ウルトラマンレオ第1話
セブンが死ぬ時!東京は沈没する!

−ウルトラセブン マグマ星人 ブラックギラス レッドギラス登場−

恐るべきマグマ星人の挑戦を受けて、セブンは死んだ!
その時、颯爽と登場した我等が新しいヒーロー、ウルトラマンレオ!その正体は何か!?
決定版!ウルトラシリーズ第7弾!ウルトラマンレオ!いよいよ登場!
さぁ、来週はみんなで観よう!

おおとりゲン20歳、彼がこの物語の主人公である。
スポーツクラブでゲンのインストラクターとしての様子が主題歌インストゥルメンタルと共に紹介される。

今、ウルトラセブンは東京の南250キロの洋上、黒潮島で宇宙からやって来た双子怪獣と戦っている。
セブンは単身、地球を守る任務を帯びて地球に来ていたのだ。

やがて、怪獣は肩を組み、物凄い勢いで回転し始めた。セブンは立ち向かうがはじかれてしまう!
さらに怪獣はそのまま光線まで出してセブンに襲い掛かる!
セブンの必殺の超兵器、アイスラッガーですら、スピンの前には跳ね返されてしまったのだ。
セブンのとどめを刺そうと襲い掛かる双子怪獣。
それに追い討ちをかけるようにマグマ星人が現れ、サーベルでセブンを追い詰める。
悪賢いマグマ星人は双子怪獣を使って、セブンを襲ってきた!
倒れこんだセブンの足をブラックギラスが掴んで捻じ曲げる!
セブンの足は嫌な音を立てて折れていった。
その時、彼方から赤い炎をまとってウルトラマンレオが現れた!
セブン絶体絶命の時、現れたのは、そう!我等がヒーロー、ウルトラマンレオである!
レオは、マグマ星人にレオキックを食らわした!
故郷を滅ぼされた怒りに燃えるレオはマグマ星人を追い詰める!
マグマ星人は指笛を吹いて、双子怪獣にレオを倒すように指令を出すがセブンがそれを許さない!
レオの格闘に追い詰められたマグマ星人はサーベルからビームを発射したのだ!
ビームが炸裂したセブンは倒れこむ。
そして、マグマ星人は稲光と共に、双子怪獣は海の底に沈んでいった。

レオは変身を解くと倒れている倒れているセブン、いや変身の解けたモロボシダンの元に走りよった。
ゲン「モロボシさん!大丈夫ですか!?しっかりして下さい!」

海岸。二人の男がいた。
ウルトラセブンことモロボシダン、そしてウルトラマンレオことおおとりゲンである。
ダン「私をモロボシダンと知って助けてくれたのか?」
ゲン「あなたはウルトラセブンです!地球の宇宙パトロール隊MACの隊長であることも知ってます!」
ダン「君は一体誰だ?」
ゲン「ウルトラマンレオです!」
ダン「ウルトラマンレオ……」
ゲン「僕の故郷(ふるさと)は、あの獅子座です」
空を指さすゲン。
ゲン「一ヶ月前まであの獅子座には、もう一つの星がありました。
   この地球のように美しい自然に恵まれた、L77星です。
   ところが、凶悪なマグマ星人と双子怪獣にL77星は全滅させられてしまいました。
   父、母、そして兄弟……それから僕は故郷にそっくりの星、地球で生きようと決心しました」
指を下ろすと、ゲンはダンに向き直る。
ゲン「地球は僕の第二の故郷です。
   おおとりゲンと名乗って平和に暮らして来たのに……またマグマ星人達がやってきた!」
ダン「ゲン……君は愛する地球を、君自身の手で守るんだ」
ゲン「愛する地球を僕自身の手で…?」
ダン「宇宙パトロール隊に入隊するんだ!」
ゲン「だってモロボシさん、あなたがいるじゃないですか」
ダン「私には君が必要だ。しかも、君にも私が必要だ!」
ゲン「しかし、ウルトラセブンがいるではありませんか!」
ダンはゲンに向き直る。ブラックギラスに折られた右足は包帯で応急処置がしてある。
しかし、包帯からは血がにじんでいた。
ダン「……セブンはもういない」
ゲン「何ですって!?」
ダンはウルトラアイを取り出して装着しようとした。
ダン「デュワ!!!」
しかし、ウルトラアイは火を噴いて溶けてしまった。倒れこむダン。
ゲン「セブン!……モロボシさん!大丈夫ですか!?」
ダン「やってくれるな?……やって、くれるな?」
ゲン「はい!」
ダンは地平線の彼方を指さす。そこにはすでに夕日が沈もうとしていた。
ダン「あそこに沈む夕日が私なら、明日の朝日はウルトラマンレオ、お前だ!」
ゲン「やらせて下さい!」
固く握手をかわす二人。次の瞬間。
ダン「でやぁぁぁっ!!!」
ゲン「うわぁあああっ!!!」
ゲンをいきなり放り投げるダン。
ゲン「何をするんですか!?」
ダンの手に握られていたのはゲンの上着だった。
ダン「どんな時でも油断は禁物だ!分かったな?」
そう言ってダンはゲンに上着を放る。
ゲン「はい!」
かくて、二人の宇宙人が地球を守るため、心を一つにして戦う事になった。
夕日をバックに向き合う二人。

宇宙に浮かぶMAC基地。
M・A・C、通称マックと呼ばれる宇宙パトロール隊の本部は、この巨大な宇宙ステーションの中である。
MACは宇宙からの侵略や遠く宇宙へ旅する宇宙船の安全を守るために作られた国際的な組織である。

基地内では宇宙パトロール隊の隊員の他、白衣の科学者や黄色い服の作業員もいる。
ドアからダンとゲンが入ってくる。
ダン「みんな、集まれ」
ダンの前に集まる宇宙パトロール隊の隊員。
ダン「新隊員を紹介する。おおとりゲン隊員だ」
ゲン「おおとりです!よろしくお願いします!」
隊員達「よろしく!!」
ダン「それじゃ、隊員を紹介しよう」
黒田「黒田です、よろしく」
青島「青島です」
赤石「赤石です」
白川「白川です」
桃井「桃井です、よろしくお願いします」
ゲン「よろしく!」
一緒に戦う仲間が出来たのが嬉しいのか、ゲンは笑顔だ。

城南スポーツクラブ。
ゲンはマックロディーに乗ってMAC入隊の報告に来ていた。
大村「いやぁ、おめでとうおめでとう!この大村正司嬉しいぞー!」
スポーツセンターの主事の大村さんも喜びを隠し切れない様子。
大村「とにかくスポーツクラブからMACの隊員が誕生したとなると、
   子供達もおおとり君を目指して今まで以上、スポーツにも勉強にも身が入るだろうなぁ」
猛「いやぁ、子供達ばかりじゃありませんよ。
  僕だっておおとりさんの後を追ってMACに入ろうと思ってるくらいです」
百子「あぁ、野村さん困るわ。皆MACへ入ってしまったらスポーツクラブの方はどうなるの?」
大村「そりゃそうだ、ももちゃんの言う通りだ。みんなMACにいっちゃったら困るな」
カオル「おおとりさん、スポーツクラブをやめちゃうの?」
ゲン「ん?カオルちゃん、心配することないんだよ。
   MACの仕事がない時はね、スポーツクラブにいてもいいことになってるんだ」
カオル「本当、ああよかった!また宿題を教えてもらえるのね?」
それをきいて笑うゲンと百子。
大村「えっ?おおとり君はカオルちゃんの宿題をみたのか」
カオルに向かって言う大村。
大村「ここはスポーツクラブなんだよ?」
百子「大村さん、ご存知なかったんですか?カオルちゃんばかりじゃありませんのよ?」
大村「本当?おい、おおとり君に宿題をみてもらったことのある者は手をあげてー!」
みんな手を上げる。それには大村も呆然である。

ゲンの部屋。
シャワーを浴び終えたゲンが部屋に戻るとカオルがギターを弾いている。
ゲン「ああー、さっぱりした。あっ、何だカオルちゃん来てたのか」
カオル「お花持ってきてあげたのよ、綺麗でしょ?」
ゲン「うわぁ、本当に綺麗だ、どうもありがとう」
チューリップの歌を歌う二人。
それから二人は星空のバラードをBGMに外に出かけた。
しりとりをしたり、風船片手に手をつないだり、公園で遊んだり……
さながらその様子は仲のいい兄妹のようだ。

しかしその頃……
ウルトラマンレオに追い返された双子怪獣は、再び恐ろしい企みを持って黒潮島へ迫っている。

部屋に帰ってきたゲンの腕のマックシーバーが鳴り響く。
ゲン「こちらゲン!」
通信「緊急指令、ただちに本部へ直行せよ!」
ゲン「了解!」
黒潮島は双子怪獣が起こす津波に襲われていた。

MAC本部。
白川「隊長!大津島からSOSです!」
ダン「何だって!?」
白川「沈むとだけしか聞き取れません」
ダン「続けて発信機で呼ぶんだ!」
白川「はい!」

地図を見る隊員達。ダン、黒田、青島。
ダン「今度は東京から150キロか……だんだん東京から近づいてる……」
駆けつけたゲンが言う。
ゲン「マグマ星人だ!あいつがやったんだ!」
黒田「おおとり、口をつつしめ!お前にどうしてそんなことがわかるんだ?」
ゲン「それは……」
青島「怪獣に対しては我々の方が先輩なんだぞ?」
ゲン「しかしですね…」
ダン「よせ!たとえ万に一つのことでも調べるのが我々MACの任務だ!マッキー1号で行け!」
黒田、青島「はい!」
ダン「おおとり隊員、君も行け!」
ゲン「はい!」

マッキー1号がMAC基地から飛び立つ。
沈没した黒潮島を黒田隊員は言う。
黒田「530メートルの山頂が顔を出しているだけということは500メートルも沈んだということだ。
   マグマ星人の力とは思えないけどねぇ、おおとり君」
ゲン「……!」
ゲンは宇宙人として発達した眼力で、海の中に怪獣の気配を感じ取る。
青島「赤石、レーダー反応はどうだ?」
赤石「動きは全く見られません」
黒田「おおとり、納得がいったか?」
ゲン「もう一度島の上空を飛んで下さい!赤石隊員!谷間に隠れているかもしれません!注意して下さい!」
赤石「了解!」
マッキー1号は谷間へと移動する。
青島「谷間の上空だ。赤石、何か見えるか?」
赤石「いえ、反応ありません」
ゲン「赤石隊員!もう一度よく見て下さい!」
赤石「反応無し」
黒田は上から通信機を伸ばしてきてMAC本部に連絡を取る。
黒田「こちらマッキー1号、本部基地どうぞ」
白川「こちらMAC本部、どうぞ」
黒田「大津島には異常ありません。ただ今より、基地に向かいます」
白川「了解」
ゲン「………」

MAC基地。
ゲン「隊長!あれは確かにマグマ星人の仕業です!」
ダン「そうかもしれん。しかしレーダーには何の反応もなかった」
ゲン「この目で見ました!明らかに奴の狙いは東京です!
     今頃、東京が襲われ沈没させられてしまいます!」
ダンはボタンを押す。すると丸い窓が開き、そこから地球が見えた。
ゲン「隊長!僕の言う言葉が信じられないんですか!?」
ダン「きけ。お前も私も確かに宇宙人だ。だが、忘れてはならない事がある。
   それは……二人とも人間として、あの地球にいるという事だ」

ゲン「愛する地球を自分の手で守れと言ったのは、あなたじゃありませんか!
   人間だの宇宙人だのと言ってる場合じゃありません!」

ダン「違う!人間の世界では人間のやり方でやらなければならない」
ゲン「そんなやり方では東京は沈没させられてしまいます!
        ……あなたは故郷を奪われた者の心を知らない」

ダン「ゲン、私にとっても地球は故郷だ」
ゲン「バカな!もうすぐ東京は沈むというのに!もう時間がありま……」
行こうとするゲン、それを止めるダン。
ダン「よせ!お前一人の力では奴らには勝てはせん」
ゲン「隊長!……勝手にします!」
ダン「ゲン!」
ダンはゲンを杖で止める。視線をかわしあう二人。そこに桃井隊員が来る。
桃井「隊長!東京湾が異常上位です!」
ダン「なにぃ!?」

津波によって橋は壊され、人々は逃げまどい、双子怪獣は暴れまわっていた。
スポーツクラブの面々も避難している。ゲンはただ一人、怪獣に向かっていく。
百子「おおとりさん!」
ゲンは怪獣の前まで来ると、飛び上がって両腕を空に向かって広げた。
ゲン「レオォォォォーッ!!!」
指のレオリングが光り、変身する!
登場しざまにキックで双子怪獣を倒すレオ。
しかし、怪獣は起き上がりレオを挟むと高速でスピンしたのだ。
すごいエネルギーにさらされ、目も回ったのも手伝ったのか、倒れるレオ。

ダンはゲンを追ってきて、浜辺でその様子を見ていた。
ダン「ダメだ……ウルトラマンレオが負ける……。日本は沈没するっ!!!」

怪獣は角から赤い光線を出して街を破壊する。
カラータイマーが赤く点滅しているレオが何とか立ち上がるが一方的にやられてしまう。
ウルトラマンレオは地球上では2分40秒の命しかない。
カラータイマーが点滅を始めた!レオ、立て!立つのだ、レオ!


サーベル暴君・マグマ星人
身長:57m 体重:22000t 出身:マグマ星
レオの故郷、L77星を滅ぼした張本人。雷鳴と共に現れ、指笛で双子怪獣を使役する。
主な武器は右手のサーベルで円月殺法の他、先端から光線を発射する事も出来る。
左手に鉤爪、両腕に蝙蝠の翼のような膜をつけてパワーアップする事も可能。
双子怪獣の怪光線によって日本列島沈没を目論むがレオに双子怪獣が倒されると退却。
後に登場するレオの弟アストラを捕虜にしていた事もあり、
アストラの左足のマグマチックチェーンはその時の名残である。
30話で再登場を果たすが同一の星人かは不明である……。
ちなみに再登場時のマグマ星人は等身大になったり、左手からニードルを発射出来る。

本編解説

冒頭のゲンと数人の男が組み手をするシーン
その中の一人がレオのスーツアクターの二家本辰巳氏で何気に目立っている。
最初からああしたアクションシーンを入れる所から、
このシリーズは今までと一味違うイメージを見せ付けている。
おおとりゲン役の真夏竜氏は少林寺拳法をやっていた事もあったそう。
それだけに格闘アクションシーンはお手の物である。
今までのシリーズとは一味違う武闘派主人公を印象つける事に成功した。

二家本氏は冒頭のシーンではレオではなくセブンを演じている
これからのレオと今回のセブン、動きに共通点が色々と見出せる。
セブンに耳が無いのは前作ウルトラマンタロウ40話からである。
しかし今回はスーツ自体もかなり様変わりしている。
どうやらタロウのスーツの改造らしい。このスーツはこの話でしか見られない。
34話や51話でもセブンの出番はある。
その時のセブンは耳もあり、スーツもオリジナルに近づいた物になっている。
今回のスーツはレアなもので造詣からしばしばファンの間でも語り草にされる。

沖でのウルトラセブン対双子怪獣は大迫力
まず双子怪獣がセブンを海中に引きずり込むシーン。
ギラススピンの青いバリアのような合成はかっこいい。
回転した状態ではどのような攻撃でも通用しない。
数多の戦場で決め手になったアイスラッガーすらはじき返してしまう。
更に回転した状態で頭の角から青い光線を発射する。
イメージとしてはウルトラビームではなくガンダムのバルカンのような感じ。
これを受けたセブンは思いっきり倒れてしまう。
ちなみにこの光線はギラススピン時でないと放てないようだ。
単独ではそれぞれ角から赤色破壊光線を発射する。

暗雲の空から稲光と共にマグマ星人登場
このエフェクトがかなり凝っていて素晴らしい。
稲光が輝くとその腕にはサーベルが出現、セブンを追い詰めてゆく。
この一連のアクションはかなりかっこいい。
ブラックギラスがセブンの足をへし折るがその音がやけに生々しい。

セブンの絶体絶命のピンチにレオ登場!
赤い火の玉のようなものが近づいてくる。
その中に黒い影が見え、やがて炎が弾けてその姿を現す。
そのまま飛んで来て空中からマグマ星人にレオキックを浴びせかける!
この一連のエフェクトがかなり良い。

ウルトラマンレオ奮闘!
冒頭では川口和則氏という方が演じていたらしい。
そのため動きが後のレオと一風違って見えるはず。
ちなみに1話ではレオの声もくぐもっていて後の声とは違う。

マグマ星人マスクの素顔が露出している理由
1、2話のマグマ星人は浦上嘉久氏という方が演じていたらしい。
次の話の等身大のツルク星人も同氏が演じているという。
スリムな体格と武器の使い方が何ともかっこいい限り。
彼がレオの星人のイメージを固めたと言ってもいいだろう。
マグマ星人は怪獣ではないので鳴き声は無い。
だがそれに変わるものとしてサーベルや振り回す特有の音がある。
レオの格闘に追い詰められたマグマ星人。
そこで口笛を吹いて双子怪獣に指令を出すのだ。
これは顔の口部分が露出しているマグマ星人特有の行動だろう。

獅子座L77星とレオマスクの謎
海岸で語り合うダンとゲン。
L77星全滅……絶望的なウルトラマンレオのバックボーンが語られる。
かつてないほど重々しい過去が語られるシーン。
マグマ星人はレオを追って来たのではなくてたまたま地球に来たようだ。
獅子座のシーンで獅子のマスクが現れるがあれはレオマスクというらしい。
どうやら獅子座における守護神的存在で奇跡を起こす力があるという。
レオマスクの奇跡は2話と17話、二度見られたがどちらも再生の力だ。
ならばL77星の危機に発動しても良さそうだという意見もあるだろう。
だが、そういう力は決して都合の良いものではないので仕方が無い。

溶けるウルトラアイ
ウルトラアイを見つめて装着しようとするダン。
しかしウルトラアイは火を噴いて溶けてしまう。
この時に背後にウルトラ念力の効果音を使用したりと演出が凝っている。
見方によってはあえて変身を放棄したという解釈も可能になって面白い。
様々な解釈が出来るこの辺りは完全に演出の勝利であろう。
最後、夕日をバックに二人がシルエットになって向かい合うシーン。
毎回のオープニングにも使われてかなり印象的である。

宇宙パトロール隊MAC
今までの防衛隊に比べてかなり大掛かりな組織になっている。
白衣の科学者や黄色い服の作業員など、隊員服以外の衣装の人も多数いる。
隊員服マックスーツもMAC内の精鋭部隊・宇宙パトロール隊のみの特典ではない。
一般隊員も同じようにマックスーツを着て活動をしている。
自己紹介する宇宙パトロール隊の隊員達。
結局、作中では苗字のみしか明かされる事がなかったが(設定上フルネームは存在する)、
碌な紹介も無かった中期や後期隊員に比べればまだマシな扱いであろうか。
なお本作ではダンとゲンの関係を際立たせるために他の隊員を引いた扱いにしている。
性格や特技の設定がなされていないのもそのためである。

星空のバラード
ゲンが弾くアコースティックギターから始まる演出が良い。
カオルと遊ぶシーンはまったりとしたシーンである。
それと同時にゲンにとっては守るべき平和だという事を印象づけている。

双子怪獣大暴れ、大津島沈没
角から津波発生光線を出して島を襲う双子怪獣。
津波が島を沈めてゆく。この特撮は見事の一言。
ミニチュアを使用したり波と逃げる人々を合成したりと、
かなり素晴らしい出来になっている。

マッキー1号発進
双子怪獣を探しに調査のために飛んだマッキー1号。
本編中、2度しか飛ぶ事のなかった本機。
コクピットの様子はかなりレアである。
オープニングにも使われたマッキー1号発進及び飛行シーン。
歴代メカの発進シーン同様、使い回しが効くように作られている。
にも関わらず本編ではここのみにしか使用されていないのが惜しい限り。
MACのテーマM-11がBGMにはじめて使われたシーンでもある。

地球は地球人として守るべきか
地球人として地球にいるならばその方法に従うべきだというダン。
ゲンは東京沈没の危機を前に方法を選んでいられないと反発する。
このシーンでダン隊長はボタンを押して窓を開ける。
確認したところ、窓と言うよりも防護壁のようなものようだ。
それを開ける事によってガラス越しに地球が見られるようになる。
宇宙のエメラルドたる地球を守るという二人の決意が衝突する名シーンである。

日本は……沈没する!
とうとう双子怪獣は東京へと進撃してきた。
大津波で船も大橋も流される。ビルの間の道路も水が押し寄せる。
デパートの中の洋服売り場や地下駐車場などのミニチュアも見事である。
恐るべき大怪獣の脅威にただ逃げ惑う人々。
その中には恐怖のあまりおかしくなって叫びだす女性や、
逃げる人に押し倒されて倒れている老人なども混じっている。
今までのシリーズとは違って被害状況を直接的に描いているのだ。
それはまさに「生きる厳しさと哀しさを鮮烈に謳う 」というテーマを持つ本作の必然であろう。
また、水を使った特撮は予算がかなりかかるという。
そういった意味でも今回の1、2話は豪華な話である事に違いない。
スポーツセンターの入り口のドアガラスに津波が合成してある。地味にすごい。
津波に乗って魚なども打ち上げられてくる。
大村さんの「魚だ!イカもいるぞ!」はある意味名台詞です。

変身ポーズ試行錯誤
飛び上がって両手を高く上げるゲン。
するとレオリングの宝石・獅子の瞳が輝いて変身する。
この変身ポーズは1、2話の他、6話で一度使われた。
だが、それ以外は3話からの拳を突き出すポーズになっている。
ただし3、4話では掛け声が「レオー!」ではなく「レオ!」だ。
掛け声は1、2話でポーズは3、4話のものを合成して、
初めてあのスタンダードな変身パターンが完成したようだ。

何かの予言が当たる時
レオも兄弟怪獣のギラススピンを前に歯が立たなかった。
角からレーザーのような赤い破壊光線を出して建物を焼き払う。
レオのカラータイマーは既に赤くなっていたが立ち上がった。
だが双子怪獣の猛攻前にレオは成すすべも無かった……。
第1話からかなりの大ピンチである。ウルトラシリーズでは初めての事だ。
何故このような異色な展開になったのか。
それには本作のメインテーマの他に終末思想があげられる。
当時はノストラダムスの大予言などが流行り、終末的思想が充満していた時期だ。
絶望的な時代でも自らの力で運命を切り開いて欲しい。
そんなメッセージをこめて本作にいくつものハードルを架したのだろう。
ヒーローとしては未熟な主人公おおとりゲン。
一年間のゲンと視聴者の成長物語はこうして突然の受難から始まった。