街中を走るバイブ星人とゲンの追跡劇から始まる。
星人は一本道に逃げ込むが前からパトカーが来て警察官が二人も出てきた。後ろからはゲンが迫る。
星人は飛び上がり、空中で高速回転をして消えてしまう。ゲンは宙を蹴るが手ごたえはなかった。
その時、ゲンの腰のMACナイフがひとりでに抜け宙を浮いて警察官の一人の心臓に突き刺さったのだ!
警察官は即死する。もう一人の警察官はゲンを見て言う。
警察「君だ!君がやったんだ!殺人現行犯で逮捕する!」
ゲン「違う!僕じゃない!僕じゃない!」
しかし、結局ゲンは手錠をかけられて連行されてしまう。
MAC本部。
落ちつかなそうにダン隊長があたりを歩き回っている。
やがて、高倉長官に連れられてゲンがやってくる。
長官「君の要請通りおおとり隊員の身柄を引き取って来た。しかしまだ容疑が晴れたわけではない」
おおとりの方を向いて言う。
長官「慎重にな」
長官はダン隊長に向き直る。
長官「ところでモロボシ君、私は今まで君を信じて宇宙パトロール隊の指揮を委ねて来た。
だが、今回のような不祥事については責任を取ってもらわねばならん」
ダン「はい、全て私の責任です」
ゲン「隊長!」
長官「……君を隊長の任から外すという意見もある。おまけに事件を起こしたおおとり隊員は君の推薦で入隊したんだそうだな」
ダン「はい」
長官「うかつに人を信じて推薦をしたりするものじゃない!………まぁ、今回だけは君の輝かしい過去の実績に免じて解任は免れた。
しかし、モロボシ君。二度と繰り返してくれるなよ。君のような有能な男を失いたくないからな」
ダン「………」
長官「隊員の処置については、君に任せる!」
ダン「はい!」
廊下を歩くダンとゲンの二人。
ゲン「隊長…あれは…あれはバイブ星人が!」
ダン「そんなことは分かってる。私はお前のうかつさを責めているんだ」
ゲン「しかし…」
ダン「今更言い訳などいらん!それより考えてもみろ。私とお前はこの地球を守るたった二人の宇宙人なんだぞ。わかるか、私とお前がMACにいなければならん理由が」
ゲン「………」
ダン「この地球をこよなく愛し故郷(ふるさと)だと思っている俺たちはこの地球を守れねばならん。それが使命なんだ。お前はこの事件から手を引くんだ。いいな、ゲン!」
ゲン「しかし、星人は誰が倒すんですか!?」
ダン「心配するな、お前がいなくても星人は倒せる……俺が倒す」
ゲン「………」
ダン「一週間の停職だ」
トオルとカオル、百子と釣りをするゲン。しかし、頭にあるのはバイブ星人のことだけ。
ゲン「くそぉーーーーっ!!!バイブ星人めーーーーっ!!!」
その時、草むらからバイブ星人が出現。百子達を人質にとる。
星人を追ってMAC隊員も駆けつける。
メンバーは平山、青島、赤石、そしてゲンの代わりの補充隊員の四人だ。
ゲンはMACマークの入ったポケットサイズの爆弾を水中に投げ込む。
そうする事によって星人の注意を引き付けその隙に百子達を解放した。
更にゲンは星人を投げ飛ばす。MAC隊員はMACガンで星人を狙い撃つ。
逃げる星人。ゲンはそれを追う。
工事現場に逃げ込んだ星人。ゲンは現場の男たちに言う。
ゲン「そいつをつかまえてくれー!」
作業員4人と工事現場の鉄パイプを持ったゲン。
不利とみた星人は飛び上がり、またしても姿を消す。
そして今度はゲンの持っていたパイプが宙を浮き作業員の一人の首に直撃する。
最悪のタイミングに駆けつけるMAC隊員達。
隊員達「おおとりぃーっ!」
赤石が作業員の脈を取るが既に息絶えていた。
平山「お前は何て事をーっ!」
青島「お前って奴はーっ!」
ゲン「違うんだ!俺じゃない!」
その時、材木の上にバイブ星人がその様子をあざ笑うような声をあげながら現れた。
ゲン「あいつだ!あいつがやったんだ!」
逃げる星人を追うゲン。
ゲン「待てぇーっ!」
トンネルを抜けたところでダン隊長が待ち構えていてゲンを杖で転ばす。
ダン「やめろ!」
ゲン「隊長!」
ダン「やめろといったはずだ!お前が深追いしたために、また一人の人間が命を失ったんだ!
たとえ制服を着ていなくてもお前はまだMACの隊員なんだ!私の言ってることがわかるか?」
ゲン「すいません…」
ダン「謝ってすむことじゃない!」
ゲン「僕は……僕は自分の手で奴の罠を暴きたいんです!」
ダン「駄目だ!」
ゲン「隊長…MACを辞めさせて下さい」
ダン「何ぃ?」
ゲン「これ以上、隊長やMACに迷惑はかけられません!お願いします」
そう言って踵を返して歩き出すゲン。
ダン「許さんっ!」
ダンは杖をゲンの肩に投げつける。ゲンはそれによろめくがそのまま立ち去ってしまう。
MAC本部。
ダン「長官、隊員達のどんな行為も、みなMACの使命を果たすためのものと信じています」
長官「それが君の責任とどんな関係があるんだ?」
ダン「ゲンについても同じことが言えます。私は…ゲンを信じています。
私は…ゲンの無罪を証明し、星人を倒すことで責任を果たします。必ず……必ず倒してみせます」
林の中で修行をするゲン。
ゲンは星人の罠に二度までも陥り身も心も必死になり、
だが、自分の技の至らなさを知ったレオはバイブ星人を倒す技を会得しようと必死に空手の練習に励んだ。
脳裏にダンとの会話が蘇る。
ゲン(星人は誰が倒すんですか!?)
ダン(心配するな。お前がいなくても星人は倒せる。……俺が倒す)
そこでゲンは気づく。
ゲン「隊長は死ぬ覚悟なんだ!俺が早く星人の罠を暴かないと!隊長!」
MAC本部。
ダンは一人、星人の攻略法を考えていた。
ダン(ゲンのナイフを投げたのは明らかにバイブ星人の仕業だ……しかし、成人は一体どうやって姿を消したんだ…?)
溶けたウルトラアイを取り出し見つめるダン。
ダン(……セブンにさえ、変身することが出来たら……)
ダン「バイブ星人め!くっそぉっ!」
定規を投げるダン。花を持ってきた白川の横を通り抜けてダーツの的に突き刺さる。
白川「きゃあっ!」
白川は驚いて花瓶を落としてしまう。
その花瓶が揺れる定規を通り越して落ちる様を見て、ダンは星人が消えるからくりを掴んだ。
ダン「…これだ!」
一方、ゲンは相変わらず、林の中で技を磨いていた。既に日は暮れ、雨まで降っている。
ゲンは突然あることに気づいた。いくら自分の技が優れていても相手の姿が見えなかったら、それは何の役にも立たないのではないか。
ゲン「そうか……だが、一体星人はどうやって姿を消したんだ?」
MAC本部。
出動要請のサイレンが鳴り響く。
ダン「東京の街にバイブ星人が現れた。いいか、MACの名誉をかけて星人を倒せ。ゲンを救う道はそれしかない、出動!」
街での星人とMACとの追跡劇。
四人の隊員とマックロディーに追い詰められ、星人は姿を消す。
マックロディーから降りると星人の発する振動音を頼りにビデオカメラをまわすダン。
やがて、青島のMACナイフが宙を飛ぶ。
ダンはそれをMACガンで撃つ。するとMACナイフが落ちて青い血液が散る。
そして星人は姿を現す。隊員もMACガンで狙い撃つが逃げられてしまう
。追おうとするMAC隊員達をいさめるダン。
ダン「やめろ!追ってはならん!」
青島「しかし、このままでは…!」
ダン「ゲンの二の舞はよせ!」
青島「えっ?」
ダン「星人の罠にかかるばかりだ。みんな、本部に戻るんだ!」
MAC本部に帰ってきたダン達。
ダンは四人を前にビデオをまわす。
ダン「これを見るんだ」
さっきの戦闘の場面が映し出される。
ダン「人間の目には見えない振動をしている。ちょうど自転車の車輪やプロペラのようにな。だが、レンズの目はごまかせない」
スローモーションで画面に映るのはMACナイフを抜き取る星人の姿だった。
青島「おおとりは星人の罠にまんまと……。隊長!一刻も早くこの事をおおとりに知らせてやりましょう!」
ダン「ゲンはそんなことで帰って来やしない!」
赤石「でも!」
平山「隊長!」
赤石「隊長!」
青島「MACシーバーはまだ持ってるはずです!連絡してみます!」
林の中のゲン。青島隊員から連絡が入る。
青島「おおとり隊員、おおとり隊員!君の無罪は証明された!すぐ本部に戻って下さい!」
MACシーバーを投げつけるゲン。
ゲン「そんなに優しい言葉で俺を呼ばないでくれ!俺は星人を倒すまで帰っちゃいけないんだ!帰れないんだよぉーーーーっ!!!」
ゲンはサンドバック代わりの木の板を殴りつける。その衝撃で揺れる木の板。
その時、ゲンは揺れる板を見つめながらバイブ星人の正体を見た。
ゲン「これか!」
ダン同様、ゲンも星人のからくりを掴んだのだ!
MAC基地。
青島「駄目です。応答ありません」
ダン「そうか……」
白川「東京K地区に星人が現れました!」
怪獣のような姿に巨大化して暴れまわる星人。
平山と補充隊員の乗ったマックロディー、サイレンを鳴らしながら現場に駆けつける。
青島と赤石の乗ったマッキー2号とダンの乗ったマッキー3号も飛んでくる。
ダン「一斉攻撃!」
青島「了解!」
MACの猛攻によって追い詰められた星人は高速回転をして消えてしまう。
MACの目の前で姿を消したバイブ星人は次々とビルを破壊した。
マッキー2号も落とされてしまう。ダンは星人への特攻を決意する。
ダン「ゲン、俺がいなくとも後を頼む!」
振動音で星人の居場所を見極めると星人の口の中にマッキー3号を突っ込ませた!
炎上するマッキー3号!
その頃、ゲンは揺れる板を見て、星人の攻略法を見い出そうとしていた。
その時、落ちてきた松ぼっくりが板に当たって跳ね返ってきた。それを手でキャッチするゲン。
ゲン「見えた……見えたぞ!」
ゲンの脳裏に死ぬ覚悟で星人に挑んでいるダンのことがよぎった。
ゲン「隊長!……隊長ぉーーーっ!!!」
ゲンはレオに変身する。「レオォォォォーーーッ!!!」
炎に包まれて倒れる星人。ダンは爆風にあおられて外に投げ出される。
そこへ飛んできたレオがダンの身体を手でキャッチする。
頭と左手に包帯を巻いたダン。
ゲン「隊長ーーっ!」
向こうからマックスーツに身を包んだゲンがやってくる。
ゲンはMACに無事復帰することが出来たらしい。
ゲン「隊長、僕の不注意でこんなことになってしまって」
ダン「約束通り、私は星人を倒したぞ」
ゲン「すいません…」
ダン「いやぁ、謝る事はない。私はお前に命を助けられた。礼は、私が言わねばなるまい」
ゲン「隊長…」
ダン「しかし、よく飛んでる私を見つけることが出来たな」
ゲン「あははっ!とおっ!」
ゲンは飛び上がってダンの前方に移動すると松ぼっくりを投げてよこした。
ゲン「松ぼっくりが教えてくれたんです」
それがダンには当然何のことだか分からない。
ダン「松ぽっくり…?」
そんなダンの様子を見て笑うゲン。
地球を守るたった二人の宇宙人の捨て身の戦いはこうしてひとまず終わりを遂げたのだった。