突然、東京の街にフリップ星人が現れた。
フリップ星人は分身して街を破壊していった。そこにダン隊長が乗るマッキー3号が急行する。
しかし、MACの出動に気づいたフリップ星人は姿を消してしまったのである。
そんなある日……。
センターの庭先で百子が稽古着を洗っている。そこにゲンが通りかかる。
ゲン「百子さん。ねぇ、いいよ。そんな、自分の稽古着くらい自分で洗うからさ」
百子「えっ?」
ゲン「だってそれ、僕んだろ?」
百子「ああ…これ?おおとりさんのも洗いましょうか?」
どうやらその稽古着はゲンのものではないらしい。
ゲン「……じゃあそれは…」
そこまで言った時、トオルとカオルがやってくる。
トオル「おおとりさーん!早く行こうよー」
カオル「ねぇ、百子お姉さんも行きましょう?アイスクリームを食べに行くのよ、ね?」
ゲン「うん」
百子「でも私……お洗濯がまだ少し残ってるから遠慮させてもらうわ」
ゲン「そう…」
ゲンはものすごく残念そうだ。トオルとカオルはもう歩き出している。
トオル「おおとりさーん、早くー」
カオル「行こっ」
喫茶店。3人はアイスを食べている。トオルは雑誌を読みながら言う。
トオル「おおとりさん、ウルトラマンレオって獅子座の生まれなんだね」
ゲン「うん、L77星」
トオル「ふ〜ん…」
さっきのことが気になるのかゲンはぼ〜っとしている。カオルがそんなゲンに向かって言う。
カオル「ねぇ、お兄ちゃん。あそこの人、さっきからずーっとお兄ちゃんのこと見てるわ」
そこには謎の青年が座っていた。見詰め合う二人。
トオル「おおとりさん、おおとりさん!アイスクリーム溶けちゃうよ!」
その声にゲンは青年から目をそらし、溶けかけたアイスを食べ始める。
青年の近くでウェイトレスが水をもったまま滑ってしまう。
だが、次の瞬間、青年は水を一滴もこぼさずにウェイトレスを助ける。
ゲンはそれを見て青年がただものではないことを悟る。
その時、喫茶店に百子が現れる。
百子「津山さん、遅くなってごめんなさい」
青年「行こうか」
そして百子はその青年と一緒に店を出て行った。
公園で鳩と戯れるトオルとカオル。
しかし、ゲンは上の空でベンチに座って鳩の餌をばら撒いている。
トオル「おおとりさん、どうしたの?さっきから考え込んでばかりいるじゃない」
ゲン「そうかい?」
その時、MACシーバーに通信が。
ゲン「はい、こちらおおとり!」
白川「東京A200地区に星人が現れました!急行して下さい!」
ゲン「了解!」
現場に向かうとそこには百子とあの青年津山がフリップ星人に襲われている。
百子「助けてー!」
星人「フォッフォッフォッフォッ……」
ゲン「でやぁぁっ!!!」
二人をかばうように星人の前に立ちふさがるゲン。
ゲン「さぁっ!逃げて!あとは俺が!」
青年「君は…?」
百子「MACのおおとりさんよ!」
青年「MACには無理だ。星人は倒せない」
ゲン「バカなこと言うな!こんな星人は俺一人で!」
青年「君には無理だ!」
百子「津山さん!」
ゲン「くそぉっ!でやぁっ!」
ゲンは星人との格闘に入る。星人は分身する、幻に翻弄されるゲン。
しまいには首を打たれて気絶してしまう。
今度は津山がフリップ星人と戦う。
ダンが影から見守る中、津山は分身した星人を苦もなく撃退する。
MAC基地のダンとゲン。
ダン「またしても星人を逃がしてしまったではないか。それどころかお前は命を失うところだったんだ」
ゲン「僕?」
ダン「あの津山という青年がお前を助けてくれたんだ」
ゲン「そんなバカな!彼なんかに星人が倒せるはずがありません!」
ダン「いや、彼の空手なら等身の星人と五分に渡りあうことが出来る……しかし絶対に勝つとは保証できかねん。……死ぬかもしれん。だが、星人を倒すのは俺とお前の役目だ。お前は勝たねばならん。お前は今からあの津山青年のところに行ってどうすれば勝てるか教えてもらってくるんだ」
津山のいる黒潮流空手野外道場への道を進むゲン。しかし、その前を行くのは百子だった。
結局行きづらくなったゲンはスポーツセンターで一人空手の鍛錬に励む。そこに通信が入る。
ゲン「こちらおおとり!」
白川「東京A201地区に星人発見!現場に急行して下さい!」
ゲンを含むMAC隊員4人が星人を追いかけている。ダンも姿を現す。
ダン「今度こそ逃がすな!」
しかし、分身に惑わされゲンは川の中に落ちてしまう。
そしてMAC隊員の一人が投げ飛ばされ木にぶつかって血を吐いて殉職してしまう。
ダンは秘密兵器である杖にしこんだマシンガンを撃って星人を撃退する。
川の近くのダンとゲン。
ダンは突然ゲンを杖で殴り飛ばす。
ダン「逃げるな!お前のその逃げ出す態度が悲しい。そのために他人を失ったんだ」
ゲン「俺は……俺は逃げたりなんかしていません」
ダン「バカっ!よくもぬけぬけと…お前は私の命令を守らなかった。津山君に技を教えてもらってこなかったではないか。私の目は節穴ではない。何故津山君の所に行かなかったんだ!目を覚ませ!」
ゲン「………。」
ダン「あの星人を逃がしたためにまたどこかで被害者が出る。人の命を救うためにお前が津山君から技を教わることが恥ずかしいことか?それより身勝手な理由で教わろうともしないで逃げ出すことの方がよっぽど恥ずべきことじゃないのか?百子さんも、スポーツセンターの子供達も、みんなお前がそんな男でないことを信じている。……ゲン、お前はウルトラマンレオなんだぞ」
その言葉を噛みしめるようにして深く頷くゲン。
野外道場。
正座をしている津山。ゲンは後ろから落ちていた紙ひこうきを津山に向けて飛ばす。
振り向かずになおかつ片手でそれを受け止める津山。
津山「どなた?」
ゲン「MACのおおとりと申します」
津山「隊長さんから頼まれましたが、僕はMACのこと好きじゃありません。僕は自分を守るために空手を習った。それをMACが習いに来るなんて……ほんと言うと百子さんの口添えがなかったらこんなことやる気にもならなかった」
ゲン「お願いします」
津山「…しかし、僕は何を教えたらいいんですか?」
ゲン「それは、星人が何人も現れた時にどの星人を倒したらよいか…」
津山「星人が何人もいるんですか?不思議なことを言う人だ」
ゲン「あの百子さんが襲われた時だって…」
津山「あの時…あの時、星人は一人しかいなかった」
ゲン「いや、星人の身体は五体に分かれたじゃありませんか!」
それを聞いて笑い出す津山。
津山「フフフ……ハハハハハハハ!なるほど、あなた方は不便だ。おおとり君、そのへんのボールを私に向かって投げてみたまえ」
ゲン「ボール?」
あたりにはソフトボールのようなものが転がっている。3つほど拾うゲン。
ゲン「投げますよ?」
津山「どこからでも、いつでも結構」
そういって津山は目を閉じる。ゲンはボールを一つ投げるがあっさりとかわされてしまう。
津山「もう一度!」
今度は連続して投げるゲンだがやはりかわされ、しまいにはキャッチされてしまう。津山は言う。
津山「今度は僕が君に投げてみよう。すまないがボールを少し」
津山の足元にはボールがたくさん転がっている。そこでおおとりは気づいた。
ゲン「津山さん…!あなたは……」
津山「…見えないんだ」
津山「いいか?目を閉じて!」
いわれるがままに目を閉じるゲン。だが、当然飛んでくるボールをよけることは出来ない。
津山「僕のボールは百発百中のはずだ。君は一発も避けることは出来ない。目の見える人は不自由だ」
その言葉にゲンは気づく。
ゲン「そうか、わかったぞ!本物の星人は一つなんだ!」
猛に自分に向けてボールを投げさせるゲン。
ゲンは津山のような鋭い感覚を身につけるまでは、どんなことがあっても目を開くまいと決心。
そして修行の結果、ついにボールを掴んで投げ返すことに成功したのだ。
猛「おおとりさん!」
ゲン「猛、君に命中したのか!?」
猛「はい!」
その時、ゲンの元に杖が飛んでくる。それをキャッチするゲン。
ゲン「これは…!」
ダン「ゲン、見事だ!」
そう、ダンが来たのだ。
ゲン「隊長!」
ダン「免許皆伝だ!」
ゲン「本当ですか?」
ここでゲンはようやく目を開く。その時。ダンのMACシーバーに通信が。
ダン「モロボシだ」
白川「東京A202地区に星人が現れました!」
ダン「了解!」
ダンはシーバーを切るとゲンに向かって言った。
ダン「頼むぞ!」
ゲン「はい!」
サイレンを鳴らし、マックロディーが出動。
青島、赤石、平山の3人が立ち向かうが星人は巨大化してしまう。
そこに駆けつけたゲンは変身する。「レオォォォォーッ!!!」
前主題歌をバックにレオはキックヤパンチブレーンバスターなどといった格闘技を星人にしかける。
ダン搭乗のマッキー3号と3機の戦闘機の援護もあり追い詰められた星人は分身する。
本物を掴むことが出来ず幻に翻弄されるレオ。
ダンはレオに攻撃する。地上のMAC隊員三人はそれに驚く。
赤石「あれは!?」
青島「隊長!何をするんですか!」
ダン「ゲン!」
ダンは機体の下部から発射装置を出してレオの目に消化液を吹きかけて視力を奪ったのだ。
暗闇の中に放りだされるレオ。だが、視力を失ってようやく猛との修行の感覚が蘇ったのだ。
くらやみ殺法を極めたレオの前にフリップ星人の分身は子供だましに過ぎなかった。
レオは新主題歌をバックにエネルギー光球で星人を粉砕するのであった。
手当てを受け視力が戻ったゲン。まず、最初に瞳に映ったのは……。
ゲン「百子さん…」
カオル「お兄ちゃん」
トオル「おおとりさん、よかったね」
ゲン「うん。…あなたは…!」
ゲンはそこで百子の後ろに立っている津山に気づく。
津山「おおとり君、僕は君のことを誤解していた。許して下さい」
百子「おおとりさんの活躍を聞いてお詫びに来たのよ」
ゲン「いやぁ…僕の方こそ、あなたにお礼を言わなければならないんです」
百子「……津山さんは黒潮島のたった一人の生き残りなの。でも、そのために目が見えなくなってしまって……」
ゲン「黒潮島って……百子さんの?」
百子「ええ」
1話で襲われた黒潮島は何と百子の故郷だったのだ。
百子「怪獣に襲われて全滅してしまったけど……津山さんだけが助かったの」
津山「あの時に…どうしてMACがもっと活躍してくれなかったのかと僕は何度も恨んだ。MACは何も出来ないとさえ思っていたんだ」
百子「津山さん…」
津山「しかし、君のような勇気のある人もいることがわかった」
握手する両雄。
津山「見直したよ」
ゲン「いやぁ、勇気あるのは隊ちょ……あれ?」
百子「今ここにいらしたのに……」
夕暮れの川辺の木の下に花束を供え、静かに手を合わせるダン。
ゲン「隊長…」
ダン「勇敢なMACの隊員を失った。失った命は返らない。ゲン、わかるか?この先どんな宇宙人が現れるかもしれん。一人の犠牲者も出さずに戦うのは難しいことだ。だが、俺達はそれをやらねばならん。ゲン!頼むぞ!」
ゲン「はい!」