ウルトラマンレオ第28話
日本名作民話シリーズ!
帰ってきたひげ船長! 浦島太郎より


−星獣キングパラダイ パラダイ星人登場−

夜の暗い海辺に漂うグリーンの影、突如黒いひげの船長の前に現れた海底の楽園。
それはパラダイ星人の恩返しだった。
だが地上では村人への怒りを込めて、キングパラダイの報復が続く。
その時MACは!?ゲンは!?みんなで見ようウルトラマンレオ!

MAC基地。
白土「消えた……!隊長、Gポイント6724がレーダーから消えました」
ダン「潜水艇だな……海底へ潜ったんだ」

マッキー3号でパトロール中のゲン。
ダン「マッキー3号応答せよ!」
ゲン「こちらマッキー3号!」
ダン「モロボシだ!正体不明の潜水艇はレーダーから消えた!Cポイント6724付近の海底を捜索せよ!」
ゲン「了解!」

釣りをしているトオルとカオル。そこにひげの船長が来る。
船長「君達、東京から来たのかい?」
カオル「ええ、おじさんは?」
船長「港で大きな船を見なかったか?」
カオル「白い?」
船長「うん」
トオル「見たよ」
船長「おじさんはあの漁船の船長だよ。あの白い漁船に乗って赤道を越えて遠くまで魚を捕りに行くんだよ」
トオル、カオル「へぇ〜」
その時、浜辺に村人に追われて星人の子が逃げてくる。
星人の子「やめてぇ〜!」
村人「人間じゃないぞ、こいつは!」
村人「魚の捕れなくなったのもこの野郎のせいだ!」
村人「化け物だ!殺しちまえ!殺しちまえ!殺しちまえ!」
村人の子「かわいそうだよ、化け物じゃないよ、星人かもしれないよ」
村人「星人ならなおの事叩き殺せ!」
そこに船長が止めに入る。
船長「やめろ!かわいそうじゃないか!」
それでも引き下がらない村人達に船長は懐から大きな真珠を出す。
船長「待て!これをやろう。これをやるから……俺のお守りだ。2年前、インド洋でハリケーンにあった時もこのお守りのおかげで助かったんだ。こいつは珍しいバロック真珠だ。どうだ、こいつをやるから…」
村人は真珠を受け取ると言う。
村人「そいつを一思いに殺しちまわねぇとろくな事がねぇぞ」
やがてゲンが駆けつける。
トオル「あっ、おおとりさーん!」
ゲン「トオル、連絡はきいた。星人の子供だって?」
カオル「そうよー」
ゲン「それで?」
トオル「船長さんが連れていったよ」
ゲン「船長?」

人気のない所まで逃げてきた船長と星人。
船長「ふーっ、ここまでくればもう安全だ。しかしお前、どこから来たんだ?」
海を指さす星人。
船長「海から来た星人の子か?」
頷く星人。
船長「弱ったなぁ……どうしよう、誰かに見つかれば今度こそ殺されるぞ」
その時、物音が。
船長「危ない、逃げろ!」
物陰に隠れる二人。ゲン達が探しに来たのだ。
船長「お前、一人で逃げられるか?」
頷く星人。ゲン達が少し離れると船長は星人を逃がす。
船長「よし、今だ、逃げろ。捕まるんじゃないぞ。いいか、人間は怖いぞ、さぁ!」
途中で止まって振り返る星人に船長は言う
船長「早く逃げるんだ!」
星人は浜辺に向かう。
浜辺へたどり着いて漁師達に殺されそうになったパラダイ星人の少年は海底に潜むパラダイ星人の潜水艇に向かって救援信号を発した。

日が暮れた海岸に船長は一人佇む。そこに星人の子供がやってくる。
星人の子「船長さーん!昼間はありがとう!」
船長「まだ逃げなかったのか…捕まるぞ」
星人の子「大丈夫、船長さん。命を助けてもらったお礼にいい所へ案内します。2時間後に岩場に来て下さい」
船長「!?おい、誰か来た!逃げろ!」
星人の子「きっと来て下さいね」
船長「ああ…!」

星人と入れ替わりにトオルとゲンが来る。
トオル「船長さーん!」
船長「やぁ」
ゲン「探しましたよ」
トオル「MACのおおとりさん」
船長「ああ…MACの事ならよく知ってるよ。あ、そうか、俺の逃がした星人の事で」
ゲン「ええ」
船長「あれは悪い星人じゃないよ。お礼に恩返しをしてくれるそうだ」
ゲン「恩返し?」
船長「俺を招待してくれるんだ、じゃ」
ゲン「待って下さい!危険ですよ、それは」
船長「危険?」
ゲン「ええ!」
船長「人間の方がよっぽど危険だと思うがね。あんな可愛い星人の子供を殺そうとしたんだからね」
ゲン「船長!」
トオル「船長さん!」
船長「……俺はもう船長じゃないよ。去年は不漁でね、船から降りろと言われているんだよ」
トオル「本当?」
船長「魚が採れなかった……いや、とらなかったのかな。余所の国の権利を侵してまで。しっかしひどいよなぁ、俺だって長い間あの船に乗ってインド洋からアフリカの方まで命をかけてね……おおとりさんと言ったね」
ゲン「はい」
船長「俺はあの星人の招待を受けるつもりだ」
ゲン「帰れなくなるかもしれませんよ!?」
船長「はっはっは……冗談冗談」
ゲン「星人は?」
船長「知らない、昼間逃がしてやった。じゃ、おやすみ」
船長は歩き始める。そして、誰にもきこえないような声でつぶやく。
船長(しかし……俺がこの辺の漁師だったら……助けてやったかな?)
その時、村人が尋常でない慌てぶりで走ってくる。
ゲン「どうしたんだ?」
村人「昼間、浜で捕まえた化け物が……あの、大きい奴、これくらいの大きさの奴が俺を追っかけてきやがったんだ!」
船長「寝ぼけてやがる……」
村人「本当だよ!信じてくれよ!きっと親の星人が怒って仕返しにきやがったんだよ!」

岩場にいる船長。
星人の子「船長さーん!」
星人の子の声がしたかと思うと閃光と共に亀のような潜水艇が浮き上がり、緑の煙に包まれたかと思うと、見知らぬ空間の中にいた。
壁のおかめの面。女王様、らしい。
女王「ようこそ、船長さん」
船長「ここは……ここはどこだね?」
女王「我々の潜水艇の貴賓室」
船長「貴賓室……?」
イスが宙に浮いて来る。
女王「どうぞ」
船長「…どうも」
船長がイスに座ると再びイスは宙に浮かび始めた。
船長「こりゃあ楽だ……雲の上に乗っているみたいだ、はははははは」
今度はテーブルが来る。その上に乗せてあったものは……。
船長「俺のお守り……」

日が昇った地上、村人達。
村人「おーい、どうしたんだぁ?」
村人「船長にもらった真珠が無いんだ」
村人「嘘つけぇ!この野郎!そんな事言って独り占めする気だな?」
村人「本当だよ!」
もみあいになる二人。だが、そこに星人が二人走りよってきた。
村人「でたぁ!」
村人「怪獣がでたぞー!バケモンだぁー!」
ゲンとトオル、カオル。
トオル「星人だ!」
ゲン「ここで待ってるんだ!」
ゲンは星人に向かってマックガンを向ける。すると星人達は緑色の煙と共に消えていった。
カオル「きっと昨日の子供の星人のお父さんとおじさんよぉ」
トオル「うん!」
ゲン「もう大丈夫だ」
村人「昨日俺を追っかけてきた奴らだよ」
村人「俺達を殺そうとしやがった」
村人「あんた、MACの隊員だろ?俺達を助けてくれ」
ゲン「心配するな」
トオル「おじさん達、星人の子供を殺そうとしただろう?だから仕返しに来たんだよ、きっと!」
カオル「そうよ!」
村人「……夢じゃなかったんだなぁ」
ゲン「どうしたんだ?」
村人「夕べ、大きな亀のようなものが浮かび上がるのをみたんだ」
ゲン「何ぃ!?」

岩場を一人で捜索するゲン。そこで見つけたものは……
ゲン「船長のパイプだ……!」

その頃、船長は潜水艇で接待を受けていた。
女王「お料理はいかが?」
船長「うまい!こんなうまいものは食べた事が無い!…それにこのワインのような酒の味、舌がとろけるようだ!」
女王「これ?」
空になったグラスに酒が湧き出てくる。
やがて船長はパイプをなくした事に気づく。
船長「パイプを落としたか…」
テーブルの上に現れたもののふたを取ってみると……
船長「黄金のパイプだ…!」
女王「でもそのパイプでタバコは吸わないで下さいね」
船長「大事にするよ。でもどうしてこんなに親切にしてくれるんですか?」
女王「殺されそうになった私達の子供を助けてくれたからよ」
船長「地球の人間だったら誰だって助けるさ」
女王「しかし、私達の子供を殺そうとした人間もいた。地球には心の中に悪魔が住んでいる人間もいるんです。我々は悪魔が憎い!見ているがいい……!」
船長「お、おい、返事をしてくれよ、おい……」

村人二人が歩いている。
星人の子供が目の前に現れると二人は襲い掛かる。
だが、その脇から星人が二人出てきて村人の一人を殴り倒す。
子供は岩場へ向かう。
星人の子「女王様、地球の人間はやはり悪魔です!また僕を殺そうとします!」
女王「あの二人ですね?お前はすぐに帰りなさい」
さらに二人の星人に命令を出す。
女王「人間は危険です……悪魔が住んでいる村を襲いなさい!!!」

マックロディーで駆けつけた梶田、白土隊員と合流したゲンの元に二人の村人が逃げてくる。
ゲンと梶田、白土は目配せをして二手に分かれる事にした。
ゲンは村人を襲っている星人を見つける。
ゲン「やめろっ!」
消える星人。
ゲン「おい!しっかりしろ!大丈夫か?」
村人「村が襲われる……村が襲われる……」
ゲン「何だって!?」
村人「子供が……俺の子供が村にいる…」
ゲン「子供?」
村人「そうだ……俺の子供が家に……頼む、助けてくれぇ!」
ゲン「あんたは星人の子を殺そうとしたんだぞ!?」
村人「悪かった……何もかも俺達が悪かったんだ……」

星人を見つけ出すゲン。
二人の星人は飛び上がると合体変身した。
子供が殺されそうになった事に怒った二人のパラダイ星人は合体して星獣・キングパラダイに変身した!
MACガンで応戦するゲンだが、しっぽの攻撃で気を失ってしまう。
村を破壊するキングパラダイ。
マッキー2号、3号もかけつけて星獣に攻撃をしかける。
白土「了解!それにしても、すごい怪獣だなぁ…」
キングパラダイは黒い煙を吐き、耳らしい器官から光線を出してマッキー2号、3号を同時に狙撃してしまった!
火を噴いて落ちるマッキー!
爆音で気がつくゲン。変身する。「レオォォォーーーッ!!!」

主題歌をBGMにレオは得意の格闘で戦う。
しっぽの攻撃、煙での煙幕、耳からの光線と多彩な攻撃でキングパラダイはレオを苦しめる。
だがレオは逆にしっぽをつかみ振り回して投げ飛ばし、さらに耳をちぎり取った。丸まって防御体制になったキングパラダイにレオは耳を投げつける!
たまらず、空に逃げるキングパラダイにレオはビームランプからの赤い必殺光線・レオクロスビームでとどめをさすのだった。

再び平和が戻った。しかし、船長は再び海には出ていかなかった。港に停泊していた白い大きな船は新しい船長を乗せて魚群を求めて海へと出港していった。
約束を忘れて黄金のパイプでタバコを吸ってしまう船長、パイプから白い煙が出てきて……

その後、公園で竜宮城の昔話をする老人がいた……。

広い世の中には不思議な体験をした人がいるものです、この老人のように……

本編解説

準備中
・ 視聴した感想
浦島太郎をベースとした民話シリーズです。
だが皆さん騙されてはいけません。
結構えげつないですよこの話。
――宇宙人だったら意味もなく殺していいのか。
――そのくせ自分達に危険が及ぶと被害者面して助けを求める。
エース最終話、そして帰マンの怪獣使いと少年あたりの話を思い出します。
民話テイストにアレンジされていなかったら、
かなりの問題作になっていた話だと思うのは僕だけでしょうか。
あっ、今回の話からオープニングにマックシャークが海の底に登場します。
パラダイ星人の潜水艦のシーンで使ったセットの流用ですがすこぶるかっこいいです。
これで地底の話があってそのセットが作られていたらマックモールも登場したでしょうに……。
TACのドルフィン2号と違って立体化されていただけに本編未登場は残念でした。