ブロッキングは、児童ポルノの流通を防止する方法としては不十分で、流通を完全に止めることはできない。そのうえ、「通信の秘密」の侵害や、児童ポルノに当たらないサイトまで遮断してしまう「オーバーブロッキング」の問題もある。目的は崇高だが手段が悪い。被害児童が低年齢で、顔が分かる、性交または性交類似行為の画像であるなど、重大な権利侵害を伴う事例に限って行われるべきだ。
より良い方法は、当該情報に限定した削除と、ネットに流通させた犯罪者を検挙することで、検挙を徹底すれば抑制効果があるはずだ。それだと権利侵害もない。ブロッキングは「やむを得ずやっている」と周知させていく必要がある。また、通信事業者が利用者の接続履歴を調べることは、本来、電気通信事業法違反だ。もし、作成したリストの内容に警察当局が関与するようなことがあれば大問題になる。
毎日新聞 2011年6月18日 東京朝刊