぁぁぁぁぁってぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「じゃ、行くか」
「待てって言ってるだろ?!」
何だ、ゴチャゴチャうるさい。春原を呼んだ覚えはないぞ。
「遊びなら世故に長けたこの僕に任せて・・・」
「いい店があるんだ。いこうぜ」
「「「おう(はい)」」
「委員長までスルーしないでくれます?!」
そんなわけで、俺と岡崎と藤林姉妹、そして何かわからんゴミ一個は商店街を歩いていったのだった。

商店街は夏の暑い日差しが直接入ってきてめちゃくちゃ暑い。
「春原。お前スーパーで全員分のミネラルウォーター買って来い。例外は認めないから早く行け。」
「パシリッ?!」
「何を言っている。パシリに失礼だろう。」
そんなようなやり取りをして、我々は今まだ帰ってこない春原を涼しい木陰で過ごしていた。
「結構違うんだね、木陰に入るだけで。」
「皆があまり影に入りたがるから、周りを涼しくして追い出そうとしてるんじゃないか?」
「うん、一見したら夢のあるファンタジーだけどよく聞くとそれってファンタジックなだけ最悪だから。」
涼しくなったことからか、そんな軽いやり取りも出来るまでに回復した。
「これで風がありゃ完璧だな・・・」
そう俺が言うと、不意に爆音が商店街に響いた。周りのガラス窓がびりびり震えている。
「んだ、この音はぁ?!」
「ヘリコプターのローター音・・・それも軍事用のだな。おそらくはタンデムローター式のCH-47JAだろう。」
「詳しいんですね・・・」
「親がそういうのに詳しい影響かな。」
そのうち爆風が商店街を襲う。そしてついに。
「予想、大当たり。自衛隊の第一ヘリコプター団か。」
迷彩色に彩られたヘリコプターがこの広場の木々を圧迫するかのようにゆっくりと降りてきた。ホバリングという体勢に入ったCH-47JAのカーゴドアが開き、黒いスーツを着た男たちが降りてきた。
「なに、あの人たち。」
「さぁ。俺にもわからん。」
そう言った会話があちこちで繰り広げられる中、その男たちはあろうことかこちらに歩いてきた。
「こっちにくるか。いい度胸だな。」
そういって言葉で先制攻撃してやると、男たちは目に見えて退いた。
「・・・まさか、ホーネスさんのご子息がいるとは・・・」
「しかし、ここで退けばチャンスがない!」
そういって男たちは懐から書類を取り出した。

「自衛隊法関係文書、第八千五百三十二号だ!この地域において我々はこの地域の国民に対してあらゆる権限を行使できる!よって、我々は今回のテロ事件の重要参考人として藤林椋の身柄を拘束する!」

時間が止まったかのようだった。そして、一番早く覚醒したのは杏だった。杏は背中で椋をかばうと同時に前に出て男たちを押しやった。しかし男たちは焦らずに腰に手をやり、そこから拳銃と思しき物体を引き抜いた。杏が反応する直前に彼らのうち一人が杏の膝に向けて・・・。

銃弾を放った。銃弾は杏の膝を打ち砕き、杏は叫び声すらあげずにくずおれた。

「確保。引き上げるぞ」
「了解。」
そういって男たちは足早にヘリコプターに乗ってしまった。CH-47JAは重い羽ばたきの音を残して飛び去ってしまった。
「岡崎。救急病院・・・いや、赤十字病院の手配。俺はドクターヘリを呼ぶ。急げ。」
「あ、ああ!」
そういい残すと俺は携帯である場所へ連絡した。その場所とは・・・。

(ダガー1、エンジンスタート。コンバットレスキューは直ちに出動せよ。繰り返す。コンバットレスキューは直ちに・・・)
海上自衛隊、横須賀地方総監部。ここに駐屯していたコンバットレスキューに出動要請が入ったのはついさっきのことだった。
「コンバットレスキューへ、命令の詳細が降りました。市街地で自衛官による発砲事件が発生。民間人が被弾、重症。直ちにこれを救出、及び指定の赤十字病院に搬送せよとのことです。」
「了解した!ダガー1、テイクオフ!」
群青色のヘリコプター、UH-60Jが一気に空へ舞いあがった。民間人の市街地からの救出という、コンバットレスキュー前代未聞のミッションのために。

栃木県宇都宮市。ここの陸上自衛隊基地には先程のヘリコプターの所属原隊が存在する。しかし光坂市で観測されたCH-47JAはこの基地の識別コードではなかったのだ。しかし、それがわかったときにはもう遅かった。

藤林椋はそのときにはもう、市谷駐屯地の地下にある情報局本部で拘束されていたのだから。


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