ウルトラマンレオ第4話
男と男の誓い

−奇怪宇宙人ツルク星人登場−

凶暴に暴れまわるツルク星人の前にMACの攻撃はひとたまりもなかった。
その頃ゲンはツルク星人の二段攻撃を破るべく滝を敵に見立てて、
三段攻撃をマスターしようと懸命になっていた。
だが、流れ落ちる滝を斬ることは可能であろうか!?
がんばれゲン!がんばれレオ!さぁ、みんなで見よう!

深夜、東京の街で次々と起きた奇怪な事件。
人間が真っ二つにされ、必ずウルトラマンレオの彫られた金属片が落ちている。
トオルとカオル兄妹の父親が殺され、ついにMACの隊員さえも。
ダンはそれがツルク星人の仕業だと見破ったのだが、星人を倒すには三段攻撃しかないと
ゲンに特訓を命じ、しかしその特訓の最中、巨大化して現れた星人の前に
東京は全滅するかに見えた。たまらずゲンはウルトラマンレオに変身した。だが!


海中に沈んだウルトラマンレオは浮き上がって来ない。その様子を見ているトオルは叫ぶ。
トオル「あっ!ウルトラマンレオが!……くっそぅぅぅっ!カオル!父さんを殺したのはあいつなんだ!」
カオル「じゃあウルトラマンレオじゃなかったのね!」
マッキー3号に乗っているダン隊長。
ダン「むざむざ負けてなるものか……見てろ!」
セブンのテーマをバックにダン隊長はマッキーの下部からミサイルを出し、三連射する!
そして、電線を発見すると「よし、あれだ!」と誘導しツルク星人に切らせ電気ショックを与える。
苦しむ星人にトオルは言う。
トオル「いいぞ!死んでしまえ!父さんの仇だ!」
だが、星人はそのまま撤退してしまう。

夕暮れの海岸でゲンを探すダンやトオル達。
しかし、それが夜になっても見つからない。
猛「どう?」
百子「ううん」
カオル「お姉ちゃん、もう私歩けない…」
百子「しっかりして」
猛「もう三時か……君達の気持ちも分かるけど出来る限りのことはやったんだ……帰ろう」
しかしトオルはその場に座り込んで言う。
トオル「嫌だ!僕は帰らない!おおとりさんは生きてるかもしれないじゃないか!」
猛「僕だってそう思いたい、しかしな…」
トオル「僕の周りの人がみんないなくなるなんて……僕は……僕は……」
トオルの最後の方の声は涙声になってしまう。その様子を見て猛はトオルの肩に手を置き、言った。
猛「もう一度だけ捜してみよう」

MAC基地。
白川「隊長、明るくなり次第パトロールを強化します」
ダン「ごくろうさん、まもなく出発か。星人は必ずまた来る。厳重にやれ」
白川「はい」
白川隊員、退席してダン一人になる。
星空のバラードインストゥルメンタルをバックにダン隊長はデスクの白い花を見つめる。
ダンは失った右足と変身能力に代わって自分の手となり足となり一緒に命をかけて戦ってくれたただ一人の男、ゲンのことを思うとたまらなかった。
ダン(今度、奴が現れたら……私が死ぬ番だ)
ダン隊長の脳裏にゲンとの思い出が蘇る。
ゲン(僕の故郷(ふるさと)はこの地球です。地球の人たちはみんな僕の友達なんだ)
ダン(私にとっても同じだ。ゲン、二人でこの大地を守ろう)
ゲン(はい!)
二人の楽しげな笑い声がこだまする。
ダン(ゲン……)
その時、外部から通信が入る。
ダン「はい、こちらMAC本部。……ゲンが生きてたんですね!わかりました!すぐ伺います!」
受話器を置いた時「あいつ……」などとつぶやくものの嬉しそうだ。

スポーツセンターのゲンの部屋。一同が看病をしている。
杖の音にゲンは目を覚ます。
ゲン「……隊長だ!」
カオル「隊長さんはまだよ」
ゲン「ほら、きこえるじゃないか!」
トオル「ほんとだ」
杖の音が近づいてきて、やがてドアが開く。そしてそこにはダン隊長が。
ゲン「隊長!」
ダン「ゲン、私と一緒に来るんだ」
百子「隊長さん、おおとりさんはまだ無理です。もうしばらくの間……」
ダン「いや、大丈夫です」
百子はダンにゲンの手を握らせて言う。
百子「見てください、まだこんなに冷たい手をしています」
ダンはその手をはねのけるようにして言った。
ダン「ゲンの身体の事は私が一番わかってるつもりです。そんなものすぐに温かくなる方法があります。
   ゲン、来るんだ!」
トオル「隊長さん、おおとりさんは死ぬところだったんだぞ!」
カオル「そうよ、ひどい!」
熱く見つめ合うゲンとダン。やがてゲンが勢い良く起き上がった!
ダン「稽古着を持ってくるんだ!」
ゲンは決意を固めたように顔の包帯を一気に引き剥がした!

ダンとゲン、二人は滝の前に来ていた。
ダン「何故変身した?……何故変身したと聞いているんだ!」
ゲン「MACが全滅しそうだったんですよ!」
ダン「余計な事をするな!MACには私がいるんだ!何故私の命令を聞かない!?」
ゲン「……………」
ダン「星人がもうすぐ戻ってくる。今度は電気ショックなど通用しないだろう。
   この貴重な時間をお前は無駄に過ごしてしまったんだ!
   何かというとウルトラマンレオに変身するお前の心を許せない!
   変身する前に必要なことをお前は忘れている」
ゲン「変身前にすること?」
ダン「技の完成だ!この滝を斬れ!」
ゲン「えっ?この水を?」
ダン「やるんだ、お前なら出来る。この水を奴の手刀だと思え」
その時、MACから通信が入る。
ダン「モロボシだ」
白川「隊長、東京JR地区に星人が現れました!」
ダン「了解、すぐ行く!……いいか、どんな事があってもその技を覚えるまでは来るな!」
ゲン「MACは!?」
ダン「余計なことを考えるな!早く練習しろ!」
ゲン「はい!」

東京の街で暴れまわるツルク星人。
MACのマーチをバックにMAC、マッキー2号、3号、マックロディで迎え撃つ。
黒田「分離!」
白川「了解!」
マッキー2号、分離してフォーメーション!
しかし、苦戦し電車が刃を受け止まってしまうなど街にも被害が及ぶ。
マックロディーから下りて街の現状を見た赤石隊員がダン隊長に通信を入れる。
赤石「隊長!このままでは街は全滅です!」
ダン「住民を避難させとけ。人命の被害を最小限にくいとめるんだ」
赤石隊員はMACガンで応戦しながら逃げ遅れた住民達を避難させる。
そんな中、トオルはツルク星人に向かっていく。
トオル「ちくしょう!あいつが父さんも鈴木さんもウルトラマンレオも殺してしまったんだ!」
ツルク星人はちょうどバッテリーに充電するように電気ショックの電流を身体の中に溜め込んでしまっている。
追いついた猛がトオルをつかまえる。
猛「トオル君!逃げるんだ!」
トオル「いやだ!あいつをやっつけるんだ!」
ツルク星人が二人に迫り来る!マッキー3号に搭乗しているダン隊長は……「二人が危ない!」
トオルと猛のピンチを見て最後の切り札、ウルトラ念力の体勢に入る。
ダンが腕を目の前で交差させ拳を握りしめ、念じると目が赤く光る。
そして星人はその赤い念波で包まれ、動きを封じられたまらずに退散する。
ウルトラ念力で全精力を使い果たしたダンは薄れた意識の中で、敵に向かうゲンの姿に最後の望みを託している。ウルトラ念力では敵を倒すことは出来ないのだ。

滝を斬る特訓の最中のゲン。
しかし、どうしてもうまくいかない。
ゲン「俺には出来ない……俺には出来ない!」
その時、ゲンに向けて杖が投げられた。それをかわし飛んできた方向を見るとそこにはダン隊長が。
ゲン「隊長!」
ダン「その顔は何だ!?その目は何だ!?その涙は何だ!?ゲン、俺は……」
精神に限界が来て立っていられなくなったダンにゲンは駆け寄る。
ゲン「隊長!またウルトラ念力を……あれを使うと命が縮むんでしょ!?やめて下さい!!」
ダン「バカヤロー!」
ダン隊長はゲンの顔面を殴り飛ばす。
ダン「人のことはどうでもいい、貴様は何故俺に言われたことをやらん!?」
ゲン「俺には出来ない!」
ダン「お前がやらずに誰がやる!?お前の涙で奴が倒せるか!この地球が救えるか!みんな必死に生きてるのにくじける自分を恥ずかしいと思わんか!やるんだ!もう一度やるんだ!」
そこでMACから通信が入る。
白川「東京JR地区に星人が現れました!」
ダン「よし、すぐ行く!……ゲン!川の流れは絶えることなく終わりのないものだ!流れを目で見えなければ水を斬ることは出来ない。いいか!流れに目標を見つけるんだ!」
ゲン「流れに目標…」
ダン「そうだ!早く掴んでくれ!それまで私が星人を食い止めておく!」

ツルク星人が暴れまわる東京の街。
マッキー2号、3号、マックロディーが出動。
マッキー3号には青島隊員が乗り、ミサイルを撃ち込むが足止めにもならない。
ツルク星人VSダン隊長。
マックロディーから降り、MACガンで立ち向かうダン隊長だが、ツルク星人には通用しない!
ツルク星人の刃が迫る!ダン隊長絶体絶命!

特訓を続けるゲン。脳裏にダン隊長の声がふと蘇る。
ダン(川の流れは絶えることなく終わりのないものだ!いいか!流れに目標を見つけるんだ!)
見ると滝の水に混じって散った桜の花びらが流れている。
ゲン「これだ!桜の花びらだ!流れに目標があったぞ!いやぁっ!でやぁぁぁっ!!!」
とうとうゲンは滝の水を斬る事に成功したのだ!
技を習得したゲンはすぐさまレオに変身する。「レオ!」

レオの登場をトオルとカオルも見守っていた。
カオル「お兄ちゃん、またウルトラマンレオよ!」
トオル「うん、レオは怒っているんだ!」
星人との格闘。BGMに主題歌が流れる。
三段攻撃をマスターしたレオの前にはツルク星人の刃は恐るるに足りなかった。
レオは全身を赤く発光させ、そのエネルギーを腕に集め、腕を硬化させた。
そしてその両腕で刃をガードすると蹴りをくらわせ、手刀で相手の両腕を斬り飛ばし更に顔面にキック!
倒れたツルク星人の胸に腕の刃物が落ちて来て刺さる。
残忍な通り魔ツルク星人は今まで何人もの命を奪ってきた自らの刃で絶命したのだ。
こうしてレオはようやく勝利を収める事が出来た。

百子「それで今度アパートを移ってトオル君とカオルちゃんと一緒に住むことになったんです。遊びに来て下さいね」
ゲン「うん、ありがとう……よかったな」
カオル「うん、もう寂しくないわ」
ゲン「今度お兄ちゃんも遊びに行くからね」
トオル「本当?」
カオル「約束よ?」
車の前で待っている猛が呼びかける。
猛「おーい、行くよー」
百子「待ってー、すぐ行くわ。……じゃあまた明日。失礼します」
トオル&カオル「さようならー」
三人は車の方に向かっていった。
ダンは言う。
ダン「お前が彼らに喜びを与えたんだ。……行こうか」
ゲン「はい!」
舞う桜の中、二人の男の後姿が遠くに消えて行く。ようやく平和が戻ったのだ。

本編解説

準備中

・視聴の感想
モロボシ隊長かっこよすぎです。
最初、頭脳プレイで電気ショックを与えたり、ウルトラ念力で追い払ったり、はたまた身体を張って直接対決したり。そして、MAC基地でゲンのことを思う隊長を見ているとこれってもしかして最終回なのでは!?などという疑問を抱くこと間違いなしです。あと有名な名台詞もいくつか出ましたね。「その顔は何だ!その目は何だ!その涙は何だ!」
ゲンの修行も激しさを増し、すごい話です。
この話で忘れてはいけないのはMACの活躍。
何しろBGMに唯一MACのマーチが使用されている場面なのです。
マッキー2号もその分離機能を十二分に発揮し、奮闘しています。
これだけ戦っても星人を倒せないのはそれだけレオに登場する星人が強力ということなのです。(かなりレオ贔屓)
全てが終わったラストシーンはほのぼのとしてて好きです。