東京近郊に怪獣出現の報にてMACは直ちに出動した。
大空を飛ぶマッキー2号と3号。2号には青島隊員とゲンが乗っている。
青島「厳重なMACの警戒網を越えて忍び込む奴だ、用心してかかろう」
ゲン「なぁに、任しといて下さい。この特殊レーザーガンですぐしとめて見せますよ」
青島「攻撃の指揮は俺がとる。張り切るのはいいが勝手な事はするなよ?」
ゲン「はい!」
暴れる怪獣ベキラ。壊されるビル。逃げる人々。
マッキーは怪獣に攻撃を仕掛ける。だが、さして効果はない。
青島「……くっ!ベキラの奴……!」
ゲン「くそっ!ミサイルもナパームも効かないな。奥の手だ!」
マッキー2号の先端から特殊レーザーを出す。が、これも効果は薄い。
ゲン「特殊レーザーも効かない!」
青島「目を狙うんだ!」
ゲン「はいっ!」
するとかなり効いているようだ。
青島「よぉし!マッキー3号!目に集中攻撃!」
マッキー3号も先端から特殊レーザーを撃つ。
青島「今だ!撃ちまくれ!」
そこで光弾の集中攻撃。だが、マッキーが怪獣の口から放射される火花状熱線で落とされてしまう。
青島「おおとり!目だ!目に攻撃を続けるんだ!」
ゲン「はいっ!……あっ!」
その時、ゲンは地上に人が残っているのを発見する。
ゲン「あっ!青島隊員!あれは!?」
青島「避難命令が出てこの地区には誰もいないはずだぞ。
一人の不注意な者のためにみすみす大きな被害が出るのを黙ってみているわけにはいかん。
何をしているんだ!おおとり!撃つんだ!」
ゲンは攻撃を止め、ボタンを押そうとするが青島に止められる。
青島「止めるな!それは脱出ボタンじゃないか!」
ゲン「あの人を助けてきます。避難させ終わったら攻撃して下さい!」
青島「待て!勝手な事は許さん!」
だが、青島隊員の制止空しくゲンはボタンを押し脱出した。
青島「くそぅっ!おおとりの奴……!」
パラシュートで地上に降りたゲン。バケツを被っているその人は……
ゲン「もし!」
大村「わぁっ!」
ゲン「大村さん……」
大村「ああ、おおとり君かぁ……君もセンターの時と変わらないじゃないか」
ゲン「何故こんな所にいるんですか?」
大村「コレだよ。パチンコだよ。またバカによく玉が出てな。
夢中になってやってたらコレだろ?人っ子一人いないんだもん」
ゲンは大村を避難させる。
青島隊員のマッキーも火花で撃墜されてしまう。
青島「ああっ!脱出だ!」
青島隊員は何とかパラシュートで脱出した。
ゲン「青島隊員!くそぉ!」
ゲンはマックガンのビームで怪獣を後ろから撃つと怪獣は砂塵と共に消えていった。
大村「消えた!」
ゲン「そうか、奴の弱点は背中だったのか……」
MAC基地。ゲン、青島、赤石、黒田、桃井、白川。
青島「おおとり!お前の行動は明らかに命令違反だ!」
黒田「おおとりは日頃スタンドプレイばかり狙いすぎるからな」
ゲン「そんな!」
青島「そんな事はないだと!?なら何故命令を無視した!?」
赤石「チームワークを乱すような奴とは一緒に戦えんぜ!」
青島「お前が余計な事をしなけりゃ2号機だって落とされないで済んだんだ」
ゲン「しかし怪獣の弱点を……見つけることが出来ました」
黒田「怪我の功名でな。しかし怪獣だってバカじゃない。
一度知られてしまった弱点をそう何回も俺たちの前に晒すかなぁ?」
ゲン「………」
青島「何だその顔は。これだけ言ってもわからんのか!自分が悪いとは思わんのか!立てっ!!!」
青島はゲンに掴みかかる。その時。
ダン「青島!!やめろっ!!!」
青島「隊長!」
ダン「ゲン、一週間ばかり勤務を離れろ」
ゲン「隊長!?」
ダン「冷静に自分の行動を反省するんだ」
ゲン「謹慎しろというんですか?」
ダン「そうだ」
ゲン「何故です?何のために!?」
青島「まだそんな事を言っているのか!?」
ゲン「大村さんを見殺しにしてればよかったんですか!?」
青島「命令違反の事を言っているんだ!」
ダン「もういい!!それより怪獣はまた来る。その対策を急ぐんだ」
そう言ってダンは作戦室を出て行った。
ゲン「隊長!」
青島「おおとり!」
ゲンは肩に置かれた青島の手を振り払ってダンを追う。
ゲン「隊長!待って下さい!怪獣の弱点を知っているのは僕だけです!
僕がいない間にもし怪獣が出たらどうするんですか!?隊長!」
ダン「ゲン、自分がいなければMACは何も出来んというのか?
お前のその考えが他の隊員の神経に触っているのがわからんのか」
ゲン「しかし実際の問題としてあの怪獣を倒せるのは僕だけです!」
ダン「友情やチームワークの事を考えろ」
ゲン「馴れ合いの友情やチームワークに何の価値があるん……」
ダン「バカヤローッ!!!思い上がるのもいい加減にしろ!!」
ゲン「隊長、友情やチームワークのために戦っているのではありません。戦っている間に自然に沸いてくるのが友情やチームワークですよ!」
ダン「……しかしお前は怪獣とは戦えん」
ゲン「何故です?」
ダン「俺と一緒に来い!」
そこは体育館のようなスペースだった。
ダン「俺の背中を攻撃してみろ。どうした!……青島の言った通り、おそらく怪獣は二度と背を見せない。さぁ、どう攻撃するんだ?お前でなければ退治出来ないんじゃないのか?」
何度も攻撃をしかけるものの、ことごとく返り討ちにされる。
倒れたゲンを尻目にダンは立ち去ろうとする。
ゲン「隊長!」
ゲンはダンの杖を掴んで止める。
ダン「秩父の山奥に我心山という山がある。その山の中に白雲庵という寺があって十貫という坊さんがいる」
ゲン「十貫!?……隊長!」
ダン「一週間の謹慎、確かに言い渡したぞ」
ゲン「………」
翌日、ゲンはバイクで白雲庵に出かける。
だが寺は留守のようで誰もいない。そこへ山伏風の老人が来る。
ゲン「こんにちは!あのー、MACのモロボシ隊長に聞いて来たんですがこちらに十貫という坊さんがいらっしゃいますでしょうか?」
老人「ダンの奴、また厄介事を持ち込んできたな……」
ゲン「は?」
老人「なーに独り言」
ゲン「あなたが十貫さんですか!」
老人「違いますよ。十貫は留守です」
そう言って老人は行ってしまう。
ゲン「あっ、ちょっと、待って下さい!」
ゲンは老人を追う。
山道で子供がいる。子供は老人を見て言う。
子供「十貫坊ー!」
ゲン「……やっぱり……!十貫さん!」
老人「わしは十貫ではないと言ったはずだぞ」
ゲン「しかしその子が……!」
老人「本人がそうでないと言っているのに、そんな確かな事はないはずじゃ」
ゲン「待って下さい!お願いします!お教え下さい!東京に出た怪獣を倒すにはどうしたらよろしいんでしょうか!?」
老人「怪獣?そんな事はわしはしらんぞ」
ゲンの必死の土下座の頼み空しく、老人はゲンを踏みつけて行ってしまった。
ゲン「………!」
炭を作っている十貫と子供。
ゲンは後ろからそっと近づいて十貫を木の棒で叩く。
ゲン「でぇい!」
十貫「うおっ!!」
気づきもせずに当たる十貫。
子供「何するんだよー!バカヤロー!」
十貫「ほっとけほっとけ。その輩はココが少しおかしいんじゃから」
ゲン「………!」
後ろからの攻撃の何のヒントも見出せず、頭のおかしい人扱いされたゲンはそのまま山奥で空手の修行をする。
それを見た十貫と子供は笑って行ってしまう。
ゲン「………」
結局空手でも攻略法を見出せずにいたゲンはついてゆく事にした。
その先で十貫は少年を抱えて崖を使い、三段飛びで川を渡る。
ゲン「これだ……!これが出来れば……!よーし!」
挑戦するが失敗してしまう。
ゲン「十貫さん!」
十貫「うむ、放てば天に道じゃ。何事も雑念を捨てて肩から力を抜いてやってみなさい」
ゲン「はいっ!」
こうしてゲンの特訓がはじまった。
日が沈み朝が来て……とうとうゲンは三段とびをマスターする事が出来た。
十貫「出来たなぁ」
ゲン「はい!ありがとうございました!」
十貫「東京にな、何やら現れたそうな。早く行きなさい」
ゲン「怪獣がですか」
頷く十貫。
ゲンはバイクで山道を駆け下りていった。
MACは真紅の若獅子をBGMに総動員で怪獣ベキラと戦っていた。
マッキー2号と3号が空に飛ぶ。マッキー2号には赤石と桃井が乗っている。
赤石「攻撃!」
しかし火花熱線によって両機いっぺんに撃墜されてしまう。
地上ではマックカーとマックロディーがとまっている。
マックロディーで攻撃していた青島隊員がマック特殊銃を持って出てきて外にいるダンに言う。
青島「隊長!やはり背中を攻撃しなければ事にはダメです!隊長達はここから攻撃を続けて下さい!奴が気を取られているうちに股の下をくぐって背後に行きます!」
ダン「やめろ!危険すぎる!」
青島「しかし、このままでは全滅です!」
ダン「青島!行くな!命令だ!」
青島「行かして下さい!!」
青島はダンの制止を振り切ると怪獣に向かって走り出した。
ダン「青島ぁぁっ!!……援護射撃!撃てぇっ!」
ダンはマックロディーで青島の援護を始める。
だが、地上を襲う火花で青島は倒れてしまう。
そこへ現れたのはバイクを駆ったゲンだった。
ゲン「隊長ぉー!」
ダン「ゲン、十貫坊に会ったか?」
ゲン「はい!」
ゲンはそのままバイクで青島隊員を助けに行く。
ゲン「青島隊員!大丈夫ですか!?」
青島「おおとり……俺も命令違反しちまったよ……」
ゲンは青島隊員を助け起こす。
ゲン「立てますか?」
青島「大丈夫だ、お前は?」
ゲン「奴の後ろに回ります!」
青島「おおとり……!」
ゲン「早く!」
青島「……頼むぞ」
青島隊員は自分のマックガンを腰から抜くとゲンに渡してゲンが乗っていたバイクで戦線を離脱する。
ダン「青島、大丈夫か!?」
青島「大丈夫です!」
ダン「黒田!救護急ぐんだ!」
青島「平気です!」
ダン「いいから早くしろ!」
青島隊員は黒田隊員に連れられて車の方へ。
ゲンは後ろに回る事に成功する。しかし怪獣はゲンを押しつぶしにかかった。
そんなピンチの時、ゲンは変身する。「レオォォォーーーッ!!!」
主題歌をBGMにレオは怪獣に格闘戦を挑む。
火花を避け、エネルギー光球で弱らせる。長時間の格闘でカラータイマーは点滅を始める。
レオは三段飛びで後ろに回り、レオキックでとどめをさすのだった。
MAC基地。ダンとゲンと青島。
ダン「二人とも命令違反だ。青島は五日間勤務につく事を禁じる。」
青島「すいません……」
ゲン「隊長!」
ダン「謹慎の期間はまだ五日間残ってるな」
ゲン「はい……」
ダン「スポーツセンターの方から矢の催促が来た。早く返してくれってな。
……どうやら大村さん、忙しくてパチンコ行く暇もなくて悲鳴を上げているらしい」
ゲン「はいっ!」
ダン「青島はすぐ怪我を治して来い。ゆっくり温泉でもつかってな」
青島「ありがとうございます」