ただ今回の構想では、「自動車用と定置用では要求仕様が異なり、それぞれ特化して作った方が効率的」(宮田氏と同じグループで自動車用電池に詳しい東京大学特任教授の堀江英明氏)という考え方が基本にある。
■「1GWh規模」でコスト競争力
今回の構想の裏側には、日本の電池産業の復権が大きな狙いとしてある。携帯電話機やノートパソコンのリチウムイオン電池では、かつて日本メーカーが世界市場で圧倒的な強みを発揮していたものの、今や韓国勢や中国勢に追い上げられている。
自動車用ではまだ勝敗に決着がついていないものの、すでに設備投資競争の様相を呈しており、厳しい戦いを強いられている状況だ。ここで定置用に特化した大規模工場を世界に先駆けて建設し、コスト競争力で世界的に優位に立つことで先手を打とうというわけである。
東北の地を選んだのは“産業復興”という意味合いが強い。「1GWh規模からスタートすれば年間300億円の売り上げ、約2000人の雇用を生み出せる」(宮田氏)という。
設立総会では会場から「日本が製造分野でアジア勢に勝てるのか」と疑問の声も上がったが、「電池単体ではなく、社会システムとしてブラックボックス化して勝負すれば勝ち目はある」(宮田氏)と反論した。つまり、電池というハードウエアだけでなく、それを効率よく使いこなすノウハウを含むシステムとセットで提供するわけだ。
肝心の担い手となる電池製造会社は未定だが、「既存の電池メーカーに限らず、経営のスピード感、意思決定力のある日本企業にぜひ手を挙げてほしい」(宮田氏)とする。投資資金には官民ファンドを活用することなどを想定しているが、被災地の特区指定による税制優遇や補助金といった国からの支援も引き出したいとしている。
(テクノアソシエーツ 朝倉博史)
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