スポーツセンターで懸垂が一番得意な男の子がいた。
ゲン「この子は?」
百子「松本一郎君、ご両親はアメリカの支店につとめているの、それでおじさんの家に下宿しているのよ」
猛「そのおじさんがほら、この間の試合でガキーンとノックアウト勝ちしたボクシングのヘビー級のチャンピオンなんですよ!」
ゲン「ああ、マイティ松本か…」
一郎「僕の誕生日までに30回出来るようになりたかったんです。おじさんは頑張り屋が好きなんだ」
大村「う〜ん、いい話だ」
今回はその一郎少年が物語の焦点である。
土管が積まれている空き地でケットル星人と平山、青島、赤石の三人のMAC隊員との格闘による対決が行われていた。
やがて青島が投げ飛ばされてしまう。平山は辺りのパイプを武器にしたりしていた。
さらに土管の上に飛び上がった星人を追う赤石隊員も蹴り落とされてしまう。倒れた赤石隊員に駆け寄る平山隊員。
平山「赤石!赤石ぃぃっ!」
だが、ケットル星人を放っておくわけもいかずに平山隊員は追跡する。一対一の格闘に入るがコンクリートをも砕く星人の前に蹴り落とされてしまう。
そこにゲンが駆けつけ、星人を投げ飛ばす。星人は飛び上がって無事着地すると逃げ出す。それを追うゲン。
一本道、星人が向かう方向からちょうど一人のボクサーがジョギングをして向かってくる。ゲンはその人に声をかける。
ゲン「おーい!そいつを捕まえてくれー!」
ボクサーはケットル星人に立ち向かうが首を絞められてしまう。助けに入るゲンも簡単に蹴り飛ばされてしまう。
そして、星人はボクサーを投げ飛ばし飛び去ってしまった。そこでMAC隊員が追いついてくる。
コンクリートの壁に頭を打ちつけて倒れているボクサーに駆け寄る。
平山「大丈夫か!?」
青島「しっかりしろ!」
赤石「…この人どっかで見たことあるぞ!」
ゲン「何!?」
赤石「ヘビー級チャンピオンのマイティ松本だ!」
ゲン「……!?」
ゲンはその言葉をきいて驚きを隠せなかった。
病室、打ち所が悪かったのか、マイティ松本は手当ての甲斐なく死んでしまう。
一郎は河原でその怒りと悲しみをぶつける。そこにゲンが現れる。
ゲン「一郎君……おじさんの仇は必ず取る」
一郎「嘘だ!できっこないよ!おじさんはチャンピオンだったんだ!おじさんより強い人なんているもんか!」
ゲン「そうかもしれない。しかし、MACも僕もそのために全力を尽くそう」
一郎「いくらそんなこと言ってもおじさんはもう帰ってこないんだ!」
ゲン「………。」
MAC基地。
ゲンが一人いる中、ダン隊長が超能力でドアをすり抜けてやってきた。
ダン「一体お前がついていながら何たるザマだ!」
ゲン「…すいませんでした」
ダン「私に謝ったところで何の解決にもなりはせん。謝る前にお前はケットル星人を倒さねばならん。それがお前の役目だ!」
ゲン「分かってます、しかし悲しみにくれる一郎君をこのまま放っておくわけにはいきません」
そんなゲンをダン隊長は杖で打ち、こう言い放った。
ダン「星人を倒すのがお前の役目なら、また悲しみにくれる人間を救うのもお前の役目ではないのか!?
自分で蒔いた種を自分の手で刈るのは宇宙人も人間も同じことだ、他人の力を頼りにするな!」
ゲン「隊長……」
スポーツセンター前。
トオルとカオルは友達のアキラの父に車で送ってもらっていた。アキラが懸垂を10回出来たら父が自転車を買ってくれるときいて一郎は言う。
「そんなお父さんなんて最低だ!」やがて言い争いは殴り合いの喧嘩となってしまった。
トオルとカオルが止めに入るが効果はなくゲン達が仲裁に入ることでやっと二人を止めることが出来た。
なおアキラの父を罵る一郎に対しゲンはこう諭す。
ゲン「一郎君……人のことなんかどうだっていいじゃないか。それより30回に挑戦する方が君には価値があるんじゃないか?」
一郎「おじさんはMACに協力したんだよ!それなのに……それなのに死んでしまったんだ!」
そう言い放って一郎は走り去っていく。
ゲン「一郎君!」
そんな一郎を追いかけるゲン。
バックに星空のバラードインストゥルメンタルが流れる中、一郎は夕日に向かって叫ぶ。
「おじさーーーーん!!!」
やがて日が暮れ闇の中輝く星の下、ゲンは拳を強く握り締めるのだった。
空手道場。
黒い胴着に身を固めたゲンは三人と組み手をする。
ゲンには一郎の気持ちが痛いほど分かっていた。
一郎の叔父さんを殺したケットル星人は自分が倒す。そう心に決め、空手の練習に励んだ。
その時MACシーバーに連絡が。
ゲン「はい、こちらおおとり!」
白川「東京684地区に星人が現れました、急いで下さい!」
ゲン「了解」
通信を切るとゲンはつぶやいた。
ゲン「……今度こそきっと……」
林の中で戦っているケットル星人とMACの三人。
MACの三人はマックガンで立ち向かうが結局接近戦になってしまう。
青島が殴られ、赤石が蹴られ、平山は投げ飛ばされてみんなやられてしまう。
そんな隊員のピンチに現れたゲンはマックガンを引き抜き応戦する。
ケットル星人は逃走し、墓参りをしていた一郎とその叔母さんに遭遇、叔母さんを殴り倒してしまう。
叔母さんや一郎のことはMAC隊員に任せ、ケットル星人を追うゲン。
竹林の中で対峙するゲンとケットル星人。ゲンはレオキックのような飛び蹴りをくらわせたが次第に押されていき、倒れた隙に後ろから首を絞められてしまう。
ゲン、絶体絶命!その時、颯爽と杖とマックガンの二段攻撃で星人を追い払ったのはダン隊長だった!
ゲン「隊長!」
ダン「命を無駄にするな、失くしたら元も子もない。少年は残された叔母さんも失った。少年の心は閉ざされ、誰の心も言葉も信じないだろう」
ゲン「………」
ゲンは思わず座り込んでしまう。ダン隊長はそんなゲンの肩を掴み無理やり立たせる。
ダン「立て!立つんだ!少年の心に光をよみがえらす事の出来るのはお前しかいない!」
一郎は林の中で一人懸垂の練習をしていた。
そこにゲンが現れる。
ゲン「がんばれ!君はスポーツクラブで懸垂が一番上手な子のはずじゃないか。さぁ、30回に挑戦するんだ!」
しかし一郎は鉄棒から手を放して練習をやめてしまう。
一郎「嫌だ!」
ゲン「一郎君……」
一郎「僕ばかし頑張る事なんかないさ。おおとりさんもMACも頑張ってなんかいないじゃないか!
みんな頑張っていれば叔父さんも叔母さんも死ななかったんだ!僕は一人ぼっちになっちゃったんだ!」
ゲン「一郎君……わかるよ…」
一郎「嘘だ!おおとりさんにわかるもんか!」
ゲン「君にはお父さんもお母さんもいる。だが……僕は……父も母も兄弟もみんな星人に殺された。でも、いつまでも悲しんだりはしてはいなかった。みんなを殺した星人を倒さなければならなかったんだ」
一郎「星人を?」
ゲン「うん、星人は力も強く頭もいい。かなり手ごわい相手だ。……だが倒さねばならない。そうしなければ僕の命が無い」
一郎「おおとりさん…」
ゲン「今度星人が現れたら僕が倒す。君はそれまでに30回に挑戦するんだ!」
一郎「うん」
ゲン「ほら、約束しよう」
指切りをかわす二人。
そして、一郎は鉄棒に向かう。それを見守るゲン。
ゲン(がんばれ一郎君、君は男の子だ。男はいつも一人で戦うんだ。自分と戦うんだ。がんばれ!僕も星人を倒すために…)
そのときだった。一郎は手を滑らせて落ちてしまう。
それを助けつつもゲンはダンと星人との対決が脳裏をよぎり、ケットル星人の攻略法を思いつくのだった。
ゲン「わかったぞ、落ちるんだ!星人も落ちるんだ!」
ゲンはサンドバックを宙に投げてはそれをつかまえる特訓をする。
やがて、それをつかまえてバックドロップをする。破けて砂が流れ落ちるサンドバック。
ゲン「出来た!」
その時、MACシーバーに通信が入る。
白川「星人が現れました!」
ゲン「何!?」
空き地でケットル星人対MAC隊員の三人の戦い。
三人はMACナイフで立ち向かうが、相手も短剣を持っておりそれで受け止められ、蹴り倒されたり殴られたりしてまたしても全員やられてしまう。
そこにゲンが登場し、飛び上がった星人をゲンは投げ飛ばす。そして飛び上がった星人の着地の時にキャッチし、バックドロップをくらわせる。
形勢不利と思ったのか、星人は巨大化してゲンをいたぶり始めた。巨大化すると同時に短剣が槍に変化している。
MACガンで立ち向かうが勝ち目は無い。人気のない所まで逃げてきて変身する。
「レオォォォォーーーッ!!!」
槍で攻めてくる星人だが、レオはそれに対して工場の煙突を引き抜いてヌンチャクに物質変換した。
一郎が見守る中、対決は始まった。星人が槍で攻撃してもレオは全てヌンチャクで防いでしまう。
なので星人は大きく槍を振り回してヌンチャクを破壊してしまった。
その拍子に倒れたレオに槍を突き立てる星人。何とかかわし続けるものの、レオ大ピンチだ!
そこで一郎がレオに向かって叫ぶ。
一郎「レオー!がんばれー!俺だって懸垂30回に挑戦して勝ったんだぞー!」
その声を聞き、レオは星人を蹴り飛ばす!
主題歌をバックにレオは得意の格闘で立ち向かう。
星人は槍からミサイルを出したり槍を投げつけたりしたが、レオにはそんな攻撃効くはずがない。
全てかわしてしまう。やがて熱戦の中、カラータイマーが赤く点滅し始める。
飛び上がった星人の着地の隙を狙ってレオはレオキックでとどめをさすのだった。
スポーツクラブ前。
一郎はアメリカの両親の元に向かうという。
一郎「アメリカに着いたらおおとりさんのこと、一番にお父さんに話します」
ゲン「今度帰ってくる時には懸垂50回、出来るようになってくるんだぜ」
一郎「いいえ、100回に挑戦します」
ゲン「ははは、よくばりめ!」
こうして、一郎は皆に見送られながらアメリカに渡って行った。